y200500c_A1.jpg今週を持ちまして、三十年間燃え続けて参りました爐火を消させて頂く事となりました。 「 三味一体、爐に満る 」 貴方様との出逢いに感謝申し上げます。

   

   今週の初の膳 酒の肴膳は、「三味」をテーマとして
     鯛昆布締め柚子釜
     真魚鰹笹香焼き
     百合根かもまんじゅう
     辛子明太子寄せ
     舞茸松の実したし
     三色清し汁
     お口すすぎは 朱杯菊酒 でございます。

 

四季の微妙な移り行きに 鋭敏な感覚を学びながら、季節に折目をつけてお客様を迎え 従事者ともどもに未熟ながらも心をつくし、一期一会のおもてなしに努めて「光陰如矢」気がついてみれば、早や本年をもちまして満三十年の月日が流れ去りました。

 

お客様の心を我が心に、甘酸鹹苦辛の五味をこえた真味、即ち「また食べたい」と感じていただける後味を目指して務めること、それが「爐談亭のおもてなしの味」と考え
、天地の恵みに感謝しつつ味わう巡りめく「四季の恵みの素材の味」。何よりもまして「お客様のもう一味」が、加わってからこその「三味一体」の爐談亭でございます。

 

残された日々を貴方様との出逢いに感謝申し上げ、千八百週目の最終章「三味の膳」至十月三十一日まで、従事者ともどもに未熟ながらも心をつくし務めさせて頂く所存でございますれば 皆様お誘い合わせの上、ご来亭をお待ち申し上げております。

 

亭主合掌

 


2012-10-28 13:12 | トラックバック(0) | コメント(0)

akinoyonaga.jpgさても深まりゆく秋の夜長に和蝋燭のほの明かりで、ご飲食をお楽しみ頂きます。
しみじみと酌み交す酒には豊富に出回る秋の実りが、より一層興趣を添えてくれる
ことでございましょう。

 

昔の秋の夜なべ仕事に砧(きぬた)打ちと申して洗濯物の糊を柔らげたり、藁を慣ら
す為に盤上に乗せて木槌で打つのですが、秋の夜長に秋風や秋の寂しさの中で聞く
砧を打つ音色は、物悲しげな哀調がございましたそうで現在ではほとんど聞かれませ
んが、わら砧は今でも農家で行われてる所もあるようです。

 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋の夜長」をテーマとして
  鴨の砧巻き、 むかごとしめじの柚子味噌
  五平もち、むらさき秋大根、秋小鰺の酢漬
  十三夜汁、お口すすぎは、かぼす でございます。

 

さて、旧暦八月十五夜の名月に対して、九月十三夜の月を 「後の月」と申しますが、
また十五夜を芋名月と云うのに対して、十三夜を栗名月とか豆名月と云い栗や大豆を
供えて祭ります。十三夜の月は「秋の夜長」に しみじみとした情味を感じます。

 

2012-10-22 12:01 | トラックバック(0) | コメント(0)

俗説にこの月、諸国の神々が出雲大社に集まるからとて十月を神無月と云い
年に一度のこの集まりで一年分の縁結びの相談を済ませてしまいます。

そういう伝説にあやかってか、この月から来月にかけては婚礼が多く
又、稲の収穫の終わったこの頃は、あちらこちらで秋祭りが行われます。

 

春祭りで豊作を祈ったのに対し、秋祭りは穀物の実りに感謝し、神にも供えて
共に喜ぶものでございます。縁結びも穀物の実りも、共に喜ぶ気持は ひとつで
ございましょうね。

 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋祭り」をテーマとして
  秋鯖祭りあずま、舞茸と菊花の胡麻味噌和え
  祭り煮しめ、大和芋蒸し、たこ塩辛青柚子おろし
  だまっこ汁、 お口すすぎは、松の実 でございます。

 

さて秋祭りの頃になれば、瀬戸内海沿岸の広島県中央から西部にかけて秋祭りや
正月に酒の肴やおかずとして来客に振る舞まわれる料理に、コノシロや鯖さばを
使っての「あずま」と云う伝統郷土料理がございます。

 

azuma.jpg

このしろ等の小魚を背割りにして中骨を取り全体に塩をふって半日位置き表面を
さっと洗って二杯酢に二日位浸しておき、その浸け酢で味付けしたおからに、
おのみ(麻の実)などを加え、魚の腹に詰め込んだものを「あずま」と云います。

 

最近では、あまり見かけられない料理「あずま」は、子供の頃は食べるのが嫌で
したが、酒の味が分かるこの歳になれば、何とのう懐かしゅう味わい深くあります。
今週の初の膳のひとつに、この伝統料理「秋鯖祭りあずま」を楽しんでつかあさい。

 

2012-10-14 15:30 | トラックバック(0) | コメント(0)

古い言葉ながら「天高く馬肥ゆる秋」の好季節は、海山里川のさまざまな恵みは
枚挙にいとまなく、まさに実りの秋と申せましょう。

 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「実り」をテーマとして
  烏賊の新米印篭蒸し、里芋もろこし実り和え
  秋鮭黄金焼き、いり新銀杏、じゃが鴨の葱酢
  粟麩かぼす汁、お口すすぎは、焼き米 でございます。

 

秋に実を結ぶ木々の果実も限りなく、この頃は稲刈りの季節でございます。
早い所では八月下旬、遅い所では十一月下旬には刈られてしまいますが、

稲刈りが終わった後の田や畦道に落ちている稲穂は農家では一粒と云えども

大事な米で、落穂拾いは結構大切な仕事でありました。

 

昔は老人や子女が腰をかがめて落穂を拾い集めるさまを見かけられましたが、

ともすれば稲作をも軽視する近来、日本の農政のもとでは、うち捨てられた儘の

落穂を見かけることも稀ではなくなりましたようです。

 

2012-10-07 12:58 | トラックバック(0) | コメント(0)

秋風が吹く頃ともなれば、香魚とも呼ばれる鮎は産卵のために清流を
下り短い一生を終える子持ち鮎の事を「落鮎」とも云います。
その子持ち鮎を丸ごと焼いてほうばる!これぞ実りの秋の醍醐味とも
申せますが、その鮎を素焼きし番茶で下炊き、更には朴葉の香りを添えた
合わせ出しでコトコト弱火で炊く事5時間.....「煮浸たし」に致しました。

 

komochiayu.jpg何処が身やら黄金色の はち切れんばかりの卵をのぞかせる子沢山で
突き出した腹から卵がのぞく様子は、いかにも食欲をそそります。
口の中ではじけるような独特の食感は、九月下旬から十月いっぱいの
そのわずかな期間だけの味わいでもあり、夏の鮎とはまた違う美味しさの
「名残りの季節」を代表する川魚です。

 

また昔は十月の茄子を「名残り茄子」又は残り茄子を木に付けたまま売りに
来たので「木なり茄子」とも云います。秋が深まるにつれ肌理がこまかくなり
甘味を含んだ秋茄子は最も美味しい時節でございます。今週は過ぎゆく夏の
「名残りの膳」と致しました。

  

  今週の初の膳 (酒の肴膳)は、「名残り」をテーマとして
   落ち鮎朴葉煮、梨と水前寺海苔の白和え
   走り蕎麦がきとろろ、菱の実、たたき酢牛蒡
   名残り焼茄子ずんだ汁、 お口すすぎは、青紫蘇です。 

 

古語辞典によりますと「名残」とは「波残ナミノコリ」の約であると云います。
波の引いた後に、なお残る物そこから転じて、あることの過ぎ去った後まで
尾を引く物事や感情の意です。暦の上では来月で秋も逝きますが、夏秋の
天地の恵みを感謝しつつ、この季節ならではの自然の真味を心静かに味わう
べき秋だとは存じますが、「不時不食/時ナラザレバ食ワズ」豊食の時代に
この言葉の意味を、私達は改めて考えてみる必要があるようでございますね。

 

2012-09-30 14:22 | トラックバック(0) | コメント(0)
tukimi2.jpg中秋の名月とは陰暦八月十五夜の満月を云い、今年は九月三十日にあたります。
月の前に秋の七草を飾り [ 団子,柿,芋,酒 ]を 供えて名月を賞でるのが月見の宴

で ございますが、古人は冴え渡る月の光を心行くまで鑑賞するために、総ての

明かりを消したものと申します。

 

古来よりこの夜 月を賞するに衣被(きぬかづき)を三方に盛って供える風習から

中秋の明月を一名 「芋名月」と呼び里芋や柿を供え、これに対して陰暦九月十三

夜の月を「栗名月、豆名月」といい、栗や大豆を供えて月を賞でます。

今週は、十五夜や十三夜にお供えする食材を使った「お月見」の膳でございます。

 

  今週の初の膳/酒の肴膳は、「月見」をテーマとして
   鯛栗の月色蒸し、秋茄子と茶豆の胡麻和え
   叢雲の月とろろ寄せ、柿なます、里芋松笠焼
   月見団子汁、 お口すすぎは、にごり酒 でございます。

 

因に「叢雲(むらくも)の月」とは雲で見え隠れする月のことで、何と風情ある表現

ですね。今週では、亭内板中央に設えます昔ながらの月見飾りに、今ではあまり

見かけられなくなった「お月見の風情」と、出回り始めました「秋の味覚」を お楽し

み下さいませ。

 

2012-09-23 22:54 | トラックバック(0) | コメント(0)

19日は彼岸の入り 九月二十二日は秋分の日であり、彼岸の中日にあたり
お彼岸を過ぎる頃ともなれば、朝夕は涼しく一段と凌ぎやすく秋を感じ始める
時節ともなりす。又、この頃降る雨は長雨になりやすく、秋雨前線が停滞し
梅雨に似た気象配置で、これに台風の接近がある等この時節の長雨を「秋霖
しゅうりん」とか「秋ついり」と云いますが、今年は一早く秋の日一天雲なく
晴れ渡ったさまを見ることが出来そうです。

 

 

 今週の初の膳(酒の肴膳)は、「秋色」をテーマとして
  秋刀魚の梅煮、栗せんべいと焼湯葉、揚出し山芋
  吹き寄せ山家金平、秋鮭と秋大根砧巻きの胡麻酢
  秋茄子そうめん汁、 お口すすぎは、胡桃 です。

 

いよいよ絶えまなく秋の食材が出回り始め、食欲の秋を迎えます。今週は秋の
気配を感じていただく「秋色」の膳でございます。

 

 

 秋から半年間限定!当亭の名物自慢 「しめさば」 を始めました。

 

shimesaba.jpgこれから迎えようとする秋には、海山里川のさまざまな恵みは枚挙にいとまなく、
この時節から秋の味覚を多々ご紹介出来るとは思いますが、その中のひとつとして、
まずはお客様が楽しみになさる名物自慢「しめさば」を本日より始めました。
当亭のしめさばには、ポン酢や醤油は、お出ししません。酢橘だけを 絞って召し上が
ってもろうちょります。 当亭での締め方!造り方!の多くは語れませんが、
何よりも鮮度が一番です。少々レアーだとは思いますが、生臭くありません。

 

鯖をお嫌いのお客様が、つい箸をつけられ「これ!? 旨い!」の一言いただけることは
何んと嬉しいことじゃろう!生意気にも当亭名物自慢の「しめさば」でございます。
この「しめさば」は 秋より春までの半年間のみ お楽しみ頂く当亭季節限定料理です。

但し、鮮度良き「地さば」を使用致しますので、入荷無き場合はご容赦下さいませ。

 

   今では余り見掛けられなくなった伝統郷土料理 「あずま」

 

azuma.jpg尚、当亭独自の「地さば寿司&地鯖あずま」をご予約のみで ご用意させて頂きます。因みに「あずま」とは、広島・岡山からなる瀬戸内地域の郷土料理で「あずまずし」とも呼ばれます。鯖やコノシロの酢締めに酢飯の代わりに「おから」の酢締めを詰め込んだ広島沿岸部の「秋祭りや正月頃の伝統料理」でもあり酒の肴には堪えられません。

 

 

2012-09-16 14:38 | トラックバック(0) | コメント(0)

そもそも9月15日が「敬老の日」でしたが、現在では「老人の日」と改め
今年の「敬老の日」は9月17日。その週をシルバーウィークとされました。

 

さて、お婆ちゃん子であった私の幼い頃には今は亡き祖母から色々な昔話を
聞かせて貰ったものですが、中でも「姥捨て山」の話は、いつも私を可愛が
ってくれるお婆さんを何故に山に捨てに行かなければならないのか不思議に
思ったり、自分が老人になった時の事を心配したものでございます。
その時代は生活苦から老人を山に捨て、老人もそれを得心ずくで捨てられる
と云う「楢山節考」の話しは、子供心に抱いていたことよりも もっと残酷で
悲惨な制度であったようでございます。

 

今の時代はご老人を大切にする色々な制度がありますが、私達の日常生活に
いわゆる「姥捨て山」のなきように心掛けたいものでございますね‥‥

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「敬老」をテーマとして
  鱚の養老柚香焼き、林檎と蒸鳥の白和え
  萩海老しんじょ、里芋磯辺和え、茗荷かも田楽
  しめじ汁、 お口すすぎは、小梅と結び昆布

 

さて今週の当亭は、敬老の日に因んで「敬老の膳」古来より、御老人のことを
よく「萩の花」 に例えられます。枝を曲げ垂れ下がり咲き誇る萩の花を
腰を曲げられるお年寄りの姿に写したものでしょうね。その萩花の姿を写した
「萩しんじょ」を始めとして、ご老人の白髪がごとくの「林檎と蒸鶏の白合え」
また敬老の日の長寿をお喜びして「鱚の養老柚香焼き」更には「茗荷鴨田楽&
里芋磯辺和え」そして「しめじ汁」などお年寄りにも優しく口当り良き献立を
ご用意致しました。今週は常日頃お世話になっている お爺ちゃんお婆ちゃんと
ご一緒にお立ち寄り頂ければ嬉しゅうございます。

 

2012-09-09 19:23 | トラックバック(0) | コメント(0)

重陽は五節句の一つで 九の数は陽の極みであり、陽が二つ重なるゆえに重陽とし
又、九が二つ重なるゆえ九月九日を重九(ちょうきゅう)とも云われ、更に 重九は
長久(ちょうきゅう)に通じるので目出たい極みとされ、不老長寿の意から祝った
のでございます。重陽節は、もとは中国に端を発し、わが国では平安時代より
宮廷の行事として取り行われ、詩歌を成して菊の宴が開かれ、民間では菊人形の
見世物などが行われました。

 

今週の初の膳 酒の肴膳は、「重陽の節句」をテーマとして
  菊花小蕪鴨詰め、烏賊の緑酢和え、利休栗、
  蓮芋と海老の山家煮、初さんま幽庵焼き、
  青海波清し汁、 お口すすぎは「菊酒」でございます。

 

重陽の節句.jpg

陰暦にすれば、菊の盛りなので菊の節句と称し、菊の花びらを浮かべて酒を飲む
と云う菊酒は邪気を払い命が延びるといわれ、又この頃は栗も出まわるので栗の
節句とも称され、重陽の節句には栗飯を食べたり致したそうでございます。

 

2012-09-02 14:47 | トラックバック(0) | コメント(0)
野分(のわけ、のわき)とは、古くは台風と云う用語はなかったようで、風が野を
吹き分ける秋の強風の意で、台風を含めて秋の強風を総て「野分」と云ってたよう
です。昔から二百十日を中心に台風がやって来ると申しますが、また来て欲しくな
いもので、立春から数えて二百十日頃、今年は9月10日にあたります。

でも台風がやって来たから、これを食べましょうよ!と云う約束事は無論ありません。

秋の気配が漂い始める野分の頃の 山郷料理をお楽しみ頂ければと思います。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「野分」をテーマとして
  秋味の野分け焼き、大徳寺麩と蓮芋のべっこう煮、ごんぼう煎餅
  秋茄子と穴子のずんだ和え、湿地胡麻豆腐の猪山家葛あん
  名残り鱧と茗荷の味噌汁、 お口すすぎは 梨 でございます。

さて台風ともなると、「猪もともに吹かるる野分かな」(芭蕉) などと、呑気に構えて
おられません。一雨ごとに朝夕の冷気が深まり、台風一過の澄み切った秋空を見上げておりますと、いよいよ初秋の酒 「ひやおろし」 も出回り、酒の旨さも深まるなどと

思うのも 私たち酒従の楽しみでもございますが、今年は余り台風もやって来ません。

しかし乍、台風も適度にやって来ないと自然体系が壊れるなどと云われる学者さんも

おられるようですよ。 ともあれ まだまだ残暑は暫らく続きそうですね。

2012-08-25 17:32 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋そしてお盆も過ぎた初秋に 天地すべてが、涼気が帯びて来るのを申しますが、
日中は まだまだ残暑殊の外きびしく 例年ですと若干ではありますが、朝夕何んと
のう涼しく、しのぎやすくなった今日この頃を 「涼し」とするのは、日中の暑さあって
こその季語「新涼」ではないでしょうか。  「 秋涼し 手毎にむけや 瓜茄子 」  芭蕉

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「新涼」をテーマとして
  鮎の名残り焼き、茄子の猪飛騨味噌煮 ちりめん覚弥、
  百合根鴨まんじゅう、茗荷梅かつを青紫蘇巻き
  蕎麦米汁、 お口すすぎは 山家実山椒 でございます。

 

「紀州梅がつを青紫蘇巻き」
紀州の南高梅を当亭独自の梅がつをに仕上げ、これまた数日間寝かせば、
生唾ものの旨さ百倍...その梅がつを&茗荷千切りと共に青紫蘇で巻きました。
 
「ちりめん覚弥」
定かではありませんが、覚弥とは一説にはこの料理を考えられた坊さまの名前
とか!?  要は夏漬物の古漬を膾(なます)にし、音戸ちりめんや生姜みじん切りと
共に和えました。古漬特有の味わい深い酢つぱさが、堪らなく食欲食欲をそそる

昔懐かしい古里のおばあちゃんの味を、若い方々にも是非とも召し上がって頂き

たい一品です。

 

今年の八月も日毎連続の暑い毎日でいささか私たちの体が、すがすがしい秋を待ち
わびております。今週は過ぎ行く夏の素材にて夏の名残りの「食欲増進 山里料理」
でございます。

2012-08-20 14:10 | トラックバック(0) | コメント(0)

送り火は、盂蘭盆の十六日に、十三日の夕方に門前で麻幹(おがら)を焚いてお迎え
した精霊をふたたび火を焚いてお送りすることを申します。この風習は中世の頃から
行われ江戸時代に民間に普及したものだそうでございます。地方によっては違うよう
ですが現在行われている中では京都の大文字がよく知られており、盂蘭盆が終わる
頃もなれば 朝夕に秋の気配が漂い始めます。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「送火」をテーマとして
  お精進送り火和え、くるみ豆腐信濃煮
  無花果胡麻密だれ、生麩酢味噌、初秋茄子田楽
  湯葉とろろ汁、お口すすぎは 大徳寺納豆 でございます。

 
今週は、年に2週のみの精進料理で初秋の精進料理です。 私達も年に一、二度は
心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振
返る一刻が欲しいものでございますね。

 

お精進の後は早速の精進落とし、食欲増進・初秋料理の数々をお楽しみ下さいませ。 尚、お盆は休まず商いさせて頂きます。

2012-08-12 19:07 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋は二十四節気のひとつで今年は7日を申します。立秋は夏至と秋分の丁度中間
にあたります。 暦の上では、この日から秋に入り立冬の前日までを秋とし、立秋は
季節の区切りとされております。秋と申しましても秋とは名ばかりで尚も厳しい残暑が

続き古歌がむしろ立秋の季節感を伝えておりましょう。

 

「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音ぞ驚かれぬる」等と、この時節の気象上
夏型気圧配置が一時的に衰えることにより、雲や風の様相に秋の気配がしのびよっ

てくるのが僅かながらも感じられるようでございますね。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「立秋」をテーマとして
  鮎煮びたし、十三豆と蒸し鶏の胡麻和え
  小芋安倍川、南瓜真薯青汁、穴子茗荷なます
  沢煮椀汁、お口すすぎは すだち茶 でございます。

 

沢煮椀とは、吸い物出しに糸切りの白髪ねぎ・ごぼう・人参・木耳など、薬味には
白胡椒そして豚の背あぶらを入れるのが約束ごとで、食欲増進まちがいなしです。

 

さて今日「赤とんぼ」を見かけましたが、秋は早いと申しましても気持ちの上でも炎暑

の中に秋の気配を早く感じたいもので  盆の行事が一般に月遅れの八月十五日前後

に行われるので、行事上の秋は早いものでございます。暦の上では秋とは云え、まだ

まだ暑き日々が続き食欲の失せる頃ではございますれば、今週の膳に「秋の気配」を
感じて頂ければ嬉しく思います。

 

2012-08-05 13:13 | トラックバック(0) | コメント(0)

八月朔日(ついたち)を略して「八朔はっさく」といい、この頃 早稲の稲穂が実るので、
古く農民の間では初穂を恩人に送る習わしから 田実(たのみ)の節句、田面(たおも)

の節句とも申します。 この日に米団子を作って田の実なりを賀したり、厄除けと云い
桃を食べる日でもあったようでございます。また 武家では「たのみ」を「頼み」にかけ、
日頃お世話になっている頼み合っている人に、その恩を感謝する意味で贈り物を

するようになり「御中元」の始まりとも云われ、夏のお正月の意味合いも含んで

おるようです。  

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「八朔」をテーマとして  
  八朔泣豆真薯、鱸たで味噌焼き、はも柳川煮  
  厄除け桃の胡麻密だれ、瓜雷干し笹身風干し酢  
  田の実団子汁、 お口すすぎは いり米 でございます。

 

この日、宮島では藁で編んだ田面船を作り人形を乗せて海へ流し、対岸の大野町

では流れ着いたこれを拾いあげて田の畦に埋めると豊作になるとしたそうで

八朔の日から夏の昼寝をやめて、この夜から夜なべ仕事をする切り替えの日でもあり

立秋を前にして夏が過ぎると云う意もあり、秋ともなれば「夜なべ仕事が待つとる」

のと泣きべそかきながら、「八朔泣豆真薯」を食べて田実の節句を賀し、古人は

季節のくぎり節目を大事にしたようでございます。益々暑さ厳しき折柄、八月七日には

 「立秋」を迎え、早いものですね。暦の上では秋となります。

 

2012-07-30 11:14 | トラックバック(0) | コメント(0)

 

グラス 018.jpg

 

夏の盛りに、香りある美しい花をつける蓮の花弁は、十六枚が普通で朝開いて
夕方閉じるを三日繰り返し四日目には散ってしまいます。暁闇を破って "ぽん
ぽん"と音がするが如くに咲く蓮の花は、一瞬の気高い薫りに酔い、浮葉巻葉の
間から先き競う蒼々たる花を賞する蓮見の風流心。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「蓮見」をテーマとして
  心太蓮葉酢、新蓮根せんべい、おなす鰊の山家煮
  蓮芋と椎茸のあいまぜ、地鶏ずんだ焼き
  じゅんさい梅汁、 お口すすぎは 蓮茎 でございます。

古人は早朝に蓮を愛でて涼をとるなどと その風流心をお持ちのようでしたが、
現代人の私達は中々そのゆとりもなく、蓮畑も身近には消えつつありますね。
せめて今週の爐談亭では、畳一畳の蓮畑を設え一服の涼を差し上げたく存じます。

 

 

鶴 021.jpg

この蓮花&葉は岩国から取り寄せましたもので、夜咲くはずもない蓮花は亭主独自

の手法で咲かせたものでございます。 今月23日(月)から 28日(土)まで 日々

替わる蓮花と、風流「象鼻酒」を心行くまで お楽しみ下されば嬉しゅうございます。

 

 

象鼻杯.jpg

 

象鼻酒 とは、蓮の茎には蓮根と同じ穴が開いており、蓮の葉を漏斗代わりに

冷酒を注ぎ、茎から滴れ流れ出る清涼感溢れる蓮香の薫る酒を爽やかに味わい

涼しさを楽しみむものでございます。その姿が、象の鼻に似ている所から「象鼻杯」

とも云われ、3世紀頃の古代中国では象鼻酒を飲めば3年寿命が延びるとし、
客をもてなす最高の味わい方とされました。

 

夏恒例の花歳時記 「蓮見」 にて、心癒して頂ければ幸せです。 亭主合掌

 

 

 

2012-07-19 12:52 | トラックバック(0) | コメント(0)

土用は四季ともにありますが、通常は夏の土用の今年は7月19日(土用の入り)から
18日間を申します。中でも27日の「丑の日」が重視され、うどん・梅漬け・牛馬など
"う"の、つくものを食べた風習に夏の活力源の食べ物として鰻が乗じたものでしょう。

 

これは江戸時代中期の鰻屋が、奇才といわれる平賀源内に宣伝依頼し、評判定着し
たと云われており、他には土用しじみを食べたり、土用灸をすえたり習慣もあります。
そもそもは邪気除災の行事を行われたのが丑の日なのですが、暑い盛りの時期を
乗り切る為の古人の知恵でございましょう。

 

 今週の初の膳(酒肴膳)は「土用」をテーマとして、
  土用蒲焼もどき、家猪とごぼう梅煮
  うざく酢、馬と蓮芋ずんだ和え
  焼茄子胡麻豆腐、土用しじみ汁
  お口すすぎは 梅薫茶 でございます。

 

さて来週の、夏恒例・花歳時記「蓮見」では、畳一条の蓮花葉を配し、蓮の気高い
薫りと風流「象鼻酒」をお楽しみ頂き、夏の盛りに「一服の涼」を差し上げたく存じます。

2012-07-16 11:58 | トラックバック(0) | コメント(0)

ようやく梅雨が去り初蝉が聞える頃ともなれば、暑さを避けて夜気に涼味を
求めたくなる時節ともなります。夏の夜の涼味といえば鵜飼船や納涼船そして
屋形船の海や川の舟遊びも、そのひとつでございましょう。 今週は舟遊びの
山郷料理でございます。

数年前にイタリアの方がお見えになり、日本人でも「鮎うるか」を苦手の方が
多いのに「ボーノ美味しい!」と云われました。よくよく伺えば「アンチョビー」に
似て美味しいそうで、これをヒントにパスタならず「そうめん」と合わせてみた所、
これがまた酒の肴に合うのです。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「涼舟」をテーマとして
  鮎の笹焼き、鬼灯琥珀玉子、川風豆腐
  うるか葛きり和え、あなご胡瓜なます
  冬瓜冷や汁、お口すすぎは 青柚子茶 でございます。

水の上を渡ってくる風は涼しく、ボート遊びや、水遊びに、にぎわう昼間の騒々しさ
にくらべて、赤いほうずき提灯をつるした屋形船の時々船縁を打つ竿の音が辺りの
静けさをいっそう感じさせます。誠に凌ぎにくい夏の夜を 舟遊びに出掛けてみては
いかがでしょうか? きっと思い出に残る夏の夜の涼味となるのではと思います。

 


 

2012-07-11 14:37 | トラックバック(0) | コメント(0)

五節句の一つに数えられる七夕祭は星を祭る行事として

中国の後漢の頃に端を発し、日本に入ってきたのは奈良時代の頃で、

『日本書紀』によれば持統天皇の5年(691年)に宮廷で七夕の宴が

催されたのが、七夕祭りの始まりと云われます。

天の川の両岸をはさみ牽牛星(ひこ星)と織女星(おり姫星)とが

年に一度の逢瀬を許されたが、もしこの夜が雨となって

天の川の水嵩が増して渡れないときには、鵲(かささぎ)が両羽を

ひろげて橋となり、織姫を渡してやると云う伝説により、

七月七日には両星を祭る風習が江戸時代より盛んになったそうでございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「七夕の節句」をテーマとして
  天の川茶豆腐、夏鴨と里芋の甲州煮
  願いの糸瓜、笹舟小鯵酢、七色酒菜
  はも茄子味噌汁、お口すすぎは , 青しそ でございます。

2009 018.jpg

七夕の宵には 当亭中央の板の間に天井までの笹の木をご用意致しますれば,

願い事を短冊にしたため、笹竹に結び七夕流しに興じた子供の頃を思い出し

いにしえの恋物語に思いを馳せながら、夏の一夜を閑かに心遊ばせて、

ひと筆いかがでございましょうか...

 

2012-07-01 14:04 | トラックバック(0) | コメント(0)

古くは六月と十二月のみそかに、罪、汚れを祓い清めた神事を「大はらい」といい、
十二月の年越と、六月のはらいを 夏越(なごし)の祓(はらえ)と申します。

 

夏越は、神意をやわらげる意味の和し(なごし)であるといわれ、この夏を無事健康に
越せるようにと六月三十日に行われるもので、古くは農家にとって田植え終了後の
いましめ又つつしむべき「忌みの日」でもあったようでございます。

 

この夏越では、茅の輪(ちのわ)という茅(かや)で作った輪形を拝殿や鳥居の所などに設け、神官がくぐった後に続いて参拝者もくぐって災厄をはらう「茅の輪くぐり」や、

また人形(ひとがた)の紙切れに身の災いを移し、川に流したりも致します。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「夏越」をテーマとして
      人形木の芽鴨味噌やっこ、茶魚そうめん、鱧ちくわ胡麻酢
      水前寺海苔にしきぎ山葵風味、笹身の梅みょうが焼き
      うなぎ肝汁、 お口すすぎは 桃茶 でございます。

 私達も月日の流れにながされて今年も早や半年も過ぎ去さろうとしております。
この夏、皆様のご健勝を祈念申し上げます。  亭主合掌

2012-06-25 13:49 | トラックバック(0) | コメント(0)

蛍狩り.jpg  花名 螢袋(ほたるぶくろ) 捕まえた螢をこの花の中に入れ花弁の先端を結び、
  幻想的な螢光を楽しむと云う。古人は何んと風流な遊び心をお持ちのようです。

 

私の子供時代には、初夏の夜には幻想的な螢狩で癒しの体験をしたものでござい
ます。一時は農薬の為、螢の餌となる川蜷(かわにな)が姿を消し、螢も次第に
見られなくり、わずかに残された自然環境の中で健気に生きておりましたが、
最近では農薬規制、また保護活動などにより生息環境も整い始め、蛍狩りの声を
耳にするようになりました。

 

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「螢狩り」をテーマとして
  ほたるいか黄身酢、若鮎揚せんべい
  家猪梅煮、淡雪豆腐、紫じゃこめし
  粟麩と瓜の味噌汁、 お口すすぎは、しそ茶でございます。

 

螢は、源氏蛍と平家蛍に代表されます。無数の蛍が入り乱れて飛ぶ情景を蛍合戦
といい、宇治の蛍合戦は源の頼政の怨霊の現われとの伝説もございます。水辺の
闇に神秘的な光を明滅して乱れ飛ぶ 夏の優しの虫「蛍」の様は、まさに初夏の
風物詩と申せましょう。次第と食欲の失せ始める梅雨の時分の今週は、食欲増進の
旬菜料理でございます。

2012-06-17 15:12 | トラックバック(0) | コメント(0)

暦の上では十日が入梅です。広島は先週より梅雨期に入りました。 
梅の実が熟する頃の雨なので梅雨と申すそうですが、
古くは陰暦五月にあたるので五月雨 「さみだれ」 とも云い
この時季に雨が降らない事を、空梅雨「からつゆ」とも申します。
いずれにせよ じめじめとした肌寒さを覚える日もあって、
誠にしのぎにくい月ではあります。しかし見様、考え様では風雅なもので
「五月雨や 色紙へぎたる 壁の跡」などと侘びに興じた芭蕉をしのび
いっそ「雨を楽しむ」と開き直り、五月雨の音を酒の肴にと洒落込むのも
結構なものかとも存じます。

  

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「入梅」をテーマとして
   海老の紫陽花揚げ、蜆と瓜雷干しの辛子酢味噌
   青煮梅、新牛蒡香り炒り煮、空豆夏鴨真薯、
   鰯つみれ汁、お口すすぎは、香煎茶です。

 

紫陽花.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巡るめく花の移ろいに誘われて、梅雨の花「紫陽花」を亭内あちこちに配し、
酒の肴にお楽しみ頂きます。 下段は「隅田の花火」と云う額紫陽花です。

 

隅田の花火.jpg

 

 

2012-06-10 13:59 | トラックバック(0) | コメント(0)
夏祭りは、五月の東京「三社祭」、京都は「葵祭」に始まり、広島では円隆寺の
稲荷大明神の祭礼として、通称「稲荷(とうか)さん」で本格的な夏を迎えます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「夏祭り」をテーマとして
  柿の葉祭り寿司、お稲荷なます、落花生豆腐、
      うなぎの蓼味噌焼き、翡翠とまと
  はも魚そうめん汁、 お口すすぎは、すだち茶でございます。

この円隆寺は修法師(しゅうほっし)によって護られ、旧暦五月五日(新暦6月初め)
を明神の祭日とし、祈祷会を行い災厄を祓うときなので、この日をとって厄払いの

祭りを行うことになりましたようです。稲荷(いなり)と書いて(とうか)と読みなぞらえ、
そもそもは10日に行われた祭りが、数年前より第一金土日に移り、現在に至って
おり今年で395年の歴史を迎えます。この時節にすれば真夏への切り替え時なので

大正初年から この日を真夏への「衣替え」とし、浴衣の着初めの習いとなったもので

夏を健康に過ごせますようにと祈ります。 この夏の御健勝をお祈り申し上げます。

 

2012-06-04 11:49 | トラックバック(0) | コメント(0)

六月一日は「氷の節句」。あまり親しみのないこの節句は、京都は北の郊外の奥山に
氷室(ひむろ)と云う地名があります。昔、この深山山中奥深くの洞穴室に冬中に貯
えておいた氷を六月一日になれば、宮中に献上したと申します。宮中人の役得でしょ
うか!?この日少しでもこの氷を口にすると夏痩せせぬとか、夏を無病息災に過ごせる
と伝わっておりますが、所が昔の事ですので一般庶民は貴重な氷は口にすることも出
来なく、せめて氷室神社の紋を象った外郎を食べて夏を健康に過ごせますように祈り
食した風習がございます。その紋たるや氷の結晶を意図した三角形の形をしており、
その形に小豆を散らした外郎を「水無月」と云い、現在でも六月の和菓子屋さんでは
代表的なお菓子のようです。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「氷の節句」をテーマとして
 氷室にこごり、酒魚と若布の緑酢和え、独活と京揚げの干辛煮
 揚げ出し加茂茄子、地鶏と蓬麩の笹巻き蒸し、水無月豆腐汁
 お口すすぎは、氷茶でございます。

 

広島では6月第1金曜・土曜・日曜の3日間通称「稲荷(とうか)さん」の夏祭りが始まり
ますが、丁度この頃は衣替えの時節でもあり、浴衣の着始めの習いでもありました。
この夏祭りや、夏越の祓えなど本格的な夏を前にして、「氷の節句」同様に この夏を
無事健康に越せますようにとの祈りからの行事でございます。

 

2012-05-26 15:33 | トラックバック(0) | コメント(0)

立夏の後15日目、大体5月21日頃を二十四節気の一つで「小満」と云い、
この頃が麦刈りの時期とされています。陽気が盛んになって万物成長し時鳥が
鳴き、麦が熟れる頃を「麦秋(ばくしゅう)」麦の秋と申します。 その景色が、
稲が秋に実るに通わせて、麦にとっては収穫の秋。すなわち麦が熟れるのを
秋になぞらえたものでございましょう。 ようやく強さ増した初夏の太陽の下、
山里では青葉若葉の新緑に取り囲まれ、かたや黄熟しきった麦畑は鮮やかな
対象を見せてくれます。 何んと のどかな景色ではありませんか。

 

麦秋.jpg

  今週の初の膳・酒の肴膳は、「麦秋」をテーマとして
   麦秋切り麦、かます竹皮風味焼き、鱸かんらん博多押し
   柿茶豆腐の薬膳胡桃和え、空豆と蒸し鶏の麦酢味噌  
   はったい粉団子汁、お口すすぎは 麦茶 でございます。

 

はったい粉は「麦こがし」とも呼ばれ、大麦(裸麦)を焙煎し粉砕したもので、
私が子供の頃には、お湯と砂糖を混ぜ 練って食べたりいたしたものですが、
田舎のお婆ちゃんを思い起こさせるその味は、子供達に伝えたい昔なつかしい
ふるさとの味でもございます。今週は、麦に因んだ山里料理をお楽しみ下さい。

 

2012-05-21 11:01 | トラックバック(0) | コメント(0)

暦の上では立夏も過ぎ、春色はあせ爽快な夏の気配が立ち初める季節、
いわゆる晩春初夏と云うくらい良き時節でございます。色々の花が次々に
開き新茶は香り、草木は驚く程に伸びてゆく頃には「田植」が始まります。

 

稲は苗代を作り八十八夜前後に本田に移し、そして田植えを致します。
この頃、田んぼに水を入れますが、雨が少ないと困りますので、雨乞いと
豊作を祈願し笛や太鼓を打ち鳴らして「花田植」を唄い舞ったと申します。

 

昔の県北一帯は魚の乏しい所であったようで、中国山地を越えて「鮫(わに)」や
「塩鯖」が送られて来ました。今週は県北山郷の伝統郷土料理でございます。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「田植えどき」をテーマとして
  さんばい、田植え鯖のちしゃもみ、家猪梅焼酎煮、
  わにと瓜の木の芽辛子酢味噌、山里切干し大根炊き、
    早乙女汁、 お口すすぎは 焼米茶 でございます。

 

昔の県北では田植えの頃になれば、田んぼの畦道に何故かしら栗の枝を
2・3本挿し、山から「さんばいさん」と称される「田の神さん(太陽と土と水の

神)」をお迎えし、田植えが無事に終わり秋には沢山の米が実りますようにと

「さんばい」と云う料理を供え、豊作を祈願したそうでございます。

 

さんばい.jpgこの「さんばい」とは、黒豆入りの素朴なおこわを青い朴葉に包んだもので、

その謂われは定かではありませんが、素朴で味わい深い「言い伝え料理」です。

2012-05-13 14:00 | トラックバック(0) | コメント(0)

およそ1300年ほど前、万葉の頃から行われていた漁師が鵜を遣い
魚を捕える漁法「鵜飼」は、岐阜県・長良川が最も有名で、鮎解禁より
全国を先駆け五月十一日に鵜飼開きが行われます。

 

鮎は月明かりを嫌うと云われ満月の前後数日は行われないそうで、
闇夜の川を鵜篝(うかがり)の火の粉を暗い川面に撒き散らしながら、
目の前を矢のように通り過ぎて行く鵜舟を眺めておりますと、
清らかにも静かな川の趣きを感じさせる初夏の風物詩と申せましょう。
    
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「鵜飼開き」をテーマとして
  鮎の風干し焼き、川海老の川風揚げ、鴨の冶部煮、
  茗荷と瓜の葛きりなます、かぼちゃ篝火ほのお寄せ、
  芽順才とろろ汁、お口すすぎは、木の芽茶でございます。

 

因みに広島では六月一日より鮎解禁となり、当亭では入り口の大瓶に
日々限定数で活かした地物「天然若鮎」を楽しんでもろうちょります。
鮎は、4月中旬頃から川底の石に付いている硅藻類や藍藻類のコケを
盛んに食べ始め、6月頃には15センチぐらいまでに成長した若鮎は、
焼く前は爽やかな西瓜の香りが漂い、塩焼きは骨抜きなどしないで
頭から丸かじりすれば、独特の苦み&苔の香り、若草のような香りが
口中に広がります。6月を楽しみにしてつかあさいね。

2012-05-06 23:41 | トラックバック(0) | コメント(0)

端午の節句 

2012年4月28日

shoubu2.jpg来週の花歳時記「端午の節句」の週では、亭内中央の欅板の間に菖蒲畑を配し
花菖蒲の香りと「菖蒲酒」をお楽しみ頂きます。

 

軽やかな南風にそよぐ青葉若葉が陽光にきらきらと映じて青い嵐のように感じられる
という五月に早苗を植える季節であることから早苗月、それが転じて皐月(さつき)
と申します。三月の桃、四月の桜に続いて五月は花菖蒲。端午の節句を菖蒲の節句とも云い、強壮解毒作用を持つ菖蒲や蓬を軒下に差して邪気を払い、火難除けとし、
菖蒲湯は健康増進。そして菖蒲酒を飲めば蛇にかまれないという風習がございます。

 

今週の初の膳 酒の肴膳は、「端午の節句」をテーマとして
 皐月鯉の薫風焼き、竹の子木の芽和え
 笹身菖蒲蒸し、卯の花柏葉巻き、木耳山里煮
 よもぎ団子汁、 お口すすぎは、菖蒲酒でございます。

 

五月五日は男の子の節句。矢車を付けた竹竿に鯉幟、吹流しを付け薫風になびかせ
男の子よ勇壮活発に育てよと願うものでございますが、菖蒲&蓬の「邪気を払い&
火難除け」そして「菖蒲湯に菖蒲酒」と共に、ビルが建ち並ぶ風情なき都会生活では
廃れつつある習わしでございます。

 

尚、今月より日曜祝日の定休日とさせて頂きますので、
「端午の節句」は、5月1日2日のみの営業となります。何卒ご了承下さいませ。

2012-04-28 12:52 | トラックバック(0) | コメント(0)

立春から数えて 八十八日目に当たる五月二日頃を八十八夜と申し、この頃になれば
春霜が終わり種蒔きに好適の時期とされ、八十八を組み合わせると「米」という字に
なるので昔から農家ではこの日を大事にしたようでございます 
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「茶摘み」をテーマとして
  新茶豆腐笹巻き、菅笠椎茸海老真薯 鰻印篭煮、
  こごみ山ふぐ胡麻和え、山うど蒸し鴨の黄身酢
  しじみ山里汁、 お口すすぎは 新茶 でございます。

 

「夏も近づく、八十八夜」の 歌の文句にもあるように、茶摘みは四月上旬から始まり
八十八夜から二,三週間が最も盛んで、八十八夜に摘んだ茶葉は"極上"と云い
古来より珍重され不老長寿の妙薬と云われました。私達が 新茶の香りを味わえるのも真近ですが、春はあっという間に過ぎ去り、早いもので もう初夏を迎えます。

2012-04-22 20:24 | トラックバック(0) | コメント(0)

世の中は三日見ぬ間の桜かな...と、移ろいやすい花の命に諸行無常の人生を垣間
見て、そのはかなさに物のあわれを感じるのが人の心でございます。待ち焦がれて
いた今年の桜も、あっという間に終わり葉桜の時節を迎え青葉若葉に時鳥、さては
卯の花に藤、つつじと風薫る晩春初夏を迎えます。「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」
やがて春の黒潮暖流の水温上昇と共に鰹が来遊し始め、この頃に捕れる鰹を初鰹と
呼び珍重され、いよいよ鰹の美味しい時節となります。
 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「初鰹」をテーマとして
  初鰹青葉たたき、なまり節と新筍炊き、鰹団子葉桜蒸し
  菅笠椎茸鴨真薯、空豆塩ゆで、山菜とろろ汁
  お口すすぎは 木の芽 です。

 

鰹は、昔から意気の良い魚として「勝魚」とも書かれ 江戸っ子に喜ばれたそうで、
また鰹は"勝つ男"に通じるとして、戦国世の鎌倉武士たちが愛好したと申します。
丸まると引き締まった鰹の姿を目にしますと、最今の不景気に打ち勝ちたいものと
勢いをも感じさせられますが、私間近かの若者達にも、その思いが伝われば宜しい
のですが、それも庄屋の我が儘かも知れません... 歳のせいですかね。


 

2012-04-15 01:19 | トラックバック(0) | コメント(0)
 
かたくりの花.jpg今年も山形は庄内より、すみれに似た可憐な山菜「かたくりの花」が届きました。
 
華やかな桜が終わる頃、うららかな陽の光に芽吹く緑を目に致しますと言い様のない
いじらしさを覚えるものでございます。 この頃 山里では山菜でいっぱいです。
山菜の味わいは、この芽吹きを知ることから始まります。雪解けの土を割って頭を

もたげる"ふきのとう"  厳しい冬を知らなかったかのような"山うど" 可憐な姿で風に
そよぐ "かたくりの花" 等など。山菜は、季節と出逢うよろこびですね。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、只今旬の「山菜づくし」をテーマとして
  たらの芽鶏信田、山うど薫鮭巻、かたくり茎花したし
  こごみと山ふぐの辛子酢味噌、つわぶきと揚豆腐の山家煮
  野かんぞうと蓬麩の味噌汁、お口すすぎは , 蕗の薹です。

山菜は旬です。旬はめぐりめく自然の贈り物でございます。次の休日には万葉の昔に
夢を馳せて春の一日思いきって"山菜摘み草"に出掛けてみては如何でしょうか・・・

 

2012-04-08 23:44 | トラックバック(0) | コメント(0)

春意ようやく動き始める今日この頃は卒業から進学へ、
学生から社会人へ、あるいは新しい職場への異動転勤等が多くなり
いわば新しい人生へと旅立つ門出の時節でございます。

 

古人は門出の祝いにと、菜と鶏を炊き合わせて見事に「名取れ」と
励ましました。「菜鶏」に「名取」をかけたその感覚は私たち現代人にも
なお新鮮に感じるものでございます。

 

古来日本人は何よりも名を重んじ名を汚すことを恐れ、その名に恥じない
働きをする日本人気質を大事にしたものです。さて今の時代に生きる私達は
如何なものでございましょうか!?  

 

今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「送迎」をテーマとして  
 

 「名取炊き合せ」 門出の祝いに菜と鶏を炊き合わせて見事に名取れと・・・
 「鯖の黄金出世焼き」 最近では三流とは云えない鯖が黄金出世致しました。
 「茶蕎麦田楽」 新しき旅立ちの後にも細く永くのお付き合いをと・・・          
 「明日葉と生湯葉の辛子胡麻酢」 明日の旅立ちと云う言葉から・・・  
 「富貴の山家煮」 蕗 すなわち 富(ふ)貴(き)と書いて金銀に恵まれ何不自由なく
 「鯛の二色潮汁」 めでたく故郷に錦(二色)を飾ると申します・・・         
  お口すすぎは「蓬」でございます。

 

因みに百花の王「牡丹」を「名取草」とも云ったそうで百花咲き乱れる春を迎えます。 

そして来週は、いよいよ毎年恒例の 「夜桜」 を お楽しみ下さいませ。

2012-03-19 13:16 | トラックバック(0) | コメント(0)

      

         今日は昨年の大震災より 早や一年を迎えました。

   東日本大震災物故者様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 亭主合掌

 

彼岸桜.bmp          桜の時節に先駆け、可憐な花びらで咲く 「彼岸桜 」

 

今週十七日の彼岸の入りを前にして、暖かくなり始めたかと思いきや またもや
冴え帰る寒さの日々ですが、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と申し、土筆や蓬も
芽吹き始め、冬の寒さも彼岸を境に春めいて、やがて雁が北の空へ消えて秋分の
頃には雁が帰って来ます。今週は、待ちどうしかった野や山の恵みに感謝しつつ、
山郷のお彼岸の膳でございます。

 

 今週の酒の肴膳は、「お彼岸」をテーマとして

  蓬鶏つくね、お彼岸上戸餅
  鯛の筍利休蒸し、土筆の山家煮、
  田芹じゃこ膾、早蕨汁
  お口すすぎは 若布湯 でございます。

 

ご承知の通り お彼岸は年に二回。春分&秋分の日を中心に前後七日間を申します。
この日には祖先の法要や墓参りをして、その霊がやすらかに 彼の岸(煩悩の流れを

越えた悟りの境地)に到達することを祈るのでございます。

 

2012-03-11 14:57 | トラックバック(0) | コメント(0)

昨年の大震災より早や1年を迎えようとしております。

今週は東日本大震災物故者様 一周忌追悼により
早春のお精進料理「御斎(おとき)」の膳を ご用意させていただきました。

 

御斎(おとき)の称呼は、寺々に集まった在家信者に供される食事(精進料理)の
ことを申します。精進料理の古い様式が今に伝わってるのは、三月十二日の
東大寺で行われる お水取り(修二会)で有名な二月堂で「こもりの僧」が、
精進潔斎(肉食を断ち行いを慎んで身を清める)するときの食事ではないでしょうか。

 

春とは云え早春のさえ返る寒さの僧房で、紙衣の求道僧が素朴な食器で
食事礼法に法り 行儀正しく食事を摂る様は、平成の時代とは思えない
厳しさと鋭さを感じさせられます。

 

 今週の膳は、「おとき」をテーマとして早春の山里精進料理です。
  若布豆腐ほのお人参、土筆と山うど胡麻酢、茶そば磯巻き
  牛蒡束紫焼き、蕗の薹&湯葉昆布揚げ、三月大根梅花汁
  お口すすぎは 干し柿 でございます。

 

当亭は決して精進料理の店でもなく年間52週替わりの味暦歳事記の内2週が
精進料理なのですが、もう1週は盆が過ぎた頃の初秋の「送火」がございます。
さて21日は春のお彼岸です。私達も年に一・二度は心を澄まし、清らか気分で
精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振返る一刻が欲しいもの
でございますね。

 

2012-03-04 14:23 | トラックバック(0) | コメント(0)

桃の.jpg桃の節句は、五節句のひとつで上己(じょうし)・重三(ちょうさん)などとも呼ばれ、
この日紙雛を川に流し送る"流し雛"が雛祭りの源流と云われ、祓い(はらい)の為の
人形(ひとがた)に供物をささげて、もろもろの凶事をこれに負わせたと申し、
端午の節句と同様に我が子の成長を祈るのです。


雛の膳.jpg             今週の膳は、「桃の節句」をテーマとして 

                  鱒の白桃焼き、菱形真薯
        海老の葛水仙、菜の花と赤貝の辛子酢味噌、、鳥の巣ごもり
          手まり麩味噌汁、お口すすぎは、白酒に桃の花びら。

長かった冬ごもりに終わりを告げ、一斉にすべての生命が芽吹き春の喜びをうたう
雛祭りの膳の向付には「菜の花と貝の酢味噌」が、おきまりの桃の節句の膳を

酒の肴に、酒に桃の花びらを浮かべて雛の酒と洒落込むなどと私達酒徒も

それくらいの風流心と、ひとときを持ちたいものでございますね。

 

2012-02-26 14:13 | トラックバック(0) | コメント(0)

梅見untitled.bmp 「東風吹かば にほいおこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」   菅原道真

 

立春から、およそ一ヶ月間は春とは名のみの寒さ、少し暖かくなりかけては
また急に冷え込むのを冴え返ると申します。それでも一月に比べれば昼が長くなり
日差しも春めいて梅も咲き始め春の気配を感ずる季節でございます。

如月すなわち二月の異名に春に魁けて梅の花を見るので「梅見月」とか「梅月」
などと云い、あちこちで梅まつりの頃ともなります。 京都北野天満宮の梅花祭では
二月二十五日の菅原道真忌にあたり、菅公が愛した梅花の枝を霊前にお供えする

ので「梅花御供」とも呼ばれております。

          

今週の膳は、花暦歳事記「梅見」をテーマとして
 紅白梅花酢かぶ、地鶏ふきのとう味噌煮込み、早春白魚玉じめ、  

 鰆朴葉焼き、壬生菜梅香漬け、揚げ煮梅清し汁、 お口すすぎは、「梅見酒」 です 

 

1梅酒 002.JPG今年も、囲炉裏を囲む欅板の間に天井までの白梅の木を配し、亭内いっぱいに

梅花香る「梅見酒」と洒落込み「早春の味」を、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。

 

因みに、毎年恒例 「夜桜」 は、3月26日(月)~4月7日(土)を予定致おります。

 

2012-02-16 12:44 | トラックバック(0) | コメント(0)

雪国秋田県の横手市では、今年は2月15日の晩にかまくら(釜をふせたような形)を
作り、正面の祭壇には(おすずさま)と呼ぶ水神様を祀り、餅や甘酒等の供物を供えて
お灯明を灯し、子供達は餅を焼いて食べたり甘酒を温め、めらし(女の子)は土製の
頭を串に付け色紙の着物を着せた「串あねこ」と呼ぶ姉様人形で遊びます。

 

 今週の膳は、春を待つ「かまくら」をテーマとして
  小蕪と鴨のかまくら蒸し、干し菊ぜんまい胡桃和え
  角館鮭の豆腐巻き、挽き割り納豆鮪、水神なます
  秋田だまっこ汁、 お口すすぎは 甘酒 です。

 

昔から飲み水の乏しかった この地方の忌屋(いみや)即ち水乞いの風習だそうで、
400年以上の歴史を持つ「かまくら」に あかあかと灯った お灯明は雪中に映えて、
全国でも有名な雪国の幻想的で詩情豊かな民俗行事です。 今週は、春を待つ

秋田の郷土料理でございます。

 

2012-02-13 12:20 | トラックバック(0) | コメント(0)

古く昔の女性は綿から糸を紡ぎ、いろいろに染めて機織りにかけ織り上げることが
最上の任務であり、さらにその布を裁断して種々の着物に縫い上げることは更に
大切なことでしたようです。その意味から針の神(淡島様)を祭り、針に感謝する
この針供養の行事は 関東では二月八日、関西は十二月八日に行われますが、
全国的には二月八日が多いようです。 

 

その日には針仕事を慎んで針を休め、一年間に使い古した折れた針を柔らかなもの
豆腐や蒟蒻に刺して休めると云って淡島様の神前に供えて供養し、併せて裁縫の
上達を祈念致しました。最近の家庭では針を使う事も稀で針供養はされないようで
洋裁&和裁学校位でしょうかね。この針供養の習わしは、すべてを手で縫っていた
頃の古風ゆかしき早春の針供養の行事でございます。

 

 今週の膳は、早春の習わし「針供養」をテーマとして
  針供養空也豆腐、畑菜の初午辛子和え
  早春鱒笹寿司、如月飯蛸、霜降り笹身酢
  山家酒粕汁、 お口すすぎは 針柚子 です。

 

如月飯蛸 (きさらぎ・いいだこ)
立春を過ぎれば 暦の上では春。いわゆる早春と云われる如月には「飯蛸」の
美味しい季節ともなり、胴の中の卵巣が米粒のようなので飯蛸とよばれます。
私達酒徒にとって、早春の酒の肴には堪えられなく 口中で海の香と酒が
渾然一体になり、至福の時が訪れます。

2012-02-05 14:10 | トラックバック(0) | コメント(0)
節分.jpg節分は冬より春に移る「季節の分れ目」で 大寒より十五日目
立春の前夜2月3日にあたります。暦の上では春とはなりますが、
春とは名ばかりで実際には余寒が厳しく冴え返る日々が続きます。

節分には「鬼は外、福は内」と連呼し鬼打豆を捲き、
門口へ焼いた鰯の頭を柊にさして悪鬼除けを致します。
柊(ひいらぎ)葉の「とげ」が鬼の目を刺し、
焼いた鰯を食べる習わしは、鰯を焼くにおいが臭いからとて、
疫鬼よろず諸々の厄が逃げていくのだと云います。

また一年の砂おろしに蒟蒻の白和えを食べたりする風習が、
新しい春を迎える意味からも平安室町の昔から今も変わりなく
続けられている早春の年中行事のひとつでございます。

 今週の膳は、春を迎える「節分」をテーマとして
  節分鰯の梅煮、ふろふき葉付き小蕪
  節分白和え、子宝なます、地鶏立春蒸し
  揚げ蕗の薹とろろ汁、お口すすぎは 芹茶 です。

季節の移り変わりは早いもので 待ち遠しかった春はもうすぐです。
2012-01-29 23:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

akinoyonaga.jpg  今週は「手造り和蝋燭」 ほの灯りで「夜咄」のお食事をお愉しみ下さい。

 

「夜咄」とは寒い冬の夜長に黄昏れ時から催される茶事七式のひとつとされ、
明暗の対照と寒暖の差異を楽しむもので、温かさが何よりのご馳走でございます。
「夜も長いことゆえ、いましばらく語り合いましょう」と、ひとつの火を囲み身も心も
暖め合うのが夜咄の茶事でございます。

 

当亭は茶席ではありませんので酒を楽しむ酒亭として、夜咄の茶事ならず
「夜咄の酒事」とし平素より薄暗い亭内にて和蝋燭の ほの灯りでお気軽にお酒と
お料理を楽しんで頂きたく、そして「一服の温かさ」を差し上げたく存じます。

   

  今週の酒肴膳は、春を待つ「夜咄」をテーマとして 
    鯛蕪蒸し、蕗のとう豆腐、猪山家煮
    早わらび焼烏賊、しめさば柚子黄身酢和え
    大徳寺麩汁、 お口すすぎは、生姜酒 です。

 

自然の微妙な変化に繊細な心を働かせた茶人は、"空の色に" "折節の淡雪に"
さては"障子に映る日差し"にも ひそやかな春の訪れを感じ取ったとか・・・
現代の都会生活では自然との触れあいが あまりにも乏しく、ともすれば人の心も
すさみがちになります。 寒い今宵は、囲炉裏の炉火を囲み心やすらぐ和蝋燭の
ほの灯りで酒を酌み交し語り合うひとときに 日常の煩わしさから離れ、心和ませて
頂ければ、この上ない幸せに思います。

2012-01-22 19:37 | トラックバック(0) | コメント(0)
鰤大根炊き.jpg 大鍋で 「グツグツ」音をたてて煮える黄金の味噌合わせ「 骨正月寒鰤大根煮き 」

正月終わりの節目と云う意味で、一月二十日を「二十日正月」と申します。
京阪では正月用の鰤や鮭の残りのあら骨を味噌や酒粕の中に入れて、
牛蒡や大根と共に煮て食べることから 俗称「骨正月」と申します。
鰤は、小さい時から成長するに従って名を変えていくので出世魚として
縁起が良いとして祝うもので、これで総てお正月は終わりましたと云う訳です。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「骨正月」をテーマとして
  骨正月寒鰤大根煮、寒鯉山椒焼、慈姑煎餅
  むかごと木耳の柚子味噌、蒸し鳥と芹の土佐酢
  麦正月揚げとろろ汁、 お口すすぎは、蕗の薹 です。

石川県では「乞食正月、奴正月」とも云い、京都府下(竹野郡)では「ハッタイ正月」
また、中国地方では「麦正月、とろろ正月」などと云って、これらを総称して「二十
日正月」と申すそうでございます。二十日は大寒を迎え、寒さが最も厳しくなるこんな
夜は熱々の「火の味」が 何によりもご馳走となりましょう。お風邪を召されぬように
呉々もお気を付け下さいませ。
2012-01-16 13:10 | トラックバック(0) | コメント(0)

鏡も地.jpgさて十一日は「鏡開き」。遠く平安時代の新年の行事のひとつとして歳首に
長寿を祝って大根、押鮎などを食べる習慣が、室町.江戸時代になって武家では
男子は「よろいびつ」に 女子は「鏡台」の上に供えた鏡餅を、刀柄(はっか)
初顔(はつがお)の祝いとして、二十日(はつか)におろして食べたのですが、
しかし後に三代将軍家光の忌日となった為、二十日を避けて何故か十一日になっ
たそうでございます。又、それ以来この鏡開きの行事は鏡餅を刃物で切ることを
忌み、手や木槌で割り開いたことにより「鏡開き」と云われおります。

 

 今週の酒肴膳は、「鏡開き」を、テーマとして
  お鏡餅揚げ煮、寒鴨黄身酢、五色なます
   慈姑真薯と焼きあなご、織部いわし
  蕗のとう味噌汁、 お口すすぎは、松の実です。

 

昨今のお鏡餅は真空パックとやらで、すでに個々に切り分けられ 合理的で便利と
云えば便利ですが、何とのう味気なく食文化も失われつつもあります。
ともあれ今日は成人の日。鏡餅の頑強な固さには当惑致しますが、おのずから
自分の道を開くにも鏡餅を我が手で渾身の力を込めて切り開くが如く歩み生きて
頂きたいものですね。

2012-01-09 20:38 | トラックバック(0) | コメント(0)

迎春.jpg               「 笑 門 来 福 」  

        初春を迎え、皆様のご健康と ご多幸をお祈り申し上げます。

 

陰暦いわゆる旧暦では新年すなわち一年の初めを立春(二月四日頃)に合わせるよう
にしていたので新年は同時に迎春でありました。春を迎える喜びの中に新年を迎える
祝意も込めていたのでございましょうね。今は失われつつある「松飾り・餅花・お鏡餅・獅子頭・競い独楽」など等、「正月の風情」と「迎春の膳」をお愉しみ下さい。

 

新年四日より初店の 今週の膳は「迎春」をテーマとして
寒鰤寿焼き、七種がゆ、利休いりこ
あん肝柚子おろし、鴨たたき寄せ熨斗人参添え
蛤真薯清し汁、 お口すすぎは、大福お屠蘇 です。

 

正月の七日には春の七草「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、
すずしろ」を入れた七種(ななくさ)粥を食べる習わしがありますが、この行事は
七種粥を食べると万病を除くと云う古い習わしで、陽暦では自然の状態で七種は
生え揃うものでもなく、もとは田植えに先立って行われた行事が正月に移されたもの
だそうです。ともあれ七種粥は、心身の浄化を図る為の古人の知恵でございます。
古人すなわち先達は、はかり知れない食生活の知恵を今に残されております。

2012-01-01 03:25 | トラックバック(0) | コメント(0)

y200500c_A1.jpg心忙しい年の暮れ。いろいろと思い出の多かった今年も後わずかとなりましたが、
一年が終わる大晦日の週に当亭では、ひとと歳の水の恩を送るために茶家同様に
除夜釜をかけます。水と火がなくては茶湯は出来ぬと知りながらも、つい忘れがちに
なるのが「水の恩」。 それゆえに年の境い目に改めて大年を惜しみ、感謝の念を
新たに致すのでございます。
  
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「年越」をテーマとして 
  つもごり鴨蕎麦、春菊不老長寿和え
  鮭かぶら巻き、柚子田楽、烏賊にごり焼
  除夜粥汁、 お口すすぎは、芹 昆布茶 でございます。

  そして、今週では最今の不景気を吹き飛ばさんが如く
  連日 皆様とご一緒に「餅搗き」を致し「搗き立て餅」を
  お召上がり頂きます。

やがて、とこからともなく除夜の鐘の音が、強く五十四、弱く五十四、合わせて
百八声。 これは十二月、二十四節気、七十二候の合計がこの数だそうで、
人間の煩悩 (心身をまし乱す迷いのもと) の総てを鐘の響きにのせて吹き祓う
のです。 

尚、本年は30日までの営業とさせて頂き、身勝手ながら 31日から新年明けまして
3日までは正月休みを頂戴致します。新年1月4日初店よりの営業でございます。
皆様には何卒良い年をお迎えなさいますよう お祈り申し上げます。  亭主合掌

2011-12-24 00:11 | トラックバック(0) | コメント(0)

22日は冬至です。冬至は二十四節気の暦の一つで、太陽が赤道から最も
離れるときで昼間が最短、夜間が最長の日でございます。冬至から日脚が
伸び太陽の復活してくる日を祝う風習から、太陽が如く色の南瓜を食べると
中風にかからないとか、柚子湯に入ると風邪を引かないなどと云われ、
古来より一年を健康で送る為には、人は「運、鈍、根」を身に付けておかねば
ならない故に、南瓜(ナンキン)を始め運「ン」の音の二つ重なる食品を七種食べ
て開運厄除けを致しました。今週のお膳には、その「ン」の二つ重なる食材を
七種組み入れたお献立です。 尚、(  ) の数字は ンの重なる食材の数です。

 

今週の初の膳/酒の肴膳は、「冬至」をテーマとして
  冬至南瓜ほうとう(2)、寒天寄せ柚子味噌(1)
  荒巻鮭酒焼き、金銀冨貴(2)、蓮根鴨きんぴら(1)
  曙人参軽羹仕立て(1)、 お口すすぎは、柚子湯です

 

又、冬至は火祭りの行事として、柚子を縁の下に入れておくと火災を防ぐとも
言伝えもございます。ともあれ冬至の行事は、食生活が豊かな時代になっても、
寒さというストレスに対応出来ないことの多い現代人に対して、色々と反省す
べき示唆を与えてくれておりましょう。

2011-12-20 15:24 | トラックバック(0) | コメント(0)

「事納め」が、未だなのに「事始め」とは 何ぞやと思われましょうが、
古来、陰陽学から陽の数字の極みとされた師走の十三日を「事始め」と云い
正月の準備に取りかかったそうです。 正月の準備に取りかかると云うことは
事は始まったと解釈しても宜しいようで、京阪地方の商家、茶家、芸能界では
この日、衣服を改め日頃恩恵を受けている主家へ鏡餅を持参し祝着の意を表す
のが習わしで、この餅を「事始めの餅」と申します。

事始めの礼も、歳暮の習わしも、由来はともあれその心は同じであり、一年の
終わりに感謝を込めて贈り物を持参し御挨拶すると云うことは、これは人間の
気持として自然な習わしでございましょうね。

 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「事始め」をテーマとして
  海老真薯吉野仕立て、落ち鱚末広うに焼き
  姫くわい揚げ、蕪千枚重ね寿、比婆蒟蒻田楽
  お事汁、 お口すすぎは、揚げ餅 でございます。

 

事始めのこの日から地方によっては門松を立てたり、煤払いをする地方もあり

中国、九州では「正月始め」と云い、岐阜では「正月起こし」とも云うそうです。
早いものですね 約3週間後には正月を迎え、早や一年を終わろうとしております。

 

 

2011-12-11 19:32 | トラックバック(0) | コメント(0)

y200500c_A1.jpg冬構えの済んだ頃より、冬の寒さも厳しく雪の多い地方では冬籠りの季節となり、
昔の農家では囲炉裏の生活が始まったものでございます。煤けた天井からは自在が
下がり煮炊きする鍋がかかり、炉火を囲んでの食事や団欒の集いは、冬の農家の生
活の中心となる場所でございました。その炉辺の語らいは昔話、土地の風習、また
今日の話題等、次の世代へ受け継がれてゆく自然な姿でございましょうね。 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「炉辺」をテーマとして
  ほっけ炉辺むしり、身欠鰊大根炊き
  鴨どうふ、一文字ぐるぐる、冬漬物博多巻
  猪菜山家汁、 お口すすぎは、にごり酒でございます。

「 悲しみに 喜びに寄る 大炉かな 」 <山本作治朗>
燃えさかる火を囲んでは悲しみを語り合い、喜びに集う大炉は、その家のすべてを
物語り知っているのでございましょう。 寒い今宵は「一服の温かさ」を、差し上げたく

現代の生活様式では忘れられつつある  炉辺の酒肴と談笑をお楽しみ下さい。

 

2011-12-05 12:26 | トラックバック(0) | コメント(0)

今年も又、隣の家の柿の木に、一粒の柿の実が残されました・・・
残された一粒の柿の実が、向こう一年間 柿の木を守り、来年も たわわに柿の実が
実りますようにと願う習わしを「木守り」と申します。 冷え始めました寒空に柿の実
一粒を見上げておりますと その風情は何となく静かで、どこか寒々と侘しさをも感じ
られますが、ものは考えようで向こう一年間 柿の木を守る訳ですから力強さも感じ
られますね!と云う意味合いも含んでおるようです。 地方によっては柿の実二粒を
残すそうで、一粒は木守りの為。 もう一粒はカラスにくれてやるのだそうです。 


 今週の初の膳/酒の肴膳は、「木守り」をテーマとして
   鰆初雪焼き、木守り柿なます
   山芋とんぶり、山家牛芋っ子煮、いぶりがっこ
   蕎麦米山里汁、お口すすぎは、柿茶でございます。

 

11月8日は立冬を迎え暦の上では冬となりますが、晴れても日差しは何となく
弱々しく、思い出したようにハラハラと時雨が通り過ぎて行く頃は、ともすれば
人の心も荒みがちになります。こんな時には一つの火を囲み、身も心も暖め合う
鍋と炉端の酒席は、くつろぎの中に心通わせる冬の知恵のひとつでございましょう。 

 

さて これからの爐談亭は、次第に酒席の主題は「火」へと移り、炉端の炭火と
温かい燗酒、出回り始めた初冬の味覚に、一服の温かさを差し上げたく思います。

 

2011-11-28 12:58 | トラックバック(0) | コメント(0)

えびす〈夷〉は、七福人の一神として大黒と共に財福をさずける福の神として
最も知られておりますが、古くこの語は〈えみし〉とともに異民族を意味する通称で
あったようです。日本には海の彼方に神霊、常世の国があるとする古い信仰があり、
もとは漁民信仰から出た渡来異国神と云う観念に支えられた神が転じて海運守護
更には商売繁栄の神として中世より広く信仰されるに致りました。

えびす講は、もとは同業者、同地区商人が商売繁盛を祈り、神人共食の宴を持つ
集まりだったらしく、商人の一年の不当の利を神に謝する安値の大売出し(今で云う
バーゲンセール)の行事を誓文払い〈せいもんばらい〉と申したそうで、この習わしが
「夷講」として現在に至り、商売繁盛の「えびすさん」として親しまれております。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「夷講」をテーマとして
  かき恵美須大黒焼き、小判鴨ひりょうず
  鯛かぶら、えべっさん膾、熨斗がつお
  大福味噌汁、 お口すすぎは、蕪葉 でございます。

数ある広島での代表的な祭りとして、年の最後を飾る「夷講」は、「二十日えびす」とも
云われ 18日から20日まで催され、来年こそは景気回復なりますようにとお参りする
のでございます。 この週は商売繁盛の「縁起物料理」を お楽しみ下さいませ。  

さて、この「えびすさん」の同じ町内にあります当亭も、いよいよ今月二十五日には
創業「満三十周年」を迎えさせて戴きます。 詳しくは下記の「満三十周年の宴」を
ご覧いただければ嬉しく存じます。

 


 

2011-11-12 12:51 | トラックバック(0) | コメント(0)

いつの間にか朝晩は冷えびえとして温かい温もりが恋しい時候となりました。十一月
八日は立冬を迎え、二月の節分までが暦の上での冬となります。立冬は冬の気候に

入る初めの日であって、いわゆる冬の気配が立ち始める訳でございます。実際には

野山もまだ秋の装いで秋の気配がまだまだ残っていますが、朝夕などは寒冷が加わ

って冬は迫って参ります。夜などはいわゆる夜寒むを感じ風邪を引きやすい季節とも

なりますので、くれぐれも注意が肝要かと存じます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「初冬」をテーマとして
  山家胡麻豆腐炉辺味噌、 秋鮭のすぐきおろし
  焼地鳥納豆和え、煎り銀杏、春菊穴子なます
  紅葉なめこ汁、お口すすぎは針柚子でございます。

初冬の今宵は、炉端の炭火と温かい燗酒、出回り始めた冬の味覚に、一服の温かさを差し上げたく存じます。

2011-11-06 22:34 | トラックバック(0) | コメント(0)

momijigari.jpg十一月は霜を見ることが多いので霜降月と云い秋も深まる頃、山々の木々が
紅葉(こうよう)又、黄葉(もみじ)することを総じて"紅葉(もみじ)"と申します。
楓の紅葉はことに美しいので紅葉は楓を指すことが多く、若葉の楓もいいですが
薄紅から唐錦へと色づく楓は自然の造形で、その見事さに目を奪われます。
また葉が黄色に変わる櫟(くぬぎ)や銀杏なども、やはり黄葉(もみじ)と呼び
雑木黄葉のも見捨てがたい美しさがございます。

 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「紅葉狩り」をテーマとして
  鹿の子鰆紅葉化粧、 海老道明寺もみじ山
  吹き寄せ素揚げ、牛肉大和煮、柚子しめじ
  初牡蠣汁、お口すすぎは、銀杏 でございます。

 

十一月八日(立冬)より暦の上では冬とはなりますが、行く秋惜しむ紅葉狩りと
洒落込んで酒が飲めるのは月始めのうちで、次第に酒席の主題は「火」へと
移って参ります。今年も例年に比べ山の紅葉も遅れの様子とか!? 
冬真近とも感じられない最今ではございますが、亭内天井までの紅葉木を配し、
ひと足早い「紅葉狩り」をお楽しみ頂きます。 (もちろん生木の紅葉ですよ!)

2011-10-30 13:10 | トラックバック(0) | コメント(0)

秋の夜長.jpg

さても深まりゆく秋の夜長に和蝋燭のほの明かりで、ご飲食をお楽しみ頂きます。
しみじみと酌み交す酒には豊富に出回る秋の実りが、より一層興趣を添えてくれる
ことでございましょう。

 

昔の秋の夜なべ仕事に砧(きぬた)打ちと申して洗濯物の糊を柔らげたり、藁を慣ら
す為に盤上に乗せて木槌で打つのですが、秋の夜長に秋風や秋の寂しさの中で聞く
砧を打つ音色は、物悲しげな哀調がございましたそうで現在ではほとんど聞かれませ
んが、わら砧は今でも農家で行われてる所もあるようです。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋の夜長」をテーマとして
  鴨の砧巻き、 むかごとしめじの柚子味噌
  五平もち、むらさき秋大根、秋小鰺の酢漬
  十三夜汁、お口すすぎは、かぼす でございます。

 

さて、旧暦八月十五夜の名月に対して、九月十三夜の月を 「後の月」と申しますが、
また十五夜を芋名月と云うのに対して、十三夜を栗名月とか豆名月と云い栗や大豆を
供えて祭ります。十三夜の月は「秋の夜長」に しみじみとした情味を感じます。

 

移りゆく爐談亭の秋を、どうぞごゆるりと「五感」でお楽しみ頂ければ嬉しく思います。

 

2011-10-19 14:33 | トラックバック(0) | コメント(0)

azuma.jpg      秋祭り頃の昔なつかし伝統郷土料理 「 あずま 」

 

俗説にこの月、諸国の神々が出雲大社に集まるからとて十月を神無月と云い
年に一度のこの集まりで一年分の縁結びの相談を済ませてしまいます。
そういう伝説にあやかってか、この月から来月にかけては婚礼が多く
又、稲の収穫の終わったこの頃は、あちらこちらで秋祭りが行われます。
春祭りで豊作を祈ったのに対し、秋祭りは穀物の実りに感謝し、神にも供えて
共に喜ぶものでございます。縁結びも穀物の実りも、共に喜ぶ気持は ひとつで
ございましょうね。

 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋祭り」をテーマとして
  秋鯖祭りあずま、舞茸と菊花の胡麻味噌和え
  祭り煮しめ、大和芋蒸し、たこ塩辛青柚子おろし
  だまっこ汁、 お口すすぎは、松の実 でございます。

 

さて秋祭りの頃になれば、瀬戸内海沿岸の広島県中央から西部にかけて秋祭りや
正月に酒の肴やおかずとして来客に振る舞まわれる料理に、コノシロや鯖さばを
使っての「あずま」と云う伝統郷土料理がございます。
このしろ等の小魚を背割りにして中骨を取り全体に塩をふって半日位置き表面を
さっと洗って二杯酢に二日位浸しておき、その浸け酢で味付けしたおからに、
おのみ(麻の実)などを加え、魚の腹に詰め込んだものを「あずま」と云います。
最近では、あまり見かけられない料理「あずま」は、子供の頃は食べるのが嫌で
したが、酒の味が分かるこの歳になれば、何とのう懐かしゅう味わい深くあります。
今週の初の膳のひとつに、この伝統料理「秋鯖祭りあずま」を楽しんでつかあさい。

 

2011-10-16 14:22 | トラックバック(0) | コメント(0)

古い言葉ながら,「天高く馬肥ゆる秋」の好季節は、海山里川のさまざまな恵みは

枚挙にいとまなく、まさに実りの秋と申せましょう。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「実り」をテーマとして
  烏賊の新米印篭蒸し、里芋もろこし実り和え
  秋鮭黄金焼き、いり新銀杏、じゃが芋山椒酢
  粟麩かぼす汁、お口すすぎは、焼き米 でございます。

秋に実を結ぶ木々の果実も限りなく、この頃は稲刈りの季節でございます。
早い所では八月下旬、遅い所では十一月下旬には刈られてしまいますが、稲刈りが

終わった後の田や畦道に落ちている稲穂は農家では一粒と云えども大事な米で、
落穂拾いは結構大切な仕事でありました。昔は老人や子女が腰をかがめて落穂を

拾い集めるさまを見かけられましたが、ともすれば稲作をも軽視する近来、日本の

農政のもとでは、うち捨てられたままの落穂を見かけることも まれではなくなりました

ようです。

2011-10-11 16:08 | トラックバック(0) | コメント(0)

 

子持ち鮎.jpg     鮎とも思えないこの姿! 「落ち鮎の朴葉煮」

 

秋風が吹く頃ともなれば、香魚とも呼ばれる鮎は産卵のために清流を
下り短い一生を終える子持ち鮎の事を「落鮎」とも云います。
その子持ち鮎を丸ごと焼いてほうばる!これぞ実りの秋の醍醐味とも
申せますが、その鮎を素焼きし番茶で下炊き、更には朴葉の香りを添えた
合わせ出しでコトコト弱火で炊く事5時間・・・・・煮浸たしに致しました。
何処が身やら黄金色の はち切れんばかりの卵をのぞかせる子沢山で
突き出した腹から卵がのぞく様子は、いかにも食欲をそそります。
口の中ではじけるような独特の食感は、九月下旬から十月いっぱいの
そのわずかな期間だけの味わいでもあり、夏の鮎とはまた違う美味しさの
「名残りの季節」を代表する川魚です。

また昔は十月の茄子を「名残り茄子」又は残り茄子を木に付けたまま売りに
来たので「木なり茄子」とも申します。秋が深まるにつれ肌理がこまかくなり
甘味を含んだ秋茄子は最も美味しい時節でございます。

  今週の初の膳 (酒の肴膳)は、「名残り」をテーマとして
   落ち鮎朴葉煮、梨と水前寺海苔の白和え
   走り蕎麦がきとろろ、菱の実、たたき酢牛蒡
   名残り焼茄子ずんだ汁、 お口すすぎは、青紫蘇です 

古語辞典によりますと「名残」とは「波残ナミノコリ」の約であるといいます。
波の引いた後に、なお残る物そこから転じて、あることの過ぎ去った後まで
尾を引く物事や感情の意です。暦の上では来月で秋も逝きますが、夏秋の
天地の恵みを感謝しつつ、この季節ならではの自然の真味を心静かに味わ
うべき秋だとは存じますが「不時不食/時ナラザレバ食ワズ」豊食の時代に
この言葉の意味を私達は改めて考えてみる必要があるようでございますね。

2011-10-02 13:20 | トラックバック(0) | コメント(0)

今年の敬老の日は九月十九日。その週をシルバーウィークと呼ばれる
ようになりました。 さて、お婆ちゃん子であった私の幼い頃には
今は亡き祖母から色々な「昔話」を聞かせて貰ったものですが、
中でも「姥捨て山」の話は、いつも私を可愛がってくれるお婆さんを
何故に山に捨てに行かなければならないのか、不思議に思ったり
自分が老人になった時の事を心配したものでございます。
その時代は生活苦から老人を山に捨て、老人もそれを得心ずくで
捨てられると云う「楢山節考」の話しは子供心に抱いていたことよりも
もっと残酷で悲惨な制度であったようでございます。
今の時代は ご老人を大切にする色々な制度がありますが、
私達の日常生活にも、いわゆる「姥捨て山」の無き様に心掛けたい
ものでございますね‥‥

 

今週の初の膳(酒の肴膳)は、「敬老」をテーマとして
  鱚の養老柚香焼き、秋林檎と蒸鳥の白和え
  萩海老しんじょ、里芋磯辺和え、茗荷かも田楽
  しめじ汁、 お口すすぎは、小梅と結び昆布
 
さて今週の当亭は、敬老の日に因んで「敬老の膳」
古来より、御老人のことを「萩の花」 に例えられます。
枝を曲げ垂れ下がり咲き誇る萩の花を
腰を曲げられるお年寄りの姿に写したものでしょうね。
その萩花の姿を写した「萩しんじょ」を 始めとして
ご老人の白髪がごとくの「林檎と蒸鶏の白合え」
また敬老の日の長寿をお喜びして「鱚の養老柚香焼き」
更には「茗荷鴨田楽&里芋磯辺和え」そして「しめじ汁」など
お年寄りにも優しく口当り良き献立をご用意致しました。

 

今週は、常日頃お世話になっている「お爺ちゃんお婆ちゃん」と
ご一緒にお立ち寄り頂ければ嬉しゅうございます。

2011-09-18 13:16 | トラックバック(0) | コメント(0)

月見.jpg

中秋の名月とは陰暦八月十五夜の満月を申し、今年は九月十二日にあたります。
月の前に秋の七草を飾り [ 団子,柿,芋,酒 ]を 供えて名月を賞でるのが月見の宴

で ございますが、古人は冴え渡る月の光を心行くまで鑑賞するために、総ての

明かりを消したものと申します。古来よりこの夜 月を賞するに衣被(きぬかづき)を

三方に盛って供える風習から 中秋の明月を一名 「芋名月」と呼び里芋や柿を

供え、これに対して陰暦九月十三夜の月を「栗名月、豆名月」といい、栗や大豆を

供えて月を賞でます。今週は、十五夜や十三夜にお供えする食材を使った「お月見」の膳でございます。

 

  今週の初の膳/酒の肴膳は、「月見」をテーマとして
   鯛栗の月色蒸し、秋茄子と茶豆の胡麻和え
   叢雲の月とろろ寄せ、柿なます、里芋松笠焼
   月見団子汁、 お口すすぎは、にごり酒 でございます。

 

因に「叢雲(むらくも)の月」とは雲で見え隠れする月のことで、何と風情ある表現

ですね。今週では、亭内板中央に設えます昔ながらの月見飾りに、今ではあまり

見かけられなくなった「お月見の風情」と、出回り始めました「秋の味覚」を お楽し

み下さいませ。

 

2011-09-11 04:05 | トラックバック(0) | コメント(0)

重陽は五節句の一つで 九の数は陽の極みであり、陽が二つ重なる故に重陽とし
又、九が二つ重なるゆえ九月九日を重九(ちょうきゅう)とも云われ、更に重九は、
長久(ちょうきゅう)に通じるので目出たい極みとされ、不老長寿の意から祝った
のでございます。重陽節は、もとは中国に端を発し、わが国では平安時代より
宮廷の行事として取り行われ詩歌を成して菊の宴が開かれ、民間では菊人形の
見世物などが行われました。

 

  今週の初の膳 酒の肴膳は、「重陽の節句 」をテーマとして
   菊花小蕪鴨詰め、烏賊の緑酢和え、利休栗、
   蓮芋と海老の山家煮、初さんま幽庵焼き、
   青海波清し汁、 お口すすぎは「菊酒」でございます。 

 

重陽の節句.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陰暦にすれば、菊の盛りなので菊の節句と称し、菊の花びらを浮かべて酒を飲む
と云う菊酒は邪気を払い命が延びるといわれ、又この頃は栗も出まわるので栗の
節句とも称され、栗飯を食べたり致したそうでございます。

 

尚、9日の「重陽の節句」には 「栗めし」をご用意し、皆様をお待ち申しております。

 

2011-09-04 13:42 | トラックバック(0) | コメント(0)

野分(のわけ、のわき)とは、古くは台風と云う用語はなかったようで、風が野を
吹き分ける秋の強風の意で、台風を含めて秋の強風を総て「野分」と云ってたよう
です。昔から二百十日を中心に台風がやって来ると申しますが、また来て欲しくな
いもので、立春から数えて二百十日頃、今年は9月1日にあたります。
でも台風がやって来たから、これを食べましょうよ!と云う約束事は無論ありません

で、秋の気配が漂い始める野分の頃の 山郷料理をお楽しみ頂ければと思います。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「野分」をテーマとして
  秋味の野分焼き、大徳寺麩と独活のべっこう炊き、ごんぼう煎餅
  秋茄子と穴子のずんだ和え、湿地胡麻豆腐の猪山家葛あん
  名残り鱧と茗荷の味噌汁、 お口すすぎは 梨 でございます。

 

さて、台風ともなると「猪もともに吹かるる野分かな」(芭蕉)などと呑気に構えておら

れません。一雨ごとに朝夕の冷気が深まり、台風一過の澄み切った秋空を見上げて

おりますと「いよいよ酒と肴の旨さも深まる」などと思うのも私たち酒従の楽しみでも

ございますが、まだまだ残暑は暫らく続きそうですね。

2011-08-27 14:55 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋そしてお盆も過ぎた初秋に 天地すべてが、涼気が帯びて来るのを申しますが、
日中は まだまだ残暑殊の外きびしく 例年ですと若干ではありますが、朝夕何んと
のう涼しく、しのぎやすくなった今日この頃を 「涼し」とするのは、日中の暑さあって
こその季語「新涼」ではないでしょうか。  「 秋涼し 手毎にむけや 瓜茄子 」  芭蕉

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「新涼」をテーマとして
  鮎の名残り焼き、茄子の猪飛騨味噌煮 ちりめん覚弥、
  百合根鴨まんじゅう、茗荷梅かつを青紫蘇巻き
  蕎麦米汁、 お口すすぎは 山家実山椒 でございます。

 

「紀州梅がつを青紫蘇巻き」
紀州の南高梅を当亭独自の梅がつをに仕上げ、これまた数日間寝かせば、
生唾ものの旨さ百倍...その梅がつを&茗荷千切りと共に青紫蘇で巻きました。
 
「ちりめん覚弥」
定かではありませんが、覚弥とは一説にはこの料理を考えられた坊さまの名前
とか!?  要は夏漬物の古漬を膾(なます)にし、音戸ちりめんや生姜みじん切りと
共に和えました。古漬特有の味わい深い酢つぱさが、堪らなく食欲食欲をそそる

昔懐かしい古里のおばあちゃんの味を、若い方々にも是非とも召し上がって頂き

たい一品です。

 

今年の八月も日毎連続の暑い毎日でいささか私たちの体が、すがすがしい秋を待ち
わびております。今週は過ぎ行く夏の素材にて夏の名残りの「食欲増進 山里料理」
でございます。

2011-08-21 19:31 | トラックバック(0) | コメント(0)

送り火は、盂蘭盆の十六日に、十三日の夕方に門前で麻幹(おがら)を焚いてお迎え
した精霊をふたたび火を焚いてお送りすることを申します。この風習は中世の頃から
行われ江戸時代に民間に普及したものだそうでございます。地方によっては違うよう
ですが現在行われている中では京都の大文字がよく知られており、盂蘭盆が終わる
頃もなれば 朝夕に秋の気配が漂い始めます。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「送火」をテーマとして
  お精進送り火和え、くるみ豆腐信濃煮
  無花果胡麻密だれ、生麩酢味噌、初秋茄子田楽
  湯葉とろろ汁、お口すすぎは 大徳寺納豆 でございます。

 

今週は、年に2週のみの精進料理で初秋の精進料理です。 私達も年に一、二度は
心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振
返る一刻が欲しいものでございますね。

2011-08-16 13:05 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋は二十四節気のひとつで今年は8日を申します。立秋は夏至と秋分の丁度中間
にあたります。暦の上では、この日から秋に入り立冬の前日までを秋とし、立秋は
季節の区切りとされております。秋と申しましても秋とは名ばかりで尚も厳しい残暑が

続き古歌がむしろ立秋の季節感を伝えておりましょう。

「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音ぞ驚かれぬる」等と、この時節の気象上
夏型気圧配置が一時的に衰えることにより、雲や風の様相に秋の気配がしのびよっ

てくるのが僅かながらも感じられるようでございますね。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「立秋」をテーマとして
  鮎煮びたし、十三豆と蒸し鶏の胡麻和え
  小芋安倍川、南瓜真薯青汁、穴子茗荷なます
  沢煮椀汁、お口すすぎは すだち茶 でございます。

 

沢煮椀とは、吸い物出しに糸切りの白髪ねぎ・ごぼう・人参・木耳など、薬味には
白胡椒そして豚の背あぶらを入れるのが約束ごとで、食欲増進まちがいなしです。

 

さて今日「赤とんぼ」を見かけましたが、秋は早いと申しましても気持ちの上でも炎暑

の中に秋の気配を早く感じたいもので  盆の行事が一般に月遅れの八月十五日前後

に行われるので、行事上の秋は早いものでございます。暦の上では秋とは云え、まだ

まだ暑き日々が続き食欲の失せる頃ではございますれば、今週の膳に「秋の気配」
感じて頂ければ嬉しく思います。

 

2011-08-06 14:38 | トラックバック(0) | コメント(0)

八月朔日(ついたち)を略して「八朔はっさく」と云い、この頃 早稲の稲穂が実るので、
古く農民の間では初穂を恩人に送る習わしから 田実(たのみ)の節句、田面(たおも)
の節句とも申します。この日には米団子を作って田の実なりを賀したり、厄除けと称し
て桃を食べる日でもあったようでございます。また 武家では「たのみ」を「頼み」にか
け、日頃お世話になっている頼み合っている人に、その恩を感謝する意味で贈り物を
するようになったようで「御中元」の始まりとも云われ、夏のお正月の意味合いも含ん
でおるようです。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「八朔」をテーマとして
  八朔泣豆真薯、鱸たで味噌焼き、はも柳川煮
  厄除け桃の胡麻密だれ、瓜雷干し笹身風干し酢
  田の実団子汁、 お口すすぎは いり米 でございます。

 

この日、宮島では藁で編んだ田面船を作り人形を乗せて海へ流し、対岸の大野町で
は流れ着いたこれを拾いあげて田の畦に埋めると豊作になるとしたそうで、八朔の日
から夏の昼寝をやめて、この夜から夜なべ仕事をする切り替えの日でもあり、立秋を
前にして夏が過ぎると云う意もあり、秋ともなれば「夜なべ仕事が待つとる」のと泣き
べそかきながら「八朔泣豆真薯」を食べて田実の節句を賀し、古人は季節のくぎり
節目を大事にしたようでございます。

 

これから益々暑さ厳しき折柄、八月八日には 「立秋」を 迎え、早いものですね。

暦の上では秋となります。

2011-07-31 15:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

 

グラス 018.jpg

夏の盛りに、香りある美しい花をつける蓮の花弁は、十六枚が普通で朝開いて
夕方閉じるを三日繰り返し四日目には散ってしまいます。暁闇を破って "ぽん
ぽん"と音がするが如くに咲く蓮の花は、一瞬の気高い薫りに酔い、浮葉巻葉の
間から咲き競う蒼々たる花を賞する 「蓮見の風流心」

 

 今週の初の膳(酒肴膳)「蓮見」をテーマとして

  心太蓮葉酢、新蓮根せんべい、蓮根饅頭
  蓮芋と椎茸のあいまぜ、地鶏ずんだ焼き
  じゅんさい梅汁、   お口すすぎは 蓮茎 でございます。

古人は早朝に蓮を愛でて涼をとるなどと その風流心をお持ちのようでしたが、
現代人の私達は中々そのゆとりもなく、蓮畑も身近には消えつつありますね。
せめて来週の爐談亭では、畳一畳の蓮畑を設え一服の涼を差し上げたく存じます。

 

鶴 021.jpg

この蓮花&蓮葉は岩国から取り寄せますもので、夜咲くはずもない蓮花は亭主独自

の手法で咲かせたものでございます。日々替わる蓮花と、風流「象鼻酒」を心行くまで お楽しみ下されば嬉しゅうございます。

 
象鼻酒2.jpg

象鼻酒 とは、蓮の茎には蓮根と同じ穴が開いており、蓮の葉を漏斗代わりに

冷酒を注ぎ、茎から滴れ流れ出る清涼感溢れる蓮香の薫る酒を爽やかに味わい、

涼しさを楽しみむもので、当亭では 蓮の香り漬けした「蓮香酒」を使用致します。

その姿が、象の鼻に似ている所から「象鼻杯」とも云われ、3世紀頃の古代中国では

象鼻酒を飲めば 3年寿命が延びるとし、客をもてなす最高の味わい方とされ、岩国の

古き茶道文献にも残されております。

 

来週は夏恒例の花歳時記 「蓮見」 にて、心癒して頂ければ幸せです。 亭主合掌

2011-07-19 12:02 | トラックバック(0) | コメント(0)

土用は四季ともにありますが、通常は夏の土用の今年は7月20日(土用の入り)から
18日間を申します。中でも21日の「丑の日」が重視され、うどん・梅漬け・牛馬など
"う"の、つくものを食べた風習に夏の活力源の食べ物として鰻が乗じたものでしょう。

これは江戸時代中期の鰻屋が、奇才といわれる平賀源内に宣伝依頼し、評判定着したと云われており、他には土用しじみを食べたり、土用灸をすえたり習慣もあります。
そもそもは邪気除災の行事を行われたのが丑の日なのですが、暑い盛りの時期を
乗り切る為の古人の知恵でございましょう。

 今週の初の膳(酒肴膳)は「土用」をテーマとして、
  土用蒲焼もどき、家猪とごぼう梅煮
  うざく酢、馬と蓮芋ずんだ和え
  焼茄子胡麻豆腐、土用しじみ汁
  お口すすぎは 梅薫茶 でございます。

さて来週の、夏恒例・花歳時記「蓮見」では、畳一条の蓮花葉を配し、蓮の気高い薫りと風流「象鼻酒」をお楽しみ頂き、夏の盛りに「一服の涼」を差し上げたく存じます。

 

2011-07-18 10:17 | トラックバック(0) | コメント(0)

ようやく梅雨が去り初蝉が聞える頃ともなれば、暑さを避けて夜気に涼味を
求めたくなる時節ともなります。夏の夜の涼味といえば鵜飼船や納涼船そして
屋形船の海や川の舟遊びも、そのひとつでございましょう。 今週は舟遊びの
山郷料理でございます。

数年前にイタリアの方がお見えになり、日本人でも「鮎うるか」を苦手の方が
多いのに「ボーノ美味しい!」と云われました。よくよく伺えば「アンチョビー」に
似て美味しいそうで、これをヒントにパスタならず「そうめん」と合わせてみた所、
これがまた酒の肴に合うのです。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「涼舟」をテーマとして
  鮎の笹焼き、鬼灯琥珀玉子、川風豆腐
  うるか葛きり和え、あなご胡瓜なます
  冬瓜冷や汁、お口すすぎは 青柚子茶 でございます。

水の上を渡ってくる風は涼しく、ボート遊びや、水遊びに、にぎわう昼間の騒々しさ
にくらべて、赤いほうずき提灯をつるした屋形船の時々船縁を打つ竿の音が辺りの
静けさをいっそう感じさせます。誠に凌ぎにくい夏の夜を 舟遊びに出掛けてみては
いかがでしょうか? きっと思い出に残る夏の夜の涼味となるのではと思います。

2011-07-10 15:29 | トラックバック(0) | コメント(0)

五節句の一つに数えられる七夕祭は星を祭る行事として

中国の後漢の頃に端を発し、日本に入ってきたのは奈良時代の頃で、

『日本書紀』によれば持統天皇の5年(691年)に宮廷で七夕の宴が

催されたのが、七夕祭りの始まりと云われます。

天の川の両岸をはさみ牽牛星(ひこ星)と織女星(おり姫星)とが

年に一度の逢瀬を許されたが、もしこの夜が雨となって

天の川の水嵩が増して渡れないときには、鵲(かささぎ)が両羽を

ひろげて橋となり、織姫を渡してやると云う伝説により、

七月七日には両星を祭る風習が江戸時代より盛んになったそうでございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「七夕の節句」をテーマとして
  天の川茶豆腐、夏鴨と里芋の甲州煮
  願いの糸瓜、笹舟小鯵酢、七色酒菜
  はも茄子味噌汁、お口すすぎは , 青しそ でございます。

2009 018.jpg

七夕の宵には 当亭中央の板の間に天井までの笹の木をご用意致しますれば,

願い事を短冊にしたため、笹竹に結び七夕流しに興じた子供の頃を思い出し

いにしえの恋物語に思いを馳せながら、夏の一夜を閑かに心遊ばせて、

ひと筆いかがでございましょうか...

2011-07-03 22:30 | トラックバック(0) | コメント(0)

古くは六月と十二月のみそかに、罪、汚れを祓い清めた神事を「大はらい」といい、
十二月の年越と、六月のはらいを 夏越(なごし)の祓(はらえ)と申します。
夏越は、神意をやわらげる意味の和し(なごし)であるといわれ、この夏を無事健康に
越せるようにと六月三十日に行われるもので、古くは農家にとって田植え終了後の
いましめ又つつしむべき「忌みの日」でもあったようでございます。
この夏越では、茅の輪(ちのわ)という茅(かや)で作った輪形を拝殿や鳥居の所など

に設け、神官がくぐった後に続いて参拝者もくぐって災厄をはらう「茅の輪くぐり」や、

また人形(ひとがた)の紙切れに身の災いを移し、川に流したりも致します。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「夏越」をテーマとして
      人形木の芽鴨味噌やっこ、茶魚そうめん、鱧ちくわ胡麻酢
      水前寺海苔にしきぎ山葵風味、笹身の梅みょうが焼き
      うなぎ肝汁、 お口すすぎは 桃茶 でございます。

私達も月日の流れにながされて今年も早や半年も過ぎ去さろうとしております。
この夏、皆様のご健勝を祈念申し上げます。  亭主合掌


 

2011-06-25 13:50 | トラックバック(0) | コメント(0)

蛍狩り.jpg蛍狩り.jpg花名 螢袋(ほたるぶくろ) 捕まえた螢をこの花の中に入れ花弁の先端を結び、
幻想的な螢光を楽しむと云う。古人は何んと風流な遊び心をお持ちのようです。

 

私の子供時代には、初夏の夜には幻想的な螢狩で癒しの体験をしたものでござい
ます。一時は農薬の為、螢の餌となる川蜷(かわにな)が姿を消し、螢も次第に
見られなくり、わずかに残された自然環境の中で健気に生きておりましたが、
最近では農薬規制、また保護活動などにより生息環境も整い始め、蛍狩りの声を
耳にするようになりました。

 

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「螢狩り」をテーマとして
  ほたるいか黄身酢、若鮎揚せんべい
  家猪梅煮、淡雪豆腐、紫じゃこめし
  粟麩と瓜の味噌汁、 お口すすぎは、しそ茶でございます。

 

螢は、源氏蛍と平家蛍に代表されます。無数の蛍が入り乱れて飛ぶ情景を蛍合戦
といい、宇治の蛍合戦は源の頼政の怨霊の現われとの伝説もございます。水辺の
闇に神秘的な光を明滅して乱れ飛ぶ 夏の優しの虫「蛍」の様は、まさに初夏の
風物詩と申せましょう。次第と食欲の失せ始める梅雨の時分の今週は、食欲増進の
旬菜料理でございます。

2011-06-19 14:36 | トラックバック(0) | コメント(0)

暦の上では十一日が入梅。広島は例年より早く梅雨期に入りました。 
梅の実が熟する頃の雨なので梅雨と申すそうですが、
古くは陰暦五月にあたるので五月雨 「さみだれ」 とも云い
この時季に雨が降らない事を、空梅雨「からつゆ」とも申します。
いずれにせよ じめじめとした肌寒さを覚える日もあって、
誠にしのぎにくい月ではあります。しかし見様、考え様では風雅なもので
「五月雨や 色紙へぎたる 壁の跡」などと侘びに興じた芭蕉をしのび
いっそ「雨を楽しむ」と開き直り、五月雨の音を酒の肴にと洒落込むのも
結構なものかとも存じます。

  

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「入梅」をテーマとして
   海老の紫陽花揚げ、蜆と瓜雷干しの辛子酢味噌
   青煮梅、新牛蒡香り炒り煮、空豆夏鴨真薯、
   鰯つみれ汁、お口すすぎは、香煎茶です。

 

紫陽花.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巡るめく花の移ろいに誘われて、梅雨の花「紫陽花」を亭内あちこちに配し、
酒の肴にお楽しみ頂きます。 下段は「隅田の花火」と云う額紫陽花です。

 

隅田の花火.jpg

 

 

2011-06-12 13:38 | トラックバック(0) | コメント(0)

夏祭りは、五月の東京「三社祭」、京都は「葵祭」に始まり、広島では円隆寺の
稲荷大明神の祭礼として、通称「稲荷(とうか)さん」で本格的な夏を迎えます。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「夏祭り」をテーマとして
  柿の葉祭り寿司、お稲荷なます、落花生豆腐、
      うなぎの蓼味噌焼き、翡翠とまと
  はも魚そうめん汁、 お口すすぎは、すだち茶でございます。

この円隆寺は修法師(しゅうほっし)によって護られ、旧暦五月五日(新暦6月初め)
を明神の祭日とし、祈祷会を行い災厄を祓うときなので、この日をとって厄払いの
祭りを行うことになりましたようです。稲荷(いなり)と書いて(とうか)と読みなぞらえ、

そもそもは10日に行われた祭りが、数年前より第一金土日に移り、現在に至って

おり今年で394年の歴史を迎えます。この時節にすれば真夏への切り替え時なので

大正初年から この日を真夏への「衣替え」とし、浴衣の着初めの習いとなったもので

夏を健康に過ごせますようにと祈ります。 この夏の御健勝をお祈り申し上げます。

2011-06-06 15:25 | トラックバック(0) | コメント(0)

六月一日は「氷の節句」。あまり親しみのないこの節句は、京都は北の郊外の奥山に
氷室(ひむろ)と云う地名があります。昔、この深山山中奥深くの洞穴室に冬中に貯
えておいた氷を六月一日になれば、宮中に献上したと申します。宮中人の役得でしょ
うか!?この日少しでもこの氷を口にすると夏痩せせぬとか、夏を無病息災に過ごせる
と伝わっておりますが、所が昔の事ですので一般庶民は貴重な氷は口にすることも出
来なく、せめて氷室神社の紋を象った外郎を食べて夏を健康に過ごせますように祈り
食した風習がございます。その紋たるや氷の結晶を意図した三角形の形をしており、
その形に小豆を散らした外郎を「水無月」と云い、現在でも六月の和菓子屋さんでは
代表的なお菓子のようです。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「氷の節句」をテーマとして
 氷室にこごり、酒魚と若布の緑酢和え、独活と京揚げの干辛煮
 揚げ出し加茂茄子、地鶏と蓬麩の笹巻き蒸し、水無月豆腐汁
 お口すすぎは、氷茶でございます。

 

広島では6月第1金曜・土曜・日曜の3日間通称「稲荷(とうか)さん」の夏祭りが始まり
ますが、丁度この頃は衣替えの時節でもあり、浴衣の着始めの習いでもありました。
この夏祭りや、夏越の祓えなど本格的な夏を前にして、「氷の節句」同様に この夏を
無事健康に越せますようにとの祈りからの行事でございます。

2011-05-30 11:54 | トラックバック(0) | コメント(0)

立夏の後15日目、大体5月21日頃を二十四節気の一つで「小満」と云い、
この頃が麦刈りの時期とされています。陽気が盛んになって万物成長し時鳥が
鳴き、麦が熟れる頃を「麦秋(ばくしゅう)」麦の秋と申します。 その景色が、
稲が秋に実るに通わせて、麦にとっては収穫の秋。すなわち麦が熟れるのを
秋になぞらえたものでございましょう。 ようやく強さ増した初夏の太陽の下、
山里では青葉若葉の新緑に取り囲まれ、かたや黄熟しきった麦畑は鮮やかな
対象を見せてくれます。 何んと のどかな景色ではありませんか。

麦秋.jpg  今週の初の膳・酒の肴膳は、「麦秋」をテーマとして
   麦秋切り麦、かます竹皮風味焼き、鱸かんらん博多押し
   柿茶豆腐の薬膳胡桃和え、空豆と蒸し鶏の麦酢味噌  
   はったい粉団子汁、お口すすぎは 麦茶 でございます。

はったい粉は「麦こがし」とも呼ばれ、大麦(裸麦)を焙煎し粉砕したもので、
私が子供の頃には、お湯と砂糖を混ぜ 練って食べたりいたしたものですが、
田舎のお婆ちゃんを思い起こさせるその味は、子供達に伝えたい昔なつかしい
ふるさとの味でもございます。今週は、麦に因んだ山里料理をお楽しみ下さい。

2011-05-23 13:33 | トラックバック(0) | コメント(0)

暦の上では立夏も過ぎ、春色はあせ爽快な夏の気配が立ち初める季節、
いわゆる晩春初夏と云うくらい良き時節でございます。色々の花が次々に
開き新茶は香り、草木は驚く程に伸びてゆく頃「田植」が始まります。
稲は苗代を作り八十八夜前後に本田に移し、そして田植えを致します。
この頃、田んぼに水を入れますが、雨が少ないと困りますので、雨乞いと
豊作を祈願し笛や太鼓を打ち鳴らして「花田植」を唄い舞ったと申します。
昔の県北一帯は魚の乏しい所であったようで、中国山地を越えて「わに(鮫)」や
「塩鯖」が送られて来ました。今週は県北は山郷の郷土料理でございます。

 

今週の初の膳 酒の肴膳は、「田植えどき」をテーマとして
  さんばい、田植え鯖のちしゃもみ、家猪梅焼酎煮、
  わにと瓜の木の芽辛子酢味噌、山里切干し大根炊き、
    早乙女汁、 お口すすぎは 焼米茶 でございます。

 

さんばい.jpg昔の県北では田植えの頃になれば、田んぼの畦道に何故かしら栗の枝を
2・3本挿し、山から「さんばいさん」と称される「田の神さん(太陽と
土と水の神)」をお迎えし、田植えが無事に終わり秋には沢山の米が実り
ますようにと「さんばい」と云う料理を供え、豊作を祈願したそうで
ございます。この「さんばい」とは、黒豆入りの素朴なおこわを青い朴葉に
包んだもので、その謂われは定かではありませんが、素朴で味わい深い
「言い伝え料理」です。ともあれ、その習わしも現在では見かけることも
少なくなったようですが、田植が済んだ見渡す限りの青い毛せんを敷きつめた
ような静かな田園風景を目に致しますと、何となく心が豊かに安まるもでござ
いますね。

 

 

2011-05-15 13:55 | トラックバック(0) | コメント(0)

およそ1300年ほど前、万葉の頃から行われていた漁師が鵜を遣い
魚を捕える漁法「鵜飼」は、岐阜県・長良川が最も有名で、鮎解禁より
全国を先駆け五月十一日に鵜飼開きが行われます。
鮎は月明かりを嫌うと云われ満月の前後数日は行われないそうで、
闇夜の川を鵜篝(うかがり)の火の粉を暗い川面に撒き散らしながら、
目の前を矢のように通り過ぎて行く鵜舟を眺めておりますと、
清らかにも静かな川の趣きを感じさせる初夏の風物詩と申せましょう。
    
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「鵜飼開き」をテーマとして
  鮎の風干し焼き、川海老の川風揚げ、鴨の冶部煮、
  茗荷と瓜の葛きりなます、かぼちゃ篝火ほのお寄せ、
  芽順才とろろ汁、お口すすぎは、木の芽茶でございます。

 

因みに広島では六月一日より鮎解禁となり、当亭では入り口の大瓶に
日々限定数で活かした地物「天然若鮎」を楽しんでもろうちょります。
鮎は、4月中旬頃から川底の石に付いている硅藻類や藍藻類のコケを
盛んに食べ始め、6月頃には20?ぐらいまでに成長した若鮎は、
焼く前は爽やかな西瓜の香りが漂い、塩焼きは骨抜きなどしないで
頭から丸かじりすれば、独特の苦みと 苔の香り 若草のような香りが
口中に広がります。 6月を楽しみにしてつかあさいね。

2011-05-08 14:35 | トラックバック(0) | コメント(0)

 

菖蒲.jpg今週の花歳時記「端午の節句」の週では、亭内中央の欅板の間に畳一畳の菖蒲畑を

配し 花菖蒲の香りと、「菖蒲酒」をお楽しみ頂きます。

 

軽やかな南風にそよぐ青葉若葉が陽光にきらきらと映じて青い嵐のように感じられる
という五月に早苗を植える季節であることから早苗月、それが転じて皐月(さつき)
と申します。三月の桃、四月の桜に続いて五月は花菖蒲。端午の節句を、菖蒲の

節句ともいい、強壮解毒作用を持つ菖蒲や蓬を軒下に差して邪気を払い、火難除け

とし、菖蒲湯は健康増進。そして菖蒲酒を飲めば、蛇にかまれないという風習が

ございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「端午の節句」をテーマとして
 皐月鯉の薫風焼き、竹の子木の芽和え
 笹身菖蒲蒸し、卯の花柏葉巻き、木耳山里煮
 よもぎ団子汁、 お口すすぎは、菖蒲酒でございます。

五月五日は男の子の節句。矢車を付けた竹竿に鯉幟、吹流しを付けて薫風に

なびかせ男の子よ勇壮に活発に育てよと願うものでございますが、

菖蒲&蓬の「邪気を払い&火難除け」そして「菖蒲湯に菖蒲酒」と共に、

ビルが建ち並ぶ風情なき都会生活では 廃れつつある習わしでございます。

 

2011-05-01 13:12 | トラックバック(0) | コメント(0)

立春から数えて 八十八日目に当たる五月二日頃を八十八夜と申し、この頃になれば
春霜が終わり種蒔きに好適の時期とされ、八十八を組み合わせると「米」という字に
なるので昔から農家ではこの日を大事にしたようでございます 
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「茶摘み」をテーマとして
  新茶豆腐笹巻き、菅笠椎茸海老真薯 鰻印篭煮、
  こごみ山ふぐ胡麻和え、山うど蒸し鶏の黄身酢
  しじみ山里汁、 お口すすぎは 新茶 でございます。

「夏も近づく、八十八夜」の 歌の文句にもあるように、茶摘みは四月上旬から始まり
八十八夜から二,三週間が最も盛んで八十八夜に摘んだ茶葉は"極上"と申して

古来より珍重され不老長寿の妙薬と云われました。私達も、新茶の香りを味わえる

のももう真近ですが、春はあっという間に過ぎ去り、早いもので もう初夏を迎えます。

 

 

 

2011-04-24 21:35 | トラックバック(0) | コメント(0)

世の中は三日見ぬ間の桜かな...と、移ろいやすい花の命に諸行無常の人生を垣間

見て、そのはかなさに物のあわれを感じるのが人の心でございます。待ち焦がれて

いた今年の桜も、あっという間に終わり葉桜の時節を迎え青葉若葉に時鳥、さては

卯の花に藤、つつじと風薫る初夏を迎えます。 「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」

やがて春の黒潮暖流の水温上昇と共に鰹が来遊し始め、この頃に捕れる鰹を初鰹と

呼び珍重され鰹の美味しい時節となります。
 
    今週の初の膳 酒の肴膳は、「初鰹」をテーマとして
  初鰹青葉たたき、なまり節と新筍炊き、鰹団子葉桜蒸し、

         菅笠椎茸鴨真薯、空豆塩ゆで
     山菜とろろ汁、お口すすぎは 木の芽 です。

鰹は、昔から意気の良い魚として「勝魚」とも書かれ 江戸っ子に喜ばれたそうで、
また鰹は"勝つ男"に通じるとして、戦国世の鎌倉武士たちが愛好したと申します。
丸まると引き締まった鰹の姿を目にしますと、最今の不景気に打ち勝ちたいものと
勢いをも感じさせられます。 「 鎌倉を 生きて出てけん 初鰹 」

2011-04-17 20:22 | トラックバック(0) | コメント(0)
かたくりの花.jpg 今年も山形は庄内より、すみれに似た可憐な山菜「かたくりの花」が届きました。

 

華やかな桜が終わる頃、うららかな陽の光に芽吹く緑を目に致しますと言い様のない
いじらしさを覚えるものでございます。 この頃 山里では山菜でいっぱいです。
山菜の味わいは、この芽吹きを知ることから始まります。雪解けの土を割って頭を

もたげる"ふきのとう"  厳しい冬を知らなかったかのような"山うど" 可憐な姿で風に
そよぐ "かたくりの花" 等など。山菜は、季節と出逢うよろこびですね。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、只今旬の「山菜づくし」をテーマとして
  たらの芽鶏信田、山うど薫鮭巻、かたくり茎花したし
  こごみと山ふぐの辛子酢味噌、つわぶきと揚豆腐の山家煮
  蕗の薹天と蓬麩の味噌汁、お口すすぎは , よもぎ茶 です。

山菜は旬です。旬はめぐりめく自然の贈り物でございます。次の休日には万葉の昔に
夢を馳せて春の一日思いきって"山菜摘み草"に出掛けてみては如何でしょうか・・・

2011-04-10 14:07 | トラックバック(0) | コメント(0)

2010桜.jpg

                  

        桜吹雪が舞う頃・・・

  

ご好評の内に先週で「夜桜」終了させて頂きましたが、ご覧の通り桜も元気に

咲き乱れておりますれば、本日9日(土曜)まで 楽しんで頂く事となりました。

 

春意ようやく動き始める今日この頃は卒業から進学へ、学生から社会人へ、あるいは
新しい職場への異動転勤等が多くなり、いわば新しい人生へと旅立つ門出の時節で

ございます。古人は門出の祝いにと、菜と鶏を炊き合わせて見事に「名取れ」と励まし
ました。「菜鶏」に「名取」をかけたその感覚は私たち現代人にも なお新鮮に感じる
ものでございます。古来日本人は何よりも名を重んじ、名を汚すことを恐れ、その名に
恥じない働きをする日本人気質を大事にしたものです。今の時代に生きる私達は

如何なものでございましょうか!?  送迎 すなわち 門出の祝いを、古人の知恵に

学んでの「送迎の膳」と させていただきました。

今週の酒の肴膳は、「送迎」をテーマとして  
「鯖の黄金出世焼き」 最近では三流とは云えない鯖が黄金出世致しました・・・

「明日葉と生湯葉の辛子胡麻酢」 明日の旅立ちと云う言葉から・・・

「茶蕎麦田楽」 旅立ちの後にも細く永くのお付き合いをと・・・          
「名取炊き合せ」 門出の祝いに菜と鶏を炊き合わせて見事に名取れと・・・      
「富貴の山家煮」 蕗 すなわち 富(ふ)貴(き)と書いて金銀に恵まれ何不自由なく・・・ 
「鯛の二色潮汁」 めでたく故郷に錦(二色)を飾ると申します・・・         
お口すすぎは「蓬」でございます。

因みに百花の王「牡丹」を「名取草」とも申すそうで、いよいよ百花咲き乱れる春を
迎えます。

2011-04-04 15:20 | トラックバック(0) | コメント(0)

         

         花暦歳時記 「夜桜 」 ご案内 

 

夜桜の週のみ、下記の夜桜コース¥5.000料理 (税込・お飲物別) とさせて頂きます。

   

    ■今週の初の膳は「夜桜」をテーマとして

       桜鯛密柑刺、桜鯛道明寺桜蒸し、菜の花辛子味噌漬
       初鰹花見団子、筍の子木の芽田楽焼き、桜麩と桜蕎麦汁
       お口すすぎは 桜茶 でございます。

    ■煮物椀 「春爛漫 生湯葉海老真薯」

    ■二の膳 「夜桜野掛膳の七種」

    ■ご飯物 「桜蒸し寿司」、 そして デザート 「蕨餅」  計16品

 

尚、お客様のご要望・ご予算により、上記他 ¥8.000料理も ご用意させて頂きます。

又、22時以降にご来亭のお客様には「初の膳¥1.800」のみも可能でございます。

お気軽にお申し付け下さいませ。   < 営業時間  pm 6:00 ~ am 1:00 >

 

夜桜.jpg

        四月と云えば花。古来日本で単に花と云えば桜を指し
           それほど日本人の暮らしにとけ込んでいます。

         

           春には百花それぞれに美しく咲き乱れる中で
          ことに桜が尊ばれるのは「花は桜木、人は武士」
       散り際のいさぎよさが私達日本人の心をうつからでしょうか...

     

         四月の酒は華やいだ陽の酒でなければなりませんが、
      夜桜の宴に桜吹雪が舞う時に、三日見ぬ間の花のあわれを思い
              盃に浮いた一片の花びらに人生を思う
           それも日本人らしくて良いものでございましょう。

 

毎年恒例の「夜桜」では 炉端席は「染井吉野桜」座敷では「本桜」をお楽しみ下さい。

 

座敷・本桜.jpg

<亭主よりのお願いを申し上げます>
東北関東大震災による被災者様に対しましては、誠に不謹慎とは存知ますが、

年間52週の週替りの季節の移ろいを提供致します当亭の「夜桜」は不可欠でもあり

止む終えず例年通りとさせて頂くことになりました。  尚、「夜桜」での売上一部は

日本赤十字社を通じ「東北関東大震災義援金」とさせて戴きたいと存じます。

皆様には 何卒ご理解の程を 宜しくお願い申し上げます。   亭主合掌

 

2011-03-19 23:54 | トラックバック(0) | コメント(0)

彼岸桜.bmp         桜の時節に先駆け、可憐な花びらで咲く 「彼岸桜 」

  来週は、いよいよ毎年恒例の「夜桜」  詳しくはイベントのご案内をご覧下さい。

 

今週十八日の彼岸の入りを前にして、暖かくなり始めたかと思いきや またもや
冴え帰る寒さの日々でしたが、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と申し、土筆や蓬も
芽吹き始め、冬の寒さも彼岸を境に春めいて、やがて雁が北の空へ消えて秋分の
頃には雁が帰って来ます。今週は、待ちどうしかった野や山の恵みに感謝しつつ、
山郷のお彼岸の膳でございます。

 

 今週の酒の肴膳は、「お彼岸」をテーマとして

  蓬鶏つくね、お彼岸上戸餅
  鯛の筍利休蒸し、土筆の山家煮、
  田芹じゃこ膾、早蕨汁
  お口すすぎは 若布湯 でございます。

 

ご承知の通り お彼岸は年に二回。春分、秋分の日を中心に前後七日間を申します。
この日 祖先の法要や墓参りをして、その霊がやすらかに 彼の岸(煩悩の流れを越え
た悟りの境地)に到達することを祈るのでございます。 又、春分の日を戦前は、
春季皇霊祭といい 自然をたたえ、生物をいつくしむ日であったそうでもございます

2011-03-14 12:22 | トラックバック(0) | コメント(0)

御斎(おとき)の称呼は、寺々に集まった在家信者に供される食事(精進料理)の
ことを申します。精進料理の古い様式が今に伝わってるのは、三月十二日の
東大寺で行われるお水取り(修二会)で有名な二月堂で「こもりの僧」が、
精進潔斎するときの食事ではないでしょうか。

 

春とは云え早春のさえ返る寒さの僧房で、紙衣の求道僧が素朴な食器で、
食事礼法に法り行儀正しく食事を摂る様は、平成の時代とは思えない厳しさと
鋭さを感じさせられます。

 

  今週の膳は、「おとき」をテーマとして早春の山里精進料理です。
  若布豆腐ほのお人参、土筆と山うど胡麻酢、茶そば磯巻き
  牛蒡束紫焼き、蕗の薹&湯葉昆布揚げ、三月大根梅花汁
  お口すすぎは 干し柿 でございます。

 

当亭は決して精進料理の店でもなく年間52週替わりの味暦歳事記の内2週が
精進料理なのですが、もう1週は盆が過ぎた頃の初秋の「送火」がございます。
さて21日は春のお彼岸です。私達も年に一・二度は心を澄まし、清らか気分で
精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振返る一刻が欲しいもの
でございますね。

2011-03-06 14:04 | トラックバック(0) | コメント(0)

桃の.jpg桃の節句は、五節句のひとつで上己(じょうし)・重三(ちょうさん)などとも呼ばれ、
この日紙雛を川に流し送る"流し雛"が雛祭りの源流と云われ、祓い(はらい)の為の
人形(ひとがた)に供物をささげて、もろもろの凶事をこれに負わせたと申し、
端午の節句と同様に我が子の成長を祈るのです。


雛の膳.jpg             今週の膳は、「桃の節句」をテーマとして 

                  鱒の白桃焼き、菱形真薯
        海老の葛水仙、菜の花と赤貝の辛子酢味噌、、鳥の巣ごもり
          手まり麩味噌汁、お口すすぎは、白酒に桃の花びら。

長かった冬ごもりに終わりを告げ、一斉にすべての生命が芽吹き春の喜びをうたう
雛祭りの膳の向付には「菜の花と貝の酢味噌」が、おきまりの桃の節句の膳を

酒の肴に、酒に桃の花びらを浮かべて雛の酒と洒落込むなどと私達酒徒も

それくらいの風流心と、ひとときを持ちたいものでございますね。

 

2011-02-27 19:09 | トラックバック(0) | コメント(0)

梅見untitled.bmp 「東風吹かば にほいおこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」   菅原道真

 

立春から、およそ一ヶ月間は春とは名のみの寒さ、少し暖かくなりかけては
また急に冷え込むのを冴え返ると申します。それでも一月に比べれば昼が長くなり
日差しも春めいて梅も咲き始め春の気配を感ずる季節でございます。

如月すなわち二月の異名に春に魁けて梅の花を見るので「梅見月」とか「梅月」
などと云い、あちこちで梅まつりの頃ともなります。 京都北野天満宮の梅花祭では
二月二十五日の菅原道真忌にあたり、菅公が愛した梅花の枝を霊前にお供えする

ので「梅花御供」とも呼ばれております。

          

今週の膳は、花暦歳事記「梅見」をテーマとして
 紅白梅花酢かぶ、地鶏ふきのとう味噌煮込み、早春白魚玉じめ、  

 鰆朴葉焼き、壬生菜梅香漬け、揚げ煮梅清し汁、 お口すすぎは、「梅見酒」 です 

 

1梅酒 002.JPG今年も、囲炉裏を囲む欅板の間に天井までの白梅の木を配し、亭内いっぱいに

梅花香る「梅見酒」と洒落込み「早春の味」を、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。

尚、お席に限りがございますので、ご予約はお早めにお待ち申し上げております。

 

因みに、毎年恒例 「夜桜」 は、3月21日(月)~4月2日(土)を予定致おります。

2011-02-15 18:46 | トラックバック(0) | コメント(0)

雪国秋田県の横手市では、今年は2月15日の晩にかまくら(釜をふせたような形)を
作り、正面の祭壇には(おすずさま)と呼ぶ水神様を祀り、餅や甘酒等の供物を供えて
お灯明を灯し、子供達は餅を焼いて食べたり甘酒を温め、めらし(女の子)は土製の
頭を串に付け色紙の着物を着せた「串あねこ」と呼ぶ姉様人形で遊びます。

 今週の膳は、春を待つ「かまくら」をテーマとして
  小蕪と鴨のかまくら蒸し、干し菊ぜんまい胡桃和え
  角館鮭の豆腐巻き、挽き割り納豆鮪、水神なます
  秋田だまっこ汁、 お口すすぎは 甘酒 です。

昔から飲み水の乏しかった この地方の忌屋(いみや)即ち水乞いの風習だそうで、
400年以上の歴史を持つ「かまくら」に あかあかと灯った お灯明は雪中に映えて、
全国でも有名な雪国の幻想的で詩情豊かな民俗行事です。 今週は、春を待つ

早春は秋田の郷土料理でございます。

2011-02-13 14:08 | トラックバック(0) | コメント(0)

古く昔の女性は綿から糸を紡ぎ、いろいろに染めて機織りにかけ織り上げることが
最上の任務であり、さらにその布を裁断して種々の着物に縫い上げることは更に
大切なことでしたようです。その意味から針の神(淡島様)を祭り、針に感謝する
針供養の行事は 関東では二月八日、関西は十二月八日に行われますが、
全国的には二月八日が多いようです。 その日には針仕事を慎んで針を休め、
一年間に使い古した折れた針を柔らかなもの豆腐や蒟蒻に刺して休めると云って、
淡島様の神前に供えて供養し、あわせて裁縫の上達祈念致しました。
最近の家庭では針を使う事も稀で針供養はされないようで洋裁&和裁学校位で
しょうかね。 この針供養の習わしは、すべてを手で縫っていた頃の古風ゆかしき
早春の針供養の行事でございます。

 今週の膳は、早春の習わし「針供養」をテーマとして
  針供養空也豆腐、畑菜の初午辛子和え
  早春鱒笹寿司、如月飯蛸、霜降り笹身酢
  山家酒粕汁、 お口すすぎは 針柚子 です。

如月飯蛸 (きさらぎ・いいだこ)
立春を過ぎれば 暦の上では春。いわゆる早春と云われる如月には「飯蛸」の
美味しい季節ともなり、胴の中の卵巣が米粒のようなので飯蛸とよばれます。
私達酒徒にとって、早春の酒の肴には堪えられなく 口中で海の香と酒が
渾然一体になり、至福の時が訪れます。


2011-02-07 23:04 | トラックバック(0) | コメント(0)

節分_1~1.JPG節分は冬より春に移る「季節の分れ目」で 大寒より十五日目
立春の前夜2月3日にあたります。暦の上では春とはなりますが、
春とは名ばかりで実際には余寒が厳しく冴え返る日々が続きます。

 

節分には「鬼は外、福は内」と連呼し鬼打豆を捲き、
門口へ焼いた鰯の頭を柊にさして悪鬼除けを致します。
柊(ひいらぎ)葉の「とげ」が鬼の目を刺し、
焼いた鰯を食べる習わしは、鰯を焼くにおいが臭いからとて、
疫鬼よろず諸々の厄が逃げていくのだと云い、

 

また一年の砂おろしに蒟蒻の白和えを食べたりする風習が、
新しい春を迎える意味からも平安室町の昔から今も変わりなく
続けられている早春の年中行事のひとつでございます。

 

  今週の膳は、春を迎える「節分」をテーマとして
  節分鰯の梅煮焼、ふろふき葉付き小蕪
  節分白和え、子宝なます、地鶏立春蒸し
  揚げ蕗の薹とろろ汁、お口すすぎは 芹茶 です。

 

季節の移り変わりは早いもので 待ち遠しかった春はもうすぐです。

2011-01-31 11:02 | トラックバック(0) | コメント(0)
夜咄.jpg  今週は、「手造り和蝋燭」の ほの灯りで「夜咄」のお食事をお愉しみ下さい

夜咄とは寒い冬の夜長に黄昏れ時から催される茶事七式のひとつとされ、
明暗の対照と寒暖の差異を楽しむもので、温かさが何よりのご馳走でございます。
「夜も長いことゆえ、いましばらく語り合いましょう」と、ひとつの火を囲み身も心も
暖め合うのが夜咄の茶事でございます。

当亭は茶席ではありませんので酒を楽しむ酒亭として、夜咄の茶事ならず
「夜咄の酒事」とし平素より薄暗い亭内にて和蝋燭の ほの灯りでお気軽にお酒と
お料理を楽しんで頂きたく、そして「一服の温かさ」を差し上げたく存じます。

   今週の酒肴膳は、春を待つ「夜咄」をテーマとして 
    鯛蕪蒸し、蕗のとう豆腐、猪山家煮
    早わらび焼烏賊、しめさば柚子黄身酢和え
    大徳寺麩汁、 お口すすぎは、生姜酒 です。

自然の微妙な変化に繊細な心を働かせた茶人は、"空の色に" "折節の淡雪に"
さては"障子に映る日差し"にも ひそやかな春の訪れを感じ取ったとか・・・現代の
都会生活では自然との触れあいが あまりにも乏しく、ともすれば人の心もすさみがち
になります。 寒い今宵は、囲炉裏の炉火を囲み心やすらぐ和蝋燭のほの灯りで
酒を酌み交し語り合うひとときに 日常から煩わしさから離れ心ほぐして頂ければ、
この上ない幸せに思います
2011-01-19 16:02 | トラックバック(0) | コメント(0)
img_645798_51409145_0.jpg大鍋で 「グツグツ」音をたてて煮える黄金の味噌合わせ「 骨正月寒鰤大根煮き 」

正月終わりの節目と云う意味で、一月二十日を「二十日正月」と申します。
京阪では正月用の鰤や鮭の残りのあら骨を味噌や酒粕の中に入れて、
牛蒡や大根と共に煮て食べることから 俗称「骨正月」と申します。
鰤は、小さい時から成長するに従って名を変えていくので出世魚として
縁起が良いとして祝うもので、これで総てお正月は終わりましたと云う訳です。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「骨正月」をテーマとして
  骨正月寒鰤大根煮、寒鯉山椒焼、慈姑煎餅
  むかごと木耳の柚子味噌、蒸し鳥と芹の土佐酢
  麦正月揚げとろろ汁、 お口すすぎは、蕗の薹 です。

石川県では「乞食正月、奴正月」とも云い、京都府下(竹野郡)では「ハッタイ正月」
また、中国地方では「麦正月、とろろ正月」などと云って、これらを総称して「二十
日正月」と申すそうでございます。二十日は大寒を迎え、寒さが最も厳しくなるこんな
夜は熱々の「火の味」が 何によりもご馳走となりましょう。お風邪を召されぬように
呉々もお気を付け下さいませ。
2011-01-16 17:27 | トラックバック(0) | コメント(0)

001.JPGさて十一日は「鏡開き」。遠く平安時代の新年の行事のひとつとして歳首に
長寿を祝って大根、押鮎などを食べる習慣が、室町.江戸時代になって武家では
男子は「よろいびつ」に 女子は「鏡台」の上に供えた鏡餅を、刀柄(はっか)
初顔(はつがお)の祝いとして、二十日(はつか)におろして食べたのですが、
しかし後に三代将軍家光の忌日となった為、二十日を避けて何故か十一日になっ
たそうでございます。又、それ以来この鏡開きの行事は鏡餅を刃物で切ることを
忌み、手や木槌で割り開いたことにより「鏡開き」と云われおります。

 

 今週の酒肴膳は、「鏡開き」を、テーマとして
  お鏡餅揚げ煮、寒鴨黄身酢、五色なます
   慈姑真薯と焼きあなご、織部いわし
  蕗のとう味噌汁、 お口すすぎは、松の実です。

 

昨今のお鏡餅は真空パックとやらで、すでに個々に切り分けられ 合理的で便利と
云えば便利ですが、何とのう味気なく食文化も失われつつもあります。
ともあれ今日は成人の日」。鏡餅の頑強な固さには当惑致しますが、おのずから
自分の道を開くにも鏡餅を我が手で渾身の力を込めて切り開くが如く歩み生きて
頂きたいものですね。

2011-01-10 13:29 | トラックバック(0) | コメント(0)

迎春.jpg        

          新年明けましておめでとうございます。
        本年も御贔屓賜ります様お願い申し上げます。

 

陰暦いわゆる旧暦では新年すなわち一年の初めを立春(二月四日頃)に合わせるよう
にしていたので新年は同時に迎春でありました。春を迎える喜びの中に新年を迎える
祝意も込めていたのでございましょうね。今は失われつつある「松飾り・餅花・お鏡餅・獅子頭・競い独楽」など等、「正月の風情」と「迎春の膳」をお愉しみ下さい。

 大福お屠蘇.jpg         新年四日より初店の 今週の膳は「迎春」をテーマとして
          寒鰤寿焼き、七種がゆ、利休いりこ
          あん肝柚子おろし、鴨たたき寄せ熨斗人参添え
          蛤真薯清し汁、 お口すすぎは、大福お屠蘇 です。

 

正月の七日には春の七草「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、
すずしろ」を入れた七種(ななくさ)粥を食べる習わしがありますが、この行事は
七種粥を食べると万病を除くと云う古い習わしで、陽暦では自然の状態で七種は
生え揃うものでもなく、もとは田植えに先立って行われた行事が正月に移されたもの
だそうです。ともあれ七種粥は、心身の浄化を図る為の古人の知恵でございます。
古人すなわち先達は、はかり知れない食生活の知恵を今に残されております。

2011-01-01 00:56 | トラックバック(0) | コメント(0)

y200500c_A1.jpg心忙しい年の暮れ。いろいろと思い出の多かった今年も後数日となりましたが、

一年が終わる大晦日の週に当亭では、ひとと歳の水の恩を送るために茶家同様に

除夜釜をかけます。水と火がなくては茶湯は出来ぬと知りながらも、つい忘れがちに

なるのが「水の恩」。それゆえに年の境い目に改めて大年を惜しみ、感謝の念を新た

に致すのでございます。
  
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「年越」をテーマとして 
  つもごり鴨蕎麦、春菊不老長寿和え
  鮭かぶら巻き、柚子田楽、烏賊にごり焼
  除夜粥汁、 お口すすぎは、芹 昆布茶 でございます。

やがて、とこからともなく除夜の鐘の音が、強く五十四、弱く五十四、合わせて

百八声。これは十二月、二十四節気、七十二候の合計がこの数だそうで、

人間の煩悩(心身をまし乱す迷いのもと)の総てを鐘の響きにのせて吹き祓う

のです。

 

今週では最今の不景気を吹き飛ばさんが如く 皆様とご一緒に「餅搗き」を致し、

搗き立て餅をお召上がり頂きます。 本年は29日までの営業とさせて頂き、

身勝手ながら 30日から新年明けまして3日までは正月休みを頂戴致します。

尚、新年1月4日初店よりの営業でございます。

皆様には何卒良い年をお迎えなさいますよう お祈り申し上げます。 亭主合掌

2010-12-26 16:42 | トラックバック(0) | コメント(0)

冬至は二十四節気の暦の一つで、太陽が赤道から最も離れるときで昼間が最短、

夜間が最長の日でございます。冬至から日脚が伸び太陽の復活してくる日を祝う

風習から、南瓜を食べると中風にかからないとか、柚子湯に入ると風邪を引かない

などと云われ、古来より一年を健康で送る為には、人は「運、鈍、根」を身に付けて

おかねばならない故に、運「ン」の音の二つ重なる食材を七種食べて開運、厄除けを

致しました。今週のお膳には、その運「ン」の音の二つ重なる食材を七種組み入れた

お献立です。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「冬至」をテーマとして
  冬至南瓜ほうとう、寒天寄せ柚子味噌
  荒巻鮭酒焼き、金銀冨貴、蓮根鴨きんぴら
  曙人参軽羹仕立て、 お口すすぎは、柚子湯です

又、冬至は火祭りの行事として、柚子を縁の下に入れておくと火を防ぐとも言伝えも
ございます。ともあれ冬至の行事は、食生活が豊かな時代になっても、寒さというス
トレスに対応出来ないことの多い現代人に対して、色々と反省すべき示唆を与えてく
れておりましょう。

2010-12-19 15:02 | トラックバック(0) | コメント(0)

「事納め」が、まだなのに「事始め」とは 何ぞやと思われてる方もおられましょうが、
古来、陰陽学から陽の数字の極みとされた師走の十三日を「事始め」と申し、

正月の準備に取りかかったそうです。正月の準備に取りかかると云うことは、

事は始まったと解釈しても宜しいようで、 京阪地方の商家、茶家、芸能界では

この日、衣服を改め日頃恩恵を受けている主家へ鏡餅を持参し祝着の意を表す

のが習わしで、この餅を「事始めの餅」と申します。事始めの礼も、歳暮の習わしも、

由来はともあれその心は同じであり、一年の終わりに感謝を込めて贈り物を持参し

御挨拶すると云うことは、これは人間の気持として自然な習わしでございましょうね。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「事始め」をテーマとして
  海老真薯吉野仕立て、落ち鱚末広うに焼き
  姫くわい揚げ、蕪千枚重ね寿、比婆蒟蒻田楽
  お事汁、 お口すすぎは、揚げ餅 でございます。

事始めのこの日から地方によっては門松を立てる所もあり、煤払いをする地方もあり
中国、九州では「正月始め」と云い、岐阜では「正月起こし」とも申すそうです。
早いものですね 約3週間後には正月を迎え、早や一年を終わろうとしております。

2010-12-13 14:42 | トラックバック(0) | コメント(0)
炉辺.jpg冬構えの済んだ頃より、冬の寒さも厳しく雪の多い地方では冬籠りの季節となり、
昔の農家では囲炉裏の生活が始まったものでございます。煤けた天井からは自在が
下がり煮炊きする鍋がかかり、炉火を囲んでの食事や団欒の集いは、冬の農家の生
活の中心となる場所でございました。その炉辺の語らいは昔話、土地の風習、また
今日の話題等、次の世代へ受け継がれてゆく自然な姿でございましょうね。 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「炉辺」をテーマとして
  ほっけ炉辺むしり、身欠鰊大根炊き
  鴨どうふ、一文字ぐるぐる、冬漬物博多巻
  猪菜山家汁、 お口すすぎは、にごり酒でございます。

「 悲しみに 喜びに寄る 大炉かな 」 <山本作治朗>
燃えさかる火を囲んでは悲しみを語り合い、喜びに集う大炉は、その家のすべてを
物語り知っているのでございましょう。寒い今宵は、現代の生活様式では忘れられ
つつある炉辺の酒肴と談笑をお楽しみ下さい。
2010-12-06 15:21 | トラックバック(0) | コメント(0)

今年も又、隣の家の柿の木に、一粒の柿の実が残されました・・・
残された一粒の柿の実が、向こう一年間 柿の木を守り、来年も たわわに柿の実が
実りますようにと願う習わしを「木守り」と申します。 冷え始めました寒空に柿の実

一粒を見上げておりますと その風情は何となく静かで、どこか寒々と侘しさをも感じ

られますが、ものは考えようで向こう一年間 柿の木を守る訳ですから力強さも感じ

られますね!と云う意味合いも含んでおるようです。 地方によっては柿の実二粒を

残すそうで、一粒は木守りの為。 もう一粒はカラスにくれてやるのだそうです。 


 今週の初の膳/酒の肴膳は、「木守り」をテーマとして
   鰆初雪焼き、木守り柿なます
   山芋とんぶり、山家牛芋っ子煮、いぶりがっこ
   蕎麦米山里汁、お口すすぎは、柿茶でございます。

11月7日は立冬を迎え暦の上では冬となりますが、晴れても日差しは何となく

弱々しく、思い出したようにハラハラと時雨が通り過ぎて行く頃は、ともすれば

人の心も荒みがちになります。こんな時には一つの火を囲み、身も心も暖め合う

鍋と炉端の酒席は、くつろぎの中に心通わせる冬の知恵のひとつでございましょう。 

さて これからの爐談亭は、次第に酒席の主題は「火」へと移り、炉端の炭火と

温かい燗酒、出回り始めた初冬の味覚に、一服の温かさを差し上げたく思います。

2010-11-29 15:29 | トラックバック(0) | コメント(0)
 画像 040.jpg                   三味一体の糸が醸し出す「川本高虎 津軽三味線の世界」

 

四季の微妙な移り行きに鋭敏な感覚を学びながら、季節に折目をつけて、

お客様を迎え、従事者ともどもに未熟ながらも心をつくし一期一会のおもてなしに

努めて「光陰如矢」気がついてみれば、早や本年11月25日をもちまして

満二十九年の月日が流れ去ろうとしております。 お客様の心を我が心に、

甘酸鹹苦辛の五味をこえた真味、即ち「また食べたい」と感じていただける

後味を目指して務めること、それが「爐談亭のおもてなしの味」と考え、
天地の恵みに感謝しつつ味わう巡りめく「四季の恵みの素材の味」、何よりもまして
「お客様の、もう一味 」が加わってからこその「三味一体」の爐談亭でございます。

 

「三味」 津軽三味線の宴 11月22日〔月〕 から 27日〔土〕までの5日間
    津軽三味線演奏 PM8:30&10:30 (約30分・2回演奏) 

 尚、23日(火曜日・祝祭日)は演奏をお休みさせて頂き平常営業致します。

       

今週の初の膳/酒の肴膳は、「三味」をテーマとして
   鯛昆布締め柚子釜、真魚鰹笹香焼き
   百合根鴨まんじゅう、辛子明太子寿寄せ、
   舞茸松の実したし、二色清し汁、
   お口すすぎは 朱杯菊酒でございます。

三味爐満鍋   猪つくね&葱とろつみれ&下仁田ねぎ白菜巻、養老味噌仕立て

吹き寄せ祝い膳  初冬大根鴨くずあん、鯛そぼろ蒸し寿司
            地鶏きも味噌焼き、広島菜漬さらだ
            海老柿山葵醍醐、利休栗茶巾しぼり

水菓子 栗あいすくりーむ

誠に身勝手乍ら「津軽三味線の宴」のみ、上記お料理&津軽三味線鑑賞料を

含む 五千円(税込み・お飲物別)の会費とさせて頂きます。本年も毎年恒例の

三味一体の糸が醸し出す「川本高虎 津軽三味線の世界」を  心ゆくまでお楽し

み頂けますれば嬉れしゅう存じます。 ご予約はお早めにお待ち致しております。

 

ご予約お問い合わせは、広島・胡町 「爐談亭」 080-247-1378

2010-11-20 21:16 | トラックバック(0) | コメント(0)

えびす〈夷〉は、七福人の一神として大黒と共に財福をさずける福の神として
最も知られておりますが、古くこの語は〈えみし〉とともに異民族を意味する通称で
あったようです。日本には海の彼方に神霊、常世の国があるとする古い信仰があり、
もとは漁民信仰から出た渡来異国神と云う観念に支えられた神が転じて海運守護

更には商売繁栄の神として中世より広く信仰されるに致りました。えびす講は、もとは

同業者、同地区商人が商売繁盛を祈り、神人共食の宴を持つ集まりだったらしく、

商人の一年の不当の利を神に謝する安値の大売出し(今で云うバーゲンセール)の

行事を誓文払い〈せいもんばらい〉と申したそうで、これが夷講として現在に至っております。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「夷講」をテーマとして
  かき恵美須大黒焼き、小判鴨ひりょうず
  鯛かぶら、えべっさん膾、熨斗がつお
  大福味噌汁、 お口すすぎは、蕪葉 でございます。

数ある広島での代表的な祭りとして、年の最後を飾る「夷講」は、18日から20日まで
催され、来年こそは景気回復なりますようにとお参りするのでございます。

2010-11-15 15:13 | トラックバック(0) | コメント(0)

いつの間にか朝晩は冷えびえとして温かい温もりが恋しい時候となりました。十一月
七日は立冬を迎え、二月の節分までが暦の上での冬となります。立冬は冬の気候に

入る初めの日であって、いわゆる冬の気配が立ち始める訳でございます。実際には

野山もまだ秋の装いで秋の気配がまだまだ残っていますが、朝夕などは寒冷が加わ

って冬は迫って参ります。夜などはいわゆる夜寒むを感じ風邪を引きやすい季節とも

なりますので、くれぐれも注意が肝要かと存じます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「初冬」をテーマとして
  山家胡麻豆腐炉辺味噌、 秋鮭のすぐきおろし
  焼地鳥納豆和え、煎り銀杏、春菊穴子なます
  紅葉なめこ汁、お口すすぎは針柚子でございます。

初冬今宵は、炉端の炭火と温かい燗酒、出回り始めた冬の味覚に、一服の温かさを

差し上げたく存じます。

2010-11-08 15:16 | トラックバック(0) | コメント(0)
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今週は薄暗い亭内で、和蝋燭のほの灯りと秋の夜長をお楽しみ頂けたらと思います。

 

さて、旧暦八月十五夜の名月に対して、九月十三夜の月を 「後の月」と申しますが、

また十五夜を芋名月と云うのに対して、十三夜を栗名月とか豆名月と云い栗や大豆を

供えて祭ります。十三夜の月は、秋の夜長に しみじみとした情味を感じます。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋の夜長」をテーマとして
  鴨の砧巻き、 むかごとしめじの柚子味噌
  五平もち、むらさき秋大根、秋小鰺の酢漬
  十三夜汁、お口すすぎは、かぼす でございます。

昔の秋の夜なべ仕事に砧(きぬた)打ちと申して洗濯物の糊を柔らげたり、藁を慣ら
す為に盤上に乗せて木槌で打つのですが、秋の夜長に秋風や秋の寂しさの中で聞く
砧を打つ音色は、物悲しげな哀調がございましたそうで現在ではほとんど聞かれませ
んが、わら砧は今でも農家で行われてる所もあるようです。

さても深まりゆく秋の夜長に和蝋燭のほの明かりでしみじみと酌み交す酒には豊富に

出回る秋の実りが、より一層興趣を添えてくれることでございましょう。 

 


2010-10-24 01:10 | トラックバック(0) | コメント(0)

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       秋祭りの頃の昔なつかし伝統料理「あずま」

俗説にこの月、諸国の神々が出雲大社に集まるからとて十月を神無月と云い
年に一度のこの集まりで一年分の縁結びの相談を済ませてしまいます。
そういう伝説にあやかってか、この月から来月にかけては婚礼が多く
又、稲の収穫の終わったこの頃は、あちらこちらで秋祭りが行われます。
春祭りで豊作を祈ったのに対し、秋祭りは穀物の実りに感謝し、神にも供えて
共に喜ぶものでございます。縁結びも穀物の実りも、共に喜ぶ気持は ひとつで
ございましょうね。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋祭り」をテーマとして
  秋鯖祭りあずま、舞茸と菊花の胡麻味噌和え
  祭り煮しめ、大和芋蒸し、たこ塩辛青柚子おろし
  だまっこ汁、 お口すすぎは、松の実 でございます。

さて秋祭りの頃になれば、瀬戸内海沿岸の広島県中央から西部にかけて秋祭りや
正月に酒の肴やおかずとして来客に振る舞まわれる料理に、このしろ&さばを
使っての「あずま」と云う伝統料理がございます。
このしろ等の小魚を背割りにして中骨を取り全体に塩をふって半日位置き表面を
さっと洗って二杯酢に二日位浸しておき、その浸け酢で味付けしたおからに、
おのみ(麻の実)などを加え、魚の腹に詰めたものを「あずま」と云います。
最近では、あまり見かけられない料理「あずま」は、子供の頃は食べるのが嫌で
したが、酒の味が分かるこの歳になれば、何とのう懐かしゅう味わい深くあります。
今週の初の膳のひとつに、この伝統料理「秋鯖祭りあずま」を楽しんでつかあさい。

2010-10-18 15:23 | トラックバック(0) | コメント(0)

古い言葉ながら,「天高く馬肥ゆる秋」の好季節は、海山里川のさまざまな恵みは

枚挙にいとまなく、まさに実りの秋と申せましょう。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「実り」をテーマとして
  烏賊の新米印篭蒸し、里芋もろこし実り和え
  秋鮭黄金焼き、いり新銀杏、じゃが芋山椒酢
  粟麩かぼす汁、お口すすぎは、焼き米 でございます。

秋に実を結ぶ木々の果実も限りなく、この頃は稲刈りの季節でございます。
早い所では八月下旬、遅い所では十一月下旬には刈られてしまいますが、稲刈りが

終わった後の田や畦道に落ちている稲穂は農家では一粒と云えども大事な米で、
落穂拾いは結構大切な仕事でありました。昔は老人や子女が腰をかがめて落穂を

拾い集めるさまを見かけられましたが、ともすれば稲作をも軽視する近来、日本の

農政のもとでは、うち捨てられたままの落穂を見かけることも まれではなくなりました

ようです。

2010-10-12 17:09 | トラックバック(0) | コメント(0)

CA729A21.jpg秋風が吹く頃ともなれば、香魚とも呼ばれる鮎は産卵のために清流を下り
短い一生を終える子持ち鮎を「落鮎」とも云います。
その子持ち鮎を丸ごと焼いてほうばる!これぞ実りの秋の醍醐味とも
申せますが、その鮎を素焼きし、番茶で下炊き、更には朴葉の香りを添えた
合わせ出しでコトコト弱火で炊く事5時間・・・・・煮浸たしに致しました。
何処が身やら黄金色の はち切れんばかりの卵をのぞかせる子沢山で
突き出した腹から卵がのぞく様子は、いかにも食欲をそそります。
口の中ではじけるような独特の食感は、九月下旬から十月いっぱいの
そのわずかな期間だけ。夏の鮎とはまた違う美味しさの「名残りの季節」を
代表する川魚です。

 

また昔は十月の茄子を「名残り茄子」又は残り茄子を木に付けたまま売りに

来たので「木なり茄子」とも申します。秋が深まるにつれ肌理がこまかくなり

甘味を含んだ茄子は美味しゅうございます。

   今週の初の膳 酒の肴膳は、「名残り」をテーマとして

   落ち鮎朴葉煮、梨と水前寺海苔の白和え
   走り蕎麦がきとろろ、菱の実、たたき酢牛蒡
   名残り焼茄子ずんだ汁、 お口すすぎは、青紫蘇です 

古語辞典によりますと「名残」とは「波残ナミノコリ」の約であるといいます。
波の引いた後に、なお残る物そこから転じて、あることの過ぎ去った後まで

尾を引く物事や感情の意です。
暦の上では来月で秋も逝きますが、夏秋の天地の恵みを感謝しつつ、
この季節ならではの自然の真味を心静かに味わうべき秋だとは存じますが、
「不時不食/時ナラザレバ食ワズ」この言葉の意味を私達は、改めて考えて

みる必要があるようでございます

2010-10-04 14:14 | トラックバック(0) | コメント(0)

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自然の節理とは不思議なものですね。秋のお彼岸の頃になれば、
気候の変化にも関わりなく 指折り数えて彼岸を待ってたかのように
決まって庭の一角に咲く彼岸花が、今年の異常なほどの暑さのせいか

例年より約一週間遅れで、ようやく赤と白の「彼岸花」が咲き始めました。
白い彼岸花は、鍾馗水仙(しょうきずいせん)と彼岸花の交雑種だそうで
何とのう怪しい雰囲気とともに 何故か妖艶さをも感じさせられます。
彼岸花には「リコリン」という毒があるので、子供がそれに触らないようにとか
昔から生花にするものではないとか云われて敬遠されていましたが、
毎年この頃には 当亭の厠(かわや)に生けて、秋の訪れを楽しんでおります。

 

二十日は彼岸の入り 九月二十三日は秋分の日であり、彼岸の中日にあたり、
お彼岸を過ぎる頃ともなれば、朝夕は涼しく一段と凌ぎやすく秋を感じ始める
時節ともなりす。又、この頃降る雨は長雨になりやすく 秋雨前線が停滞し
雨に似た気象配置で、これに台風の接近がある等、この時節の長雨を「秋霖

しゅうりん」とか「秋ついり」と云いますが、今年の9月は長雨もなく台風も来ま

せん。 一日も早く、秋の日一天雲なく晴れ渡ったさまを見たいものですね。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「秋色」をテーマとして
  秋刀魚の梅煮、栗せんべいと焼湯葉、揚出し山芋
  吹き寄せ山家金平、秋鮭と秋大根砧巻きの胡麻酢
  大徳寺納豆汁、 お口すすぎは、胡桃です。

いよいよ絶えまなく秋の食材が出回り始め、食欲の秋を迎えます。今週は秋の

気配を感じていただく「秋色」の膳でございます。

2010-09-29 23:01 | トラックバック(0) | コメント(0)

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仲秋の名月とは陰暦八月十五夜の満月を申し、今年は九月二十二日にあたります。

月の前に秋の七草を飾り [ 団子,柿,芋,酒 ]を 供えて名月を賞でるのが月見の宴で

ございますが、古人は冴え渡る月の光を心行くまで鑑賞するために、総ての明かりを

消したものと申します。古来よりこの夜 月を賞するに衣被(きぬかづき)を三方に盛って

供える風習から 仲秋の明月を一名 [ 芋名月 ]と呼び里芋や柿を供え、これに対して

陰暦九月十三夜の月を「栗名月、豆名月」といい、栗や大豆を供えて月を賞でます。

今週は、十五夜や十三夜にお供えする食材を使った「お月見」の膳でございます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「月見」をテーマとして
  鯛栗の月色蒸し、秋茄子と枝豆の胡麻和え
  叢雲の月とろろ寄せ、柿なます、里芋松笠焼
  月見団子汁、 お口すすぎは、にごり酒 でございます。

また十五夜の月見をして十三夜の月見をしないことを片月見といって昔の人々は嫌っ
たもので、夫婦が別々に月見をするのをそう呼んで禍いがあるという地方もあります。
因に、「叢雲の月」のとは雲で見え隠れする月のことで、何と風情ある表現ですね。

亭内板中央の昔ながらの月見飾りに、お月見の風情をお楽しみ下さいませ。

2010-09-20 19:23 | トラックバック(0) | コメント(0)

九月二十日を敬老の日とし、その週を シルバーウィークと呼ばれる

ようになりました。 お婆ちゃん子であった私の幼い頃、今は亡き

祖母から色々な昔話を聞かせて貰ったものですが、

中でも「姥捨て山」の話はいつも私を可愛がってくれるお婆さんを、
何故に山に捨てに行かなければならないのか、不思議に思ったり
自分が老人になった時の事を心配したものでございます。
その時代は生活苦から老人を山に捨て、老人もそれを得心ずくで
捨てられると云う「楢山節考」の話しは子供心に抱いていたことよりも
もっと残酷で悲惨な制度であったようでございます。
今の時代は ご老人を大切にする色々な制度がありますが、
私達の日常生活にも、いわゆる「姥捨て山」の無き様に心掛けたい

ものでございますね‥‥

今週の初の膳 酒の肴膳は、「敬老」をテーマとして
  鱚の養老柚香焼き、林檎と蒸鳥の白和え
  萩海老しんじょ、里芋磯辺和え、茗荷鴨田楽
  しめじ汁、 お口すすぎは、小梅と結び昆布
 
さて今週の当亭は、敬老の日に因んで「敬老の膳」
古来より、御老人のことを「萩の花」 に例えられます。
枝を曲げ垂れ下がり咲き誇る萩の花を
腰を曲げられるお年寄りの姿に写したものでしょうね。
その萩花の姿を写した「萩海老しんじょ」を 始めとして
御老人の白髪がごとくの「林檎と蒸鶏の白合え」
また敬老の日の長寿をお喜びして「鱚の養老柚香焼き」
更には「茗荷鴨田楽」、「里芋磯辺和え」そして「しめじ汁」など
お年寄りにも優しい口当り良き献立をご用意致しました。

今週は、常日頃お世話になっている「お爺ちゃんお婆ちゃん」と

御一緒にお立ち寄り頂ければ嬉しゅうございます。

2010-09-13 14:26 | トラックバック(0) | コメント(0)

重陽は五節句の一つで 九の数は陽の極みであり、九が二つ重なるゆえ九月九日を

重九(ちょうきゅう)とも云われ、重九は長久に通じるので目出たい極みとされ、
不老長寿の意から祝ったのでございます。重陽節は、もとは中国に端を発し、

我国では平安時代より宮廷の行事として取り行われ、詩歌を成して菊の宴が

開かれ、また民間では菊人形の見世物などが行われました。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「重陽の節句 」をテーマとして
  菊花小蕪鴨詰め、烏賊の緑酢和え、
  利休栗、ずいきの山家煮、初さんま幽庵焼き、
  青海波清し汁、 お口すすぎは「菊酒」でございます。

菊 008.jpg

陰暦にすれば、菊の盛りなので菊の節句と称し、菊の花びらを浮かべて酒を飲む
と云う菊酒は邪気を払い命が延びるといわれ、又この頃は栗も出まわるので栗の
節句とも称され、栗飯を食べたり致したそうでございます。

2010-09-04 23:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

野分(のわけ、のわき)とは、立春から数えて二百十日頃、今年は8月31日にあたり
ます。昔から二百十日を中心に台風がやって来ると申しますが、また来て欲しくない
ものです。古くは台風と云う用語はなかったようで、風が野を吹き分ける秋の強風の
意で、台風を含めて秋の強風は すべて「野分」と申しておりましたようです。でも
台風がやって来たから、これを食べましょうよ!と云う約束事は無論ありませんで、
秋の気配が漂い始める野分の頃の 山郷料理をお楽しみ頂ければと思います。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「野分」をテーマとして
  秋味の野分け焼き、大徳寺麩と独活のべっこう炊き、ごんぼう煎餅
  秋茄子と穴子のずんだ和え、湿地胡麻豆腐の猪山家葛あん

  名残り鱧と茗荷の味噌汁、 お口すすぎは 梨 でございます。

さて、台風ともなると「猪もともに吹かるる野分かな」(芭蕉)などと、呑気に構えて

おられません。一雨ごとに朝夕の冷気が深まり、台風一過の澄み切った秋空を

見上げておりますと「いよいよ酒と肴の旨さも深まる」などと思うのも私たち酒従の

楽しみでもございますが、今年は台風もやって来ませんし 最今は雨も降りません。

まだまだ残暑は暫らく続きそうですね。

2010-08-29 00:46 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋そしてお盆も過ぎた初秋に 天地すべてが、涼気が帯びて来るのを申しますが、
日中は まだまだ残暑殊の外きびしく 例年ですと若干ではありますが、朝夕何んと

のう涼しく、しのぎやすくなった今日この頃を 「涼し」とするのは、日中の暑さあって

こその季語「新涼」ではないでしょうか。  「 秋涼し 手毎にむけや 瓜茄子 」  芭蕉

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「新涼」をテーマとして
  鮎の名残り焼き、茄子の猪飛騨味噌煮 ちりめん覚弥、
  百合根鴨まんじゅう、茗荷梅かつを青紫蘇巻き
  蕎麦米汁、 お口すすぎは 山家実山椒 でございます。

「紀州梅がつを青紫蘇巻き」

  紀州の南高梅を当亭独自の梅がつをに仕上げ、これまた数日間寝かせば、

  生唾ものの旨さ百倍...その梅がつを&茗荷千切りと共に青紫蘇で巻きました。
 
「ちりめん覚弥」
 定かではありませんが、覚弥とは一説にはこの料理を考えられた坊さまの名前

 とか!?  要は夏漬物の古漬を膾(なます)にし、音戸ちりめんや生姜みじん切りと

 共に和えました。古漬特有の味わい深い酢つぱさが、堪らなく食欲をそそります。

 

今年の八月も日毎連続の暑い毎日でいささか私たちの体が、すがすがしい秋を待ち
わびております。今週は過ぎ行く夏の素材にて夏の名残りの「食欲増進 山里料理」
と致しました。 

2010-08-22 00:38 | トラックバック(0) | コメント(0)

送り火は、盂蘭盆の十六日に、十三日の夕方に門前で麻幹(おがら)を焚いてお迎え
した精霊をふたたび火を焚いてお送りすることを申します。この風習は中世の頃から
行われ江戸時代に民間に普及したものだそうでございます。地方によっては違うよう
ですが現在行われている中では京都の大文字がよく知られており、盂蘭盆が終わる

頃もなれば 朝夕に秋の気配が漂い始めます。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「送火」をテーマとして
  お精進送り火和え、くるみ豆腐信濃煮
  無花果胡麻密だれ、生麩酢味噌、初秋茄子田楽
  湯葉とろろ汁、お口すすぎは 大徳寺納豆 でございます。

今週は、年に2週のみの精進料理で初秋の精進料理です。 私達も年に一、二度は

心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振

返る一刻が欲しいものでございますね。

2010-08-17 13:56 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋は二十四節気のひとつで今年は7日を申します。立秋は夏至と秋分の丁度中間

にあたります。暦の上では、この日から秋に入り立冬の前日までを秋とし、立秋は季

節の区切りとされております。秋と申しましても秋とは名ばかりで尚も厳しい残暑が続

き古歌がむしろ立秋の季節感を伝えておりましょう。「秋来ぬと目にはさやかに見えね

ども風の音ぞ驚かれぬる」等と、この時節の気象上も夏型気圧配置が一時的に衰え

ることにより、雲や風の様相に秋の気配がしのびよってくるのが僅かながらも感じられ

るようでございますね。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「立秋」をテーマとして
  鮎煮びたし、十三豆と蒸し鶏の胡麻和え
  小芋安倍川、南瓜真薯青汁、穴子茗荷なます
  沢煮椀汁、お口すすぎは すだち茶 でございます。

今日「赤とんぼ」を見かけましたが、秋は早いと申しましても気持ちの上でも炎暑の

中に秋の気配を早く感じたいもので  盆の行事が一般に月遅れの八月十五日前後に

行われるので、行事上の秋は早いものでございます。 暦の上では秋とは申せ、まだ

まだ暑き日々が続き食欲の失せる頃ではございますれば、今週の膳に「秋の気配」を

感じて頂ければ幸いに存じます。

2010-08-08 00:45 | トラックバック(0) | コメント(0)

八月朔日(ついたち)を略して「八朔はっさく」といい、この頃 早稲の稲穂が実るので、

古く農民の間では初穂を恩人に送る習わしから 田実(たのみ)の節句、田面(たおも)

の節句とも申します。この日には米団子を作って田の実なりを賀したり、厄除けと称し

て桃を食べる日でもあったようでございます。また 武家では「たのみ」を「頼み」にか

け、日頃お世話になっている頼み合っている人に、その恩を感謝する意味で贈り物を

するようになったようで「御中元」の始まりとも云われ、夏のお正月の意味合いも含ん

でおるようです。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「八朔」をテーマとして
  八朔泣豆真薯、鱸たで味噌焼き、はも柳川煮
  厄除け桃の胡麻密だれ、瓜雷干し笹身風干し酢
  田の実団子汁、 お口すすぎは いり米 でございます。

この日、宮島では藁で編んだ田面船を作り人形を乗せて海へ流し、対岸の大野町で

は流れ着いたこれを拾いあげて田の畦に埋めると豊作になるとしたそうで、八朔の日

から夏の昼寝をやめて、この夜から夜なべ仕事をする切り替えの日でもあり、立秋を

前にして夏が過ぎると云う意もあり、秋ともなれば「夜なべ仕事が待つとる」のと泣き

べそかきながら「八朔泣豆真薯」を食べて田実の節句を賀し、古人は季節のくぎり

節目を大事にしたようでございます。益々暑さ厳しき折柄、八月七日には 「立秋」を

迎え、早いものですね。暦の上では秋となります。

2010-08-02 15:28 | トラックバック(0) | コメント(0)

 

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夏の盛りに、香りある美しい花をつける蓮の花弁は、十六枚が普通で朝開いて
夕方閉じるを三日繰り返し四日目には散ってしまいます。暁闇を破って "ぽん
ぽん"と音がするが如くに咲く蓮の花は、一瞬の気高い薫りに酔い、浮葉巻葉の
間から先き競う蒼々たる花を賞する蓮見の風流心。

 

  今週の初の膳 酒の肴膳は、「蓮見」をテーマとして
   心太蓮葉酢、新蓮根せんべい、おなす鰊
   蓮芋と椎茸のあいまぜ、地鶏ずんだ焼き
   じゅんさい梅汁、 お口すすぎは 蓮茎 でございます。

古人は早朝に蓮を愛でて涼をとるなどと その風流心をお持ちのようでしたが、
現代人の私達は中々そのゆとりもなく、蓮畑も身近には消えつつありますね。
せめて今週の爐談亭では、畳一畳の蓮畑を設え一服の涼を差し上げたく存じます。

 

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この蓮花&蓮葉は岩国から取り寄せますもので、夜咲くはずもない蓮花は亭主独自

の手法で咲かせたものでございます。今週の26日(月)から 31日(土)まで 日々

替わる蓮花と、風流「象鼻酒」を心行くまで お楽しみ下されば嬉しゅうございます。

 
象鼻酒2.jpg

象鼻酒 とは、蓮の茎には蓮根と同じ穴が開いており、蓮の葉を漏斗代わりに

冷酒を注ぎ、茎から滴れ流れ出る清涼感溢れる蓮香の薫る酒を爽やかに味わい、

涼しさを楽しみむものでございます。その姿が、象の鼻に似ている所から「象鼻杯」

とも云われ、3世紀頃の古代中国では象鼻酒を飲めば3年寿命が延びるとし、

客をもてなす最高の味わい方とされ、岩国の古き茶道文献にも残されております。

 

今週は夏の花歳時記 「蓮見」 にて、一服の涼しさをお楽しみ下さい。 亭主合掌

 

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 28日は京都より広島出身の舞妓さん来亭 「蓮見の舞」を ご披露して頂きました。

 

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       白髪のお客様の御髪が少し邪魔ですが、ごめんなさい。 

2010-07-20 14:41 | トラックバック(0) | コメント(0)

土用

2010年7月20日

土用は四季ともにありますが、通常は夏の土用。今年は七月二十日の「土用の入り」
から十八日間を申します。中でも二十六日の「丑の日」が重視され、うどん,梅漬け,
牛馬など"う"の付くものを食べた風習に夏の活力源の食べ物として「鰻」が、乗じた
ものでしょう。これは江戸時代中期に鰻屋が、奇才と云われる平賀源内に宣伝依頼
し評判定着したと云われており、他には土用蜆を食べたり、土用灸をすえたり習慣も
あるそうですよ。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「土用」をテーマとして
  土用鰻蒲焼もどき、家猪とごぼう梅煮、うざく酢
  馬そぼろと蓮芋のずんだ和え、焼茄子胡麻豆腐
  土用しじみ汁、お口すすぎは 梅薫茶 でございます。

そもそもは邪気除災の行事を行われたのが土用丑の日なのですが、暑い盛りの時期

を乗り切る為の古人の知恵でございましょう。

2010-07-20 14:34 | トラックバック(0) | コメント(0)

涼舟

2010年7月12日

そろそろ梅雨が去り初蝉が聞える頃ともなれば、暑さを避けて夜気に涼味を
求めたくなる時節ともなります。夏の夜の涼味といえば鵜飼船や納涼船そして
屋形船の海や川の舟遊びも、そのひとつでございましょう。  今週は舟遊びの

山郷料理でございます。 数年前にイタリアの方がお見えになり、日本人でも

「鮎うるか」を苦手の方が多いのに「ボーノ&ボーノ美味しい!」と云われました。

よくよく伺えば「アンチョビー」に似て美味しいそうで、これをヒントに「そうめん」と

合わせてみた所、これがまた酒の肴に打って付けでもあります。


  今週の初の膳 酒の肴膳は、「涼舟」をテーマとして
  鮎の笹焼き、鬼灯琥珀玉子、川風豆腐
  うるか葛きり和え、あなご胡瓜なます
  冬瓜冷や汁、お口すすぎは 青柚子茶 でございます。

水の上を渡ってくる風は涼しく、ボート遊びや、水遊びに、にぎわう昼間の騒々しさ
にくらべて、赤いほうずき提灯をつるした屋形船の時々船縁を打つ竿の音が辺りの

静けさをいっそう感じさせます。  しのぎにくい夏の夜を舟遊びに出掛けてみては

いかがでしょうか? 思い出に残る夏の夜の涼味となるのではと思います。

2010-07-12 16:07 | トラックバック(0) | コメント(0)

七夕

2010年7月05日

五節句の一つに数えられる七夕祭は星を祭る行事として

中国の後漢の頃に端を発し、日本に入ってきたのは奈良時代の頃で、

『日本書紀』によれば持統天皇の5年(691年)に宮廷で七夕の宴が

催されたのが、七夕祭りの始まりと云われます。

天の川の両岸をはさみ牽牛星(ひこ星)と織女星(おり姫星)とが

年に一度の逢瀬を許されたが、もしこの夜が雨となって

天の川の水嵩が増して渡れないときには、鵲(かささぎ)が両羽を

ひろげて橋となり、織姫を渡してやると云う伝説により、

七月七日には両星を祭る風習が江戸時代より盛んになったそうでございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「七夕の節句」をテーマとして
  天の川茶豆腐、夏鴨と里芋の甲州煮
  願いの糸瓜、笹舟小鯵酢、七色酒菜
  はも茄子味噌汁、お口すすぎは , 青しそ でございます。

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七夕の宵には 当亭中央の板の間に天井までの笹の木をご用意致しますれば,

願い事を短冊にしたため、笹竹に結び七夕流しに興じた子供の頃を思い出し

いにしえの恋物語に思いを馳せながら、夏の一夜を閑かに心遊ばせて、

ひと筆いかがでございましょうか...

2010-07-05 16:59 | トラックバック(0) | コメント(0)

夏越(なごし)

2010年6月28日

古くは六月と十二月のみそかに、罪、汚れを祓い清めた神事を「大はらい」といい、
十二月の年越と、六月のはらいを 夏越(なごし)の祓(はらえ)と申します。
夏越は、神意をやわらげる意味の和し(なごし)であるといわれ、この夏を無事健康に
越せるようにと六月三十日に行われるもので、古くは農家にとって田植え終了後の
いましめ又つつしむべき忌みの日でもあったようでございます。
この夏越では、茅の輪(ちのわ)という茅(かや)で作った輪形を拝殿や鳥居の所など
に設け、神官がくぐった後に続いて参拝者もくぐって災厄をはらう「茅の輪くぐり」や
また人形(ひとがた)の紙切れに身の災いを移し、川に流したりも致します。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「夏越」をテーマとして
      人形木の芽鴨味噌やっこ、茶魚そうめん、鱧ちくわ胡麻酢
      水前寺海苔にしきぎ山葵風味、笹身の梅みょうが焼き
      うなぎ肝汁、 お口すすぎは 桃茶 でございます。

私達も月日の流れにながされて、今年も早や半年が過ぎ去さろうとしております。
この夏、皆様のご健勝を祈念申し上げます。

2010-06-28 14:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

螢狩

2010年6月21日

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 花名 螢袋(ほたるぶくろ) 捕まえた螢をこの花の中に入れ花弁の先端を結び、

 幻想的な螢光を楽しむと云う。古人は何んと風流な遊び心をお持ちのようです。

私の子供時代には、初夏の夜には幻想的な螢狩で癒しの体験をしたものでござい

ます。一時は農薬の為、螢の餌となる川蜷(かわにな)が姿を消し、螢も次第に見ら

れなくり、わずかに残された自然環境の中で健気に生きておりましたが、最近では

農薬規制、また保護活動などにより生息環境も整い始め、蛍狩りの声を耳にするよ

うになりました。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「螢狩り」をテーマとして
  ほたるいか黄身酢、若鮎揚せんべい
  家猪梅煮、淡雪豆腐、紫じゃこめし
  粟麩と瓜の味噌汁、 お口すすぎは、しそ茶でございます。

螢は、源氏蛍と平家蛍に代表されます。無数の蛍が入り乱れて飛ぶ情景を蛍合戦

といい、宇治の蛍合戦は源の頼政の怨霊の現われとの伝説もございます。水辺の

闇に神秘的な光を明滅して乱れ飛ぶ 夏の優しの虫「蛍」のさまは、まさに初夏の

風物詩と申せましょう。

2010-06-21 15:21 | トラックバック(0) | コメント(0)

入梅

2010年6月14日

暦の上では十一日が入梅。広島は例年より七日遅く十三日に梅雨期に

入りました。 梅の実が熟する頃の雨なので梅雨と申すそうですが、

古くは陰暦五月にあたるので五月雨 「さみだれ」 とも云い

この時季に雨が降らない事を、空梅雨「からつゆ」とも申します。
いずれにせよ じめじめとした肌寒さを覚える日もあって、

誠にしのぎにくい月ではあります。しかし見様、考え様では風雅なもので

「五月雨や 色紙へぎたる 壁の跡」などと侘びに興じた芭蕉をしのび 

 いっそ「雨を楽しむ」と開き直り、五月雨の音を酒の肴にと洒落込むのも

結構なものかとも存じます。

 

  今週の初の膳 酒の肴膳は、「入梅」をテーマとして
   海老の紫陽花揚げ、蜆と瓜雷干しの辛子酢味噌
   青煮梅、新牛蒡香り炒り煮、空豆夏鴨真薯、
   鰯つみれ汁、お口すすぎは、香煎茶です。

 

巡るめく花の移ろいに誘われて、今週は梅雨の花「紫陽花」を亭内あちこちに配し、

酒の肴にお楽しみ頂ければと思います。


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2010-06-14 15:27 | トラックバック(0) | コメント(0)

夏祭り

2010年6月07日

夏祭りは、五月の東京「三社祭」、京都は「葵祭」に始まり、広島では円隆寺の
稲荷大明神の祭礼通称「稲荷(とうか)さん」で本格的な夏を迎えます。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「夏祭り」をテーマとして
  柿の葉祭り寿司、お稲荷なます、落花生豆腐、
      うなぎの蓼味噌焼き、翡翠とまと
  はも魚そうめん汁、 お口すすぎは、すだち茶でございます。

この円隆寺は修法師(しゅうほっし)によって護られ、旧暦五月五日(新暦6月初め)
を明神の祭日とし、祈祷会を行い災厄を祓うときなので、この日をとって厄払いの
祭りを行うことになりましたようです。稲荷(いなり)と書いて(とうか)と読みなぞらえ、

そもそもは10日に行われた祭りが、数年前より第一金土日に移り、現在に至って

おります。この時節にすれば真夏への切り替え時なので大正初年から この日を

真夏への「衣替え」とし、浴衣の着初めの習いとなったもので夏を健康に過ごせます

ようにと祈ります。この夏、皆様の御健勝をお祈り申し上げます。

2010-06-07 15:57 | トラックバック(0) | コメント(0)

氷の節句

2010年5月31日

六月一日は「氷の節句」。あまり親しみのないこの節句は、京都は北の郊外の奥山に
氷室(ひむろ)と云う地名があります。昔、この深山山中奥深くの洞穴室に冬中に貯
えておいた氷を六月一日になれば、宮中に献上したと申します。宮中人の役得でしょ
うか!?この日少しでもこの氷を口にすると夏痩せせぬとか、夏を無病息災に過ごせる
と伝わっておりますが、所が昔の事ですので一般庶民は貴重な氷は口にすることも出
来なく、せめて氷室神社の紋を象った外郎を食べて夏を健康に過ごせますように祈り
食した風習がございます。その紋たるや氷の結晶を意図した三角形の形をしており、
その形に小豆を散らした外郎を「水無月」と云い、現在でも六月の和菓子屋さんでは
代表的なお菓子のようです。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「氷の節句」をテーマとして
 氷室にこごり、酒魚と若布の緑酢和え、独活と京揚げの干辛煮
 揚げ出し加茂茄子、地鶏と蓬麩の笹巻き蒸し、水無月豆腐汁
 お口すすぎは、氷茶でございます。

広島では6月第1金曜・土曜・日曜の3日間通称「稲荷(とうか)さん」の夏祭りが始まり

ますが、丁度この頃は衣替えの時節でもあり、浴衣の着始めの習いでもありました。

この夏祭りや、夏越の祓えなど本格的な夏を前にして、「氷の節句」同様に この夏を

無事健康に越せますようにとの祈りからの行事でございます。

2010-05-31 14:25 | トラックバック(0) | コメント(0)

麦秋

2010年5月24日

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立夏の後15日目、大体5月21日頃を二十四節気の一つで「小満」と云い、
この頃が麦刈りの時期とされています。陽気が盛んになって万物成長し時鳥が
鳴き、麦が熟れる頃を「麦秋 ばくしゅう」麦の秋と申します。その景色が、
稲が秋に実るに通わせて、麦にとっては収穫の秋。すなわち麦が熟れるのを
秋になぞらえたものでございましょう。ようやく強さ増した太陽の下、山里では

青葉若葉の新緑に取り囲まれ、かたや黄熟しきった麦畑は鮮やかな対象を

見せてくれます。 何んと のどかな景色ではありませんか!?

今週の初の膳 酒の肴膳は、「麦秋」をテーマとして
  麦秋切り麦、かます竹皮風味焼き、鱸かんらん博多押し、
  柿茶豆腐の薬膳胡桃和え、小蕪と蒸し鶏の麦酢味噌、  
  はったい粉団子汁、お口すすぎは 麦茶 でございます。

はったい粉は「麦こがし」とも呼ばれ、大麦(裸麦)を焙煎し粉砕したもので、

私が子供の頃には、お湯と砂糖を混ぜ 練って食べたりいたしたものですが、

田舎のお婆ちゃんを思い起こさせるその味は、子供達に伝えたい昔なつかしい

ふるさとの味でもございます。今週は「麦」に因んだ山里料理をお楽しみ下さい。

2010-05-24 15:14 | トラックバック(0) | コメント(0)

田植えどき

2010年5月17日

暦の上では「立夏 5月5日」も過ぎ、春色はあせ爽快な夏の気配が立ち初める季節、
いわゆる晩春初夏と云うくらい良き時節でございます。色々の花が次々に開き新茶は
香り、草木は驚く程に伸びてゆく頃、「田植」が始まります。稲は苗代を作り八十八夜

前後に本田に移し、そして田植えを致します。

この頃、田んぼに水を入れますが、雨が少ないと困りますので、雨乞いと豊作を

祈願し笛や太鼓を打ち鳴らして「花田植」を唄い舞ったと申します。

昔の県北一帯は 魚の乏しい所であったようで、中国山地を越えて 「わに(鮫)」や

「塩鯖」が送られて来ました。今週は県北は山郷の郷土料理でございます。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「田植えどき」をテーマとして
  さんばい、田植え鯖のちしゃもみ、家猪梅焼酎煮、
  わにと瓜の木の芽辛子酢味噌、山里切干し大根炊き、
  早乙女汁、お口すすぎは 焼米茶 でございます。

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昔の県北では、田植えの頃になれば、田んぼの畦道に何故かしら栗の枝を

2・3本挿し、山から「さんばいさん」と称される「田の神さん(太陽と土と水の神)」を

お迎えし、田植えが無事に終わり秋には沢山の米が実りますようにと「さんばい」と

云う料理を供え、豊作を祈願したそうでございます。この「さんばい」とは、黒豆入りの

素朴なおこわを青い朴葉に包んだもので、その謂われは定かではありませんが、

素朴で味わい深い「言い伝え料理」です。ともあれ、その習わしも現在では見かける

ことも少なくなったようですが、田植が済んだ見渡す限りの青い毛せんを敷きつめた

ような静かな田園風景を目に致しますと何となく心が豊かに安まるもでございますね。

2010-05-17 15:17 | トラックバック(0) | コメント(0)

鵜飼開き

2010年5月10日

およそ1300年ほど前、万葉の頃から行われていた漁師が鵜を遣い魚を捕える漁法

「鵜飼」は、岐阜県・長良川が最も有名で、鮎解禁より全国を先駆け五月十一日に

鵜飼開きが行われます。鮎は月明かりを嫌うと云われ満月の前後数日は行われない

そうで、闇夜の川を鵜篝(うかがり)の火の粉を暗い川面に撒き散らしながら、

目の前を矢のように通り過ぎて行く鵜舟を眺めておりますと、清らかにも静かな川の

趣きを感じさせる「初夏の風物詩」と申せましょう。
    
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「鵜飼開き」をテーマとして
  鮎の風干し焼き、川海老の川風揚げ、鴨の冶部煮、
  茗荷と瓜の葛きりなます、かぼちゃ篝火ほのお寄せ、
  芽順才とろろ汁、お口すすぎは、木の芽茶でございます。

因みに広島では六月一日より鮎解禁となり、当亭では入り口の大瓶に

日々限定数で活かした地物「天然若鮎」を楽しんでもろうちょります。

鮎は、4月中旬頃から川底の石に付いている硅藻類や藍藻類のコケを盛んに食べ

始め、6月頃には20?ぐらいまでに成長した若鮎は、焼く前は爽やかな西瓜の

香りが漂い、塩焼きは骨抜きなどしないで頭から丸かじりすれば、独特の苦みと

苔の香り 若草のような香りが口にひろがります。6月を楽しみにしてつかあさいね。

2010-05-10 15:24 | トラックバック(0) | コメント(0)

端午の節句

2010年5月07日

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今週花歳時記「端午の節句」の週では、亭内中央の欅板の間に菖蒲畑を配し

花菖蒲の香りと、「菖蒲酒」をお楽しみ頂きます。

 

軽やかな南風にそよぐ青葉若葉が陽光にきらきらと映じて青い嵐のように感じられる
という五月に早苗を植える季節であることから早苗月、それが転じて皐月(さつき)
と申します。三月の桃、四月の桜に続いて五月は花菖蒲。端午の節句を、菖蒲の

節句ともいい、強壮解毒作用を持つ菖蒲や蓬を軒下に差して邪気を払い、火難除け

とし、菖蒲湯は健康増進。そして菖蒲酒を飲めば、蛇にかまれないという風習が

ございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「端午の節句」をテーマとして
 皐月鯉の薫風焼き、竹の子木の芽和え
 笹身菖蒲蒸し、卯の花柏葉巻き、木耳山里煮
 よもぎ団子汁、 お口すすぎは、菖蒲酒でございます。

五月五日は男の子の節句。矢車を付けた竹竿に鯉幟、吹流しを付けて薫風に

なびかせ男の子よ勇壮に活発に育てよと願うものでございますが、

菖蒲&蓬の「邪気を払い&火難除け」そして「菖蒲湯に菖蒲酒」と共に、

ビルが建ち並ぶ風情なき都会生活では 廃れつつある習わしでございます。

2010-05-07 23:14 | トラックバック(0) | コメント(0)

初鰹

2010年4月19日

世の中は三日見ぬ間の桜かな...と、移ろいやすい花の命に諸行無常の人生を垣間

見て、そのはかなさに物のあわれを感じるのが人の心でございます。待ち焦がれて

いた今年の桜も、あっという間に終わり葉桜の時節を迎え青葉若葉に時鳥、さては

卯の花に藤、つつじと風薫る初夏を迎えます。 「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」

やがて春の黒潮暖流の水温上昇と共に鰹が来遊し始め、この頃に捕れる鰹を初鰹と

呼び珍重され鰹の美味しい時節となります。
 
    今週の初の膳 酒の肴膳は、「初鰹」をテーマとして
  初鰹青葉たたき、なまり節と新筍炊き、鰹団子葉桜蒸し、

         菅笠椎茸鴨真薯、空豆塩ゆで
     山菜とろろ汁、お口すすぎは 木の芽 です。

鰹は、昔から意気の良い魚として「勝魚」とも書かれ 江戸っ子に喜ばれたそうで、
また鰹は"勝つ男"に通じるとして、戦国世の鎌倉武士たちが愛好したと申します。
丸まると引き締まった鰹の姿を目にしますと、最今の不景気に打ち勝ちたいものと
勢いをも感じさせられます。 「 鎌倉を 生きて出てけん 初鰹 」

2010-04-19 16:18 | トラックバック(0) | コメント(0)

山菜づくし

2010年4月12日

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 今年も山形は庄内より、すみれに似た可憐な山菜「かたくりの花」が届きました。

 

華やかな桜が終わる頃、うららかな陽の光に芽吹く緑を目に致しますと言い様のない
いじらしさを覚えるものでございます。 この頃 山里では山菜でいっぱいです。
山菜の味わいは、この芽吹きを知ることから始まります。雪解けの土を割って頭を

もたげる"ふきのとう"  厳しい冬を知らなかったかのような"山うど" 可憐な姿で風に
そよぐ "かたくりの花" 等など。山菜は、季節と出逢うよろこびですね。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、只今旬の「山菜づくし」をテーマとして
  たらの芽鶏信田、山うど薫鮭巻、かたくり茎花したし
  こごみと山ふぐの辛子酢味噌、つわぶきと揚豆腐の山家煮
  蕗の薹天と蓬麩の味噌汁、お口すすぎは , よもぎ茶 です。

山菜は旬です。旬はめぐりめく自然の贈り物でございます。次の休日には万葉の昔に
夢を馳せて春の一日思いきって"山菜摘み草"に出掛けてみては如何でしょうか・・・

2010-04-12 16:05 | トラックバック(0) | コメント(0)

送迎

2010年4月05日

 

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              桜吹雪が舞う頃・・・

  

  ご好評の内に先週で「夜桜」終了させて頂きましたが、ご覧の通り桜も元気に

  咲き乱れておりますれば、本日6日(火曜)まで 楽しんで頂く事となりました。

 

春意ようやく動き始める今日この頃は卒業から進学へ、学生から社会人へ、あるいは
新しい職場への異動転勤等が多くなり、いわば新しい人生へと旅立つ門出の時節で

ございます。古人は門出の祝いにと、菜と鶏を炊き合わせて見事に「名取れ」と励まし
ました。「菜鶏」に「名取」をかけたその感覚は私たち現代人にも なお新鮮に感じる
ものでございます。古来日本人は何よりも名を重んじ、名を汚すことを恐れ、その名に
恥じない働きをする日本人気質を大事にしたものです。今の時代に生きる私達は

如何なものでございましょうか!?  送迎 すなわち 門出の祝いを、古人の知恵に

学んでの「送迎の膳」と させていただきました。

今週の酒の肴膳は、「送迎」をテーマとして  
「鯖の黄金出世焼き」 最近では三流とは云えない鯖が黄金出世致しました。
「茶蕎麦田楽」 旅立ちの後にも細く永くのお付き合いをと・・・          
「明日葉と生湯葉の辛子胡麻酢」 明日の旅立ちと云う言葉から・・・      
「名取炊き合せ」 門出の祝いに菜と鶏を炊き合わせて見事に名取れと・・・      
「富貴の山家煮」 蕗 すなわち 富(ふ)貴(き)と書いて金銀に恵まれ何不自由なく・・・ 
「鯛の二色潮汁」 めでたく故郷に錦(二色)を飾ると申します・・・         
 お口すすぎは「蓬」でございます。

因みに百花の王「牡丹」を「名取草」とも申すそうで、いよいよ百花咲き乱れる春を
迎えます。

2010-04-05 13:40 | トラックバック(0) | コメント(0)

お彼岸

2010年3月15日

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                  桜の時節に先駆け、可憐な花びらで咲く彼岸桜 (山桜)

来週は、いよいよ毎年恒例の「夜桜の宴」  詳しくは下記のご案内をご覧下さい。

 

今週十八日の彼岸の入りを前にして、暖かくなり始めたかと思いきや またもや
冴え帰る寒さの日々でしたが、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と申し、土筆や蓬も
芽吹き始め、冬の寒さも彼岸を境に春めいて、やがて雁が北の空へ消えて秋分の
頃には雁が帰って来ます。今週は、待ちどうしかった野や山の恵みに感謝しつつ、
山郷のお彼岸の膳でございます。

 今週の酒の肴膳は、「お彼岸」をテーマとして
   蓬鶏つくね、お彼岸上戸餅
   鯛の筍利休蒸し、土筆の山家煮、

   田芹じゃこ膾、早蕨汁

   お口すすぎは 若布湯 でございます。

ご承知の通り お彼岸は年に二回。春分、秋分の日を中心に前後七日間を申します。
この日 祖先の法要や墓参りをして、その霊がやすらかに 彼の岸(煩悩の流れを越え
た悟りの境地)に到達することを祈るのでございます。 又、春分の日を戦前は、

春季皇霊祭といい 自然をたたえ、生物をいつくしむ日であったそうでもございます

2010-03-15 15:34 | トラックバック(0) | コメント(0)

御斎(おとき)

2010年3月08日

 

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    冴え返る時節に土手には「つくしん坊」が顔を出してておりました。

    そのつくしを盆栽にして「春の訪れ」を楽しんでもろうちょります。

 

御斎(おとき)の称呼は、寺々に集まった在家信者に供される食事(精進料理)の
ことを申します。精進料理の古い様式が今に伝わってるのは、三月十二日の

東大寺で行われるお水取り(修二会)で有名な二月堂で「こもりの僧」が、

精進潔斎するときの食事ではないでしょうか。春とは云え早春のさえ返る寒さの

僧房で、紙衣の求道僧が素朴な食器で、食事礼法に法り行儀正しく食事を

とる様は、平成の時代とは思えない厳しさと鋭さを感じさせられますね。

 今週の膳は、「おとき」をテーマとして早春の山里精進料理です。
  若布豆腐ほのお人参、土筆と山うど胡麻酢
  牛蒡束紫焼き、揚げ湯葉昆布、茶そば磯巻き
  三月大根梅花汁、お口すすぎは干し柿でございます。

当亭は決して精進料理の店でもなく年間52週替わりの味暦歳事記の内2週が

精進料理なのですが、もう1週は盆が過ぎた頃の初秋の「送火」がございます。
私達も年に一,二度は心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しなが

ら祖先を憶い、自分を振返る一刻が欲しいものでございますね。

2010-03-08 15:24 | トラックバック(0) | コメント(0)

桃の節句

2010年3月03日

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桃の節句は、五節句のひとつで上己(じょうし)・重三(ちょうさん)などとも呼ばれ、
この日紙雛を川に流し送る"流し雛"が雛祭りの源流と云われ、祓い(はらい)の為の
人形(ひとがた)に供物をささげて、もろもろの凶事をこれに負わせたと申し、
端午の節句と同様に我が子の成長を祈るのです。

 今週の膳は、「桃の節句」をテーマとして
  菜の花と赤貝の辛子酢味噌、鱒の白桃焼き
  海老の葛水仙、菱形真薯、鳥の巣ごもり
  手まり麩味噌汁、お口すすぎは、白酒に桃の花びら。

長かった冬ごもりに終わりを告げ、一斉にすべての生命が芽吹き春の喜びをうたう
雛祭りの膳の向付には「菜の花と貝の酢味噌」が、おきまりの桃の節句の膳を

酒の肴に、酒に桃の花びらを浮かべて雛の酒と洒落込むなどと私達酒徒も

それくらいの風流心と、ひとときを持ちたいものでございますね。

2010-03-03 00:04 | トラックバック(0) | コメント(0)

梅見

2010年2月16日

梅見  2月22日(月)から 28日(土)まで

 

立春から、およそ一ヶ月間は春とは名のみの寒さ、少し暖かくなりかけてはまた急に
冷え込むのを冴え返ると申します。 それでも一月に比べれば昼が長くなり日差しも
春めいて梅も咲き始め春の気配を感ずる季節でございます。

如月すなわち二月の異名に春に魁けて梅の花を見るので「梅見月」とか「梅月」

などと申し、あちこちで梅まつりの頃ともなります。 京都北野天満宮の梅花祭では

二月二十五日の菅原道真忌にあたり菅公が愛した梅花の枝を霊前にお供えする

ので「梅花御供」とも呼ばれております。

   「東風吹かば にほいおこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」   菅原道真  

 

  今週の膳は、花暦歳事記「梅見」をテーマとして
    紅白梅花酢かぶ、地鶏ふきのとう味噌煮込み
    早春白魚玉じめ、鰆朴葉焼き、壬生菜梅香漬け
    揚げ煮梅清し汁、 お口すすぎは 香煎茶 です。

 

今年も、囲炉裏を囲む欅板の間に天井までの梅の木を配し、亭内いっぱいに

梅花香る「梅見酒」と洒落込んで、早春の味をごゆるりとお楽しみ下さいませ。

 

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今週の梅見では、篠笛奏者の梶川純司さんをゲストに迎え、2月22日25日では

牡丹雪を散らした如くに咲き誇る白梅を愛でながら、早春の篠笛をお楽しみ頂きます。

  

2010-02-16 17:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

かまくら

2010年2月15日

雪国秋田県の横手市では、今年は2月14日の晩にかまくら(釜をふせたような形)を
作り、正面の祭壇には(おすずさま)と呼ぶ水神様を祀り、餅や甘酒等の供物を供えて
お灯明を灯し、子供達は餅を焼いて食べたり甘酒を温め、めらし(女の子)は土製の
頭を串に付け色紙の着物を着せた「串あねこ」と呼ぶ姉様人形で遊びます。

 今週の膳は、春を待つ「かまくら」をテーマとして
  小蕪と鴨のかまくら蒸し、干し菊ぜんまい胡桃和え
  角館鮭の豆腐巻き、挽き割り納豆鮪、水神なます
  秋田だまっこ汁、 お口すすぎは 甘酒 です。

昔から飲み水の乏しかった この地方の忌屋(いみや)即ち水乞いの風習だそうで、
400年以上の歴史を持つ「かまくら」に あかあかと灯った お灯明は雪中に映えて、
全国でも有名な雪国の幻想的で詩情豊かな民俗行事です。 今週は、春を待つ

早春は秋田の郷土料理でございます。

2010-02-15 16:17 | トラックバック(0) | コメント(0)

針供養

2010年2月08日

古く昔の女性は綿から糸を紡ぎ、いろいろに染めて機織りにかけ織り上げることが
最上の任務であり、さらにその布を裁断して種々の着物に縫い上げることは更に
大切なことでしたようです。その意味から針の神(淡島様)を祭り、針に感謝する
針供養の行事は 関東では二月八日、関西は十二月八日に行われますが、
全国的には二月八日が多いようです。 その日には針仕事を慎んで針を休め、
一年間に使い古した折れた針を柔らかなもの豆腐や蒟蒻に刺して休めると云って、
淡島様の神前に供えて供養し、あわせて裁縫の上達祈念致しました。
最近の家庭では針を使う事も稀で針供養はされないようで洋裁&和裁学校位で

しょうかね。この針供養の習わしは、すべてを手で縫っていた頃の古風ゆかしき

早春の針供養の行事でございます。

 今週の膳は、早春の習わし「針供養」をテーマとして
  針供養空也豆腐、畑菜の初午辛子和え
  早春鱒笹寿司、如月飯蛸、霜降り笹身酢
  山家酒粕汁、 お口すすぎは 針柚子 です。

立春を過ぎれば 暦の上では春。いわゆる早春と云われる如月には「飯蛸」の
美味しい季節ともなり、胴の中の卵巣が米粒のようなので飯蛸とよばれます。
私達酒徒にとって、早春の酒の肴には堪えられなく 口中で海の香と酒が
渾然一体になり、至福の時が訪れます。

2010-02-08 16:47 | トラックバック(0) | コメント(0)

節分

2010年2月01日

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節分は冬より春に移る季節の分れ目で大寒より十五日目で立春の前夜に

あたります。暦の上では春とはなりますが、春とは名ばかりで実際には余寒が

厳しく冴え返る日々が続きます。節分には「鬼は外、福は内」と連呼し鬼打豆を捲き、

門口へ焼いた鰯の頭を柊にさして悪鬼除けを致します。柊(ひいらぎ)葉の「とげ」が

鬼の目を刺し、焼いた鰯を食べる習わしは、鰯を焼くにおいが臭いからとて、

疫鬼よろず諸々の厄が逃げていくのだと申し、また一年の砂おろしに蒟蒻の白和えを

食べたりする風習が、新しい春を迎える意味からも平安室町の昔から今も変わりなく

続けられている年中行事のひとつでございます。

 今週の膳は、春を迎える「節分」をテーマとして
  節分鰯の梅煮焼、ふろふき葉付き小蕪
  節分蒟蒻白和え、子宝なます、地鶏立春蒸し
  揚げ蕗の薹とろろ汁、お口すすぎは 芹茶 です。

季節の移り変わりは早いものですね。待ち遠しかった春はもうすぐです。

2010-02-01 15:13 | トラックバック(0) | コメント(0)

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夜咄  (よばなし)

 

夜咄とは寒い冬の夜長に黄昏れ時から催される茶事七式のひとつとされ、
明暗の対照と寒暖の差異を楽しむもので、温かさが何よりのご馳走でございます。
「夜も長いことゆえ、いましばらく語り合いましょう」と、ひとつの火を囲み身も心も
暖め合うのが夜咄の茶事でございます。当亭は茶席ではありませんので酒を楽しむ

亭とし夜咄の茶事ならず「夜咄の酒事」として、平素より薄暗い亭内にて和蝋燭の 

ほの灯りでお気軽にお酒とお料理を楽しんで頂きたく、そして一服の温かさを差し

上げたく存じます。

 

  今週の酒肴膳は、春を待つ「夜咄」をテーマとして 
    鯛蕪蒸し、蕗のとう豆腐、猪山家煮
    早わらび焼烏賊、しめさば柚子黄身酢和え
    大徳寺麩汁、 お口すすぎは、生姜茶 です。


自然の微妙な変化に繊細な心を働かせた茶人は、"空の色に" "折節の淡雪に"

さては"障子に映る日差し"にも ひそやかな春の訪れを感じ取ったとか、現代の

都会生活では自然との触れあいが あまりにも乏しく、ともすれば人の心もすさみがち

になります。 寒い今宵は、囲炉裏の炉火を囲み心やすらぐ和蝋燭のほの灯りで

酒を酌み交し語り合うひとときに 日常から煩わしさから離れ心ほぐして頂ければ、

此の上ない幸せに思います

2010-01-22 23:20 | トラックバック(0) | コメント(0)

骨正月

2010年1月18日

正月終わりの節目と云う意味で、一月二十日を「二十日正月」と申します。
京阪では正月用の鰤や鮭の残りのあら骨を味噌や酒粕の中に入れて、
牛蒡や大根と共に煮て食べることから「骨正月」と申します。
鰤は、小さい時から成長するに従って名を変えていくので出世魚として
縁起が良いとして祝うのでございます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「骨正月」をテーマとして
  骨正月寒鰤大根煮、寒鯉山椒焼、慈姑煎餅
  むかごと木耳の柚子味噌、蒸し鳥と芹の土佐酢
  麦正月揚げとろろ汁、 お口すすぎは、蕗の薹 です。

石川県では「乞食正月、奴正月」とも云い、京都府下(竹野郡)では「ハッタイ正月」
また、中国地方では「麦正月、とろろ正月」などと云って、これらを総称して「二十
日正月」と申すそうでございます。二十日は大寒を迎え、寒さが最も厳しくなるこんな
夜は熱々の「火の味」が 何によりもご馳走となりましょう。お風邪を召されぬように
呉々もお気を付け下さいませ。
2010-01-18 15:02 | トラックバック(0) | コメント(0)

鏡開き

2010年1月12日

さて十一日は「鏡開き」。遠く平安時代の新年の行事のひとつとして歳首に
長寿を祝って大根、押鮎などを食べる習慣が、室町.江戸時代になって武家では
男子は「よろいびつ」に 女子は「鏡台」の上に供えた鏡餅を、刀柄(はっか)
初顔(はつがお)の祝いとして、二十日(はつか)におろして食べたのですが、
しかし後に三代将軍家光の忌日となった為、二十日を避けて何故か十一日になっ
たそうでございます。又、それ以来この鏡開きの行事は鏡餅を刃物で切ることを
忌み、手や木槌で割り開いたことにより「鏡開き」と云われおります。
昨今のお鏡餅は真空パックとやらで、すでに個々に切り分けられ 合理的で便利と
云えば便利ですが、何とのう味気なく食文化も失われつつもあります。

 今週の酒の付き出し膳は、「鏡開き」を、テーマとして
  お鏡餅揚げ煮、寒鴨黄身酢、五色なます
   慈姑真薯と焼きあなご、織部いわし
  蕗のとう味噌汁、 お口すすぎは、松の実です。

今年は図らずも「鏡開き」の日に平成元年生まれの若者が成人を迎えられとか、

ともあれ鏡餅の頑強な固さには当惑致しますが、おのずから自分の道を開くにも

鏡餅を我が手で渾身の力を込めて切り開くが如く歩み生きて頂きたいものですね。

2010-01-12 15:26 | トラックバック(0) | コメント(0)

迎春

2010年1月04日

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      新年明けましておめでとうございます。

              本年も御贔屓賜ります様お願い申し上げます。

陰暦いわゆる旧暦では新年すなわち一年の初めを立春(二月四日頃)に合わせるよう
にしていたので新年は同時に迎春でありました。春を迎える喜びの中に新年を迎える
祝意も込めていたのでございましょうね。

 

 新年四日より初店の 今週の膳は「迎春」をテーマとして
  寒鰤寿焼き、七種がゆ、利休いりこ
  あん肝柚子おろし、鴨たたき寄せ熨斗人参添え
  蛤真薯清し汁、 お口すすぎは、大福お屠蘇 です。

正月の七日には春の七草「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、
すずしろ」を入れた七種(ななくさ)粥を食べる習わしがありますが、この行事は
七種粥を食べると万病を除くと云う古い習わしで、陽暦では自然の状態で七種は
生え揃うものでもなく、もとは田植えに先立って行われた行事が正月に移されたもの
だそうです。ともあれ 七種粥は、心身の浄化を図る為の古人の知恵でございます。
古人すなわち先達は、はかり知れない食生活の知恵を今に残されております。

2010-01-04 14:20 | トラックバック(0) | コメント(0)

年越し

2009年12月28日

心忙しい年の暮れ。いろいろと思い出の多かった今年も後数日となりましたが、

一年が終わる大晦日の週に当亭では、ひとと歳の水の恩を送るために茶家同様に

除夜釜をかけます。水と火がなくては茶湯は出来ぬと知りながらも、つい忘れがちに

なるのが「水の恩」。それゆえに年の境い目に改めて大年を惜しみ、感謝の念を新た

に致すのでございます。
  
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「年越」をテーマとして 
  つもごり鴨蕎麦、春菊不老長寿和え
  鮭かぶら巻き、柚子田楽、烏賊にごり焼
  除夜粥汁、 お口すすぎは、芹 昆布茶 でございます。

やがて、とこからともなく除夜の鐘の音が、強く五十四、弱く五十四、合わせて

百八声。これは十二月、二十四節気、七十二候の合計がこの数だそうで、

人間の煩悩(心身をまし乱す迷いのもと)の総てを鐘の響きにのせて吹き祓う

のでございます。

 

今週では最今の不景気を吹き飛ばさんが如く 皆様とご一緒に「餅搗き」を致し、

搗き立て餅をお召上がり頂きます。 本年は29日までの営業とさせて頂き、

身勝手ながら 30日から新年明けまして3日までは正月休みを頂戴致します。

尚、新年1月4日初店よりの営業でございます。

皆様には何卒良い年をお迎えなさいますよう お祈り申し上げます。 亭主合掌

  

2009-12-28 16:00 | トラックバック(0) | コメント(0)

冬至

2009年12月22日

冬至は二十四節気の暦の一つで、太陽が赤道から最も離れるときで昼間が最短、

夜間が最長の日でございます。冬至から日脚が伸び太陽の復活してくる日を祝う

風習から、南瓜を食べると中風にかからないとか、柚子湯に入ると風邪を引かない

などと云われ、古来より一年を健康で送る為には、人は「運、鈍、根」を身に付けて

おかねばならない故に、運「ン」の音の二つ重なる食材を七種食べて開運、厄除けを

致しました。今週のお膳には、その運「ン」の音の二つ重なる食材を七種組み入れた

お献立です。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「冬至」をテーマとして
  冬至南瓜ほうとう、寒天寄せ柚子味噌
  荒巻鮭酒焼き、金銀冨貴、蓮根山家きんぴら
  曙人参軽羹仕立て、 お口すすぎは、柚子湯です

又、冬至は火祭りの行事として、柚子を縁の下に入れておくと火を防ぐとも言伝えも
ございます。ともあれ冬至の行事は、食生活が豊かな時代になっても、寒さというス
トレスに対応出来ないことの多い現代人に対して、色々と反省すべき示唆を与えてく
れておりましょう。

2009-12-22 00:52 | トラックバック(0) | コメント(0)

事始め

2009年12月14日

「事納め」が、まだなのに「事始めとは何ぞや」と思われてる方もおられましょうが、
古来、陰陽学から陽の数字の極みとされた師走の十三日を「事始め」と申し、

正月の準備に取りかかったそうです。正月の準備に取りかかると云うことは、

事は始まったと解釈しても宜しいようで、京阪地方の商家、茶家、芸能界では

この日、衣服を改め日頃恩恵を受けている主家へ鏡餅を持参し祝着の意を表す

のが習わしで、この餅を「事始めの餅」と申します。事始めの礼も、歳暮の習わしも、

由来はともあれその心は同じであり、一年の終わりに感謝を込めて贈り物を持参し

御挨拶すると云うことは、これは人間の気持として自然な習わしでございましょうね。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「事始め」をテーマとして
  海老真薯吉野仕立て、落ち鱚末広うに焼き
  姫くわい揚げ、蕪千枚重ね寿、比婆蒟蒻田楽
  お事汁、 お口すすぎは、揚げ餅 でございます。

事始めのこの日から地方によっては門松を立てる所もあり、煤払いをする地方もあり
中国、九州では「正月始め」と云い、岐阜では「正月起こし」とも申すそうです。
早いものですね 約3週間後には正月を迎え、早や一年を終わろうとしております。

2009-12-14 14:12 | トラックバック(0) | コメント(0)

炉辺

2009年12月07日

冬構えの済んだ頃より、冬の寒さも厳しく雪の多い地方では冬籠りの季節となり、
昔の農家では囲炉裏の生活が始まったものでございます。煤けた天井からは自在が
下がり煮炊きする鍋がかかり、炉火を囲んでの食事や団欒の集いは、冬の農家の生
活の中心となる場所でございました。その炉辺の語らいは昔話、土地の風習、また
今日の話題等、次の世代へ受け継がれてゆく自然な姿でございましょうね。 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「炉辺」をテーマとして
  ほっけ炉辺むしり、身欠鰊大根炊き
  鴨どうふ、一文字ぐるぐる、冬漬物博多巻
  猪菜山家汁、 お口すすぎは、にごり酒でございます。

「 悲しみに 喜びに寄る 大炉かな 」 <山本作治朗>
燃えさかる火を囲んでは悲しみを語り合い、喜びに集う大炉は、その家のすべてを
物語り知っているのでございましょう。寒い今宵は、現代の生活様式では忘れられ
つつある炉辺の酒肴と談笑をお楽しみ下さい。
2009-12-07 14:38 | トラックバック(0) | コメント(0)

木守り

2009年11月30日

今年も又、隣の家の柿の木に、一粒の柿の実が残されました・・・
残された一粒の柿の実が、向こう一年間 柿の木を守り、来年も たわわに柿の実が
実りますようにと願う習わしを「木守り」と申します。 冷え始めました寒空に柿の実

一粒を見上げておりますと その風情は何となく静かで、どこか寒々と侘しさをも感じ

られますが、ものは考えようで向こう一年間 柿の木を守る訳ですから力強さも感じ

られますね!と云う意味合いも含んでおるようです。 地方によっては柿の実二粒を

残すそうで、一粒は木守りの為。 もう一粒はカラスにくれてやるのだそうです。 
 
  今週の初の膳/酒の肴膳は、「木守り」をテーマとして
   鰆初雪焼き、木守り柿なます
   山芋とんぶり、山家芋っ子煮、いぶりがっこ
   蕎麦米山里汁、お口すすぎは、柿茶でございます。

晴れても日差しは何となく弱々しく、思い出したようにハラハラと時雨が通り過ぎて

行く頃は、ともすれば人の心も荒みがちになります。こんな時には一つの火を囲み、

身も心も暖め合う鍋と炉端の酒席は、くつろぎの中に心通わせる冬の知恵のひとつで

ございましょう。  さて これからの爐談亭は、次第に酒席の主題は「火」へと移り、

炉端の炭火と温かい燗酒、出回り始めた初冬の味覚と、一服の温かさを差し上げたく

思います。

2009-11-30 14:52 | トラックバック(0) | コメント(0)

三味

2009年11月24日

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       三味一体の糸が醸し出す「川本高虎 津軽三味線の世界」

 

四季の微妙な移り行きに鋭敏な感覚を学びながら、季節に折目をつけて、

お客様を迎え、従事者ともどもに未熟ながらも心をつくし一期一会のおもてなしに

努めて「光陰如矢」気がついてみれば、早や本年11月25日をもちまして

満二十八年の月日が流れ去ろうとしております。お客様の心を我が心に、

甘酸鹹苦辛の五味をこえた真味、即ち「また食べたい」と感じていただける

後味を目指して務めること、それが「爐談亭のおもてなしの味」と考え、
天地の恵みに感謝しつつ味わう巡りめく「四季の恵みの素材の味」、何よりもまして
「お客様の、もう一味 」が加わってからこその「三味一体」の爐談亭でございます。

 
津軽三味線の宴 11月24日〔火〕 から 28日〔土〕までの5日間
    津軽三味線演奏 PM8:30&10:30 (約30分・2回演奏)

  

  今週の初の膳/酒の肴膳は、「三味」をテーマとして
     鯛昆布締め柚子釜、真魚鰹笹香焼き
     百合根鴨まんじゅう、辛子明太子寿寄せ、
     舞茸松の実したし、二色清し汁、
     お口すすぎは 朱杯菊酒でございます。

  三味爐満鍋   猪つくね&葱とろつみれ&下仁田ねぎ白菜巻、養老味噌仕立て

  吹き寄せ祝い膳  比婆牛蒸し焼き、真鴨味酒蒸し洋梨
              たらば出し巻き蟹、ほたて貝柱ぬた
              海老柿山葵醍醐、利休栗茶巾しぼり

  飯物 きりたんぽ雲丹焼き、子宝紅白膾    水菓子 栗あいすくりーむ

誠に身勝手乍ら「津軽三味線の宴」のみ、上記お料理&津軽三味線観賞料を含む

五千円(お飲物・税別)の会費とさせて頂きます。

本年も毎年恒例の三味一体の糸が醸し出す「川本高虎 津軽三味線の世界」を心ゆく

まで お楽しみ頂けますれば、嬉れしゅう存じます。  亭主合掌
   
  広島・胡町 「爐談亭」  ご予約 080-247-1378

2009-11-24 12:26 | トラックバック(0) | コメント(0)

夷講(えびすこう)

2009年11月16日

えびす〈夷〉は、七福人の一神として大黒と共に財福をさずける福の神として
最も知られておりますが、古くこの語は〈えみし〉とともに異民族を意味する通称で
あったようです。日本には海の彼方に神霊、常世の国があるとする古い信仰があり、
もとは漁民信仰から出た渡来異国神と云う観念に支えられた神が転じて海運守護

更には商売繁栄の神として中世より広く信仰されるに致りました。えびす講は、もとは

同業者、同地区商人が商売繁盛を祈り、神人共食の宴を持つ集まりだったらしく、

商人の一年の不当の利を神に謝する安値の大売出し(今で云うバーゲンセール)の

行事を誓文払い〈せいもんばらい〉と申したそうで、これが夷講として現在に至っております。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「夷講」をテーマとして
  かき恵美須大黒焼き、小判鴨ひりょうず
  鯛かぶら、えべっさん膾、熨斗がつお
  大福味噌汁、 お口すすぎは、蕪葉 でございます。

数ある広島での代表的な祭りとして、年の最後を飾る「夷講」は、18日から20日
まで催され、来年こそは景気回復なりますようにとお参りするのでございます。

2009-11-16 14:31 | トラックバック(0) | コメント(0)

初冬

2009年11月09日

いつの間にか朝晩は冷えびえとして温かい温もりが恋しい時候となりました。十一月
七日は立冬を迎え、二月の節分までが暦の上での冬となります。立冬は冬の気候に

入る初めの日であって、いわゆる冬の気配が立ち始める訳でございます。実際には

野山もまだ秋の装いで秋の気配がまだまだ残っていますが、朝夕などは寒冷が加わ

って冬は迫って参ります。夜などはいわゆる夜寒むを感じ風邪を引きやすい季節とも

なりますので、くれぐれも注意が肝要かと存じます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「初冬」をテーマとして
  山家胡麻豆腐炉辺味噌、 秋鮭のすぐきおろし
  焼地鳥納豆和え、煎り銀杏、春菊穴子なます
  紅葉なめこ汁、お口すすぎは針柚子でございます。

初冬今宵は、炉端の炭火と温かい燗酒、出回り始めた冬の味覚に、一服の温かさを

差し上げたく存じます。

2009-11-09 14:43 | トラックバック(0) | コメント(0)

紅葉狩り

2009年11月04日

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十一月は霜を見ることが多いので霜降月と云い秋も深まる頃、山々の木々が

紅葉(こうよう)又、黄葉(もみじ)することを総じて"紅葉(もみじ)"と申します。

楓の紅葉はことに美しいので紅葉は楓を指すことが多く、若葉の楓もいいですが

薄紅から唐錦へと色づく楓は自然の造形で、その見事さに目を奪われます。

また葉が黄色に変わる櫟(くぬぎ)や銀杏なども、やはり黄葉(もみじ)と呼び

雑木黄葉のも見捨てがたい美しさがございます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「紅葉狩り」をテーマとして
  鹿の子鰆紅葉化粧、 海老道明寺もみじ山
  吹き寄せ素揚げ、牛肉大和煮、柚子しめじ
  初牡蠣汁、お口すすぎは、銀杏 でございます。

十一月七日(立冬)より暦の上では冬とはなりますが、行く秋惜しむ紅葉狩りと

洒落込んで酒が飲めるのは月始めのうちで、次第に酒席の主題は「火」へと

移って参ります。今年も例年に比べ山の紅葉も遅れの様子とか!? 

冬真近とも感じられない最今ではございますが、今宵は、紅葉狩りをどうぞ

ごゆるりとお楽しみ下さい

2009-11-04 19:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

秋の夜長

2009年10月26日

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今週は薄暗い亭内で、和蝋燭のほの灯りと秋の夜長をお楽しみ頂けたらと思います。

旧暦八月十五夜の名月に対して、九月十三夜(新暦の今年は十月三十日)の月を
「後の月」と申しますが、また十五夜を芋名月と云うのに対して、十三夜を栗名月と
か豆名月と云い、栗や大豆を供えて祭ります。十三夜の月は、秋の夜長に しみじみ
とした情味を感じます。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋の夜長」をテーマとして
  鴨の砧巻き、 むかごとしめじの柚子味噌
  五平もち、むらさき秋大根、秋小鰺の酢漬
  十三夜汁、お口すすぎは、かぼす でございます。

昔の秋の夜なべ仕事に砧(きぬた)打ちと申して洗濯物の糊を柔らげたり、藁を慣ら
す為に盤上に乗せて木槌で打つのですが、秋の夜長に秋風や秋の寂しさの中で聞く
砧を打つ音色は、物悲しげな哀調がございましたそうで現在ではほとんど聞かれませ
んが、わら砧は今でも農家で行われてる所もあるようです。

さても深まりゆく秋の夜長に和蝋燭のほの明かりでしみじみと酌み交す酒には豊富に

出回る秋の実りが、より一層興趣を添えてくれることでございましょう。 

 

さて来週は今年最後の花歳時記「紅葉狩り」でございます。亭内天井までの紅葉木を

配し、ひと足早い「紅葉狩り」をお楽しみ頂きます。

2009-10-26 17:27 | トラックバック(0) | コメント(0)

秋祭り

2009年10月19日

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秋祭りの頃の昔なつかし伝統料理「あずま」

俗説にこの月、諸国の神々が出雲大社に集まるからとて十月を神無月と云い
年に一度のこの集まりで一年分の縁結びの相談を済ませてしまいます。
そういう伝説にあやかってか、この月から来月にかけては婚礼が多く
又、稲の収穫の終わったこの頃は、あちらこちらで秋祭りが行われます。
春祭りで豊作を祈ったのに対し、秋祭りは穀物の実りに感謝し、神にも供えて
共に喜ぶものでございます。縁結びも穀物の実りも、共に喜ぶ気持は ひとつで
ございましょうね。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋祭り」をテーマとして
  秋鯖祭りあずま、舞茸と菊花の胡麻味噌和え
  祭り煮しめ、大和芋蒸し、たこ塩辛青柚子おろし
  だまっこ汁、 お口すすぎは、松の実 でございます。

さて秋祭りの頃になれば、瀬戸内海沿岸の広島県中央から西部にかけて秋祭りや
正月に酒の肴やおかずとして来客に振る舞まわれる料理に、このしろ&さばを
使っての「あずま」と云う伝統料理がございます。
このしろ等の小魚を背割りにして中骨を取り全体に塩をふって半日位置き表面を
さっと洗って二杯酢に二日位浸しておき、その浸け酢で味付けしたおからに、
おのみ(麻の実)などを加え、魚の腹に詰めたものを「あずま」と云います。
最近では、あまり見かけられない料理「あずま」は、子供の頃は食べるのが嫌で
したが、酒の味が分かるこの歳になれば、何とのう懐かしゅう味わい深くあります。
今週の初の膳のひとつに、この伝統料理「秋鯖祭りあずま」を楽しんでつかあさい。

2009-10-19 15:33 | トラックバック(0) | コメント(0)

実り

2009年10月13日

古い言葉ながら,「天高く馬肥ゆる秋」の好季節は、海山里川のさまざまな恵みは

枚挙にいとまなく、まさに実りの秋と申せましょう。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「実り」をテーマとして
  烏賊の新米印篭蒸し、里芋もろこし実り和え
  秋鮭黄金焼き、いり新銀杏、じゃが芋山椒酢
  粟麩かぼす汁、お口すすぎは、焼き米 でございます。

秋に実を結ぶ木々の果実も限りなく、この頃は稲刈りの季節でございます。
早い所では八月下旬、遅い所では十一月下旬には刈られてしまいますが、稲刈りが

終わった後の田や畦道に落ちている稲穂は農家では一粒と云えども大事な米で、
落穂拾いは結構大切な仕事でありました。昔は老人や子女が腰をかがめて落穂を

拾い集めるさまを見かけられましたが、ともすれば稲作をも軽視する近来、日本の

農政のもとでは、うち捨てられたままの落穂を見かけることも まれではなくなりました

ようです。

2009-10-13 15:25 | トラックバック(0) | コメント(0)

名残り

2009年10月05日

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秋風が吹く頃ともなれば、香魚とも呼ばれる鮎は産卵のために清流を下り
短い一生を終える子持ち鮎を「落鮎」とも云います。
その子持ち鮎を丸ごと焼いてほうばる!これぞ実りの秋の醍醐味とも
申せますが、その鮎を素焼きし、番茶で下炊き、更には朴葉の香りを添えた
合わせ出しでコトコト弱火で炊く事5時間・・・・・煮浸たしに致しました。
何処が身やら黄金色の はち切れんばかりの卵をのぞかせる子沢山で
突き出した腹から卵がのぞく様子は、いかにも食欲をそそります。
口の中ではじけるような独特の食感は、九月下旬から十月いっぱいの
そのわずかな期間だけ。夏の鮎とはまた違う美味しさの「名残りの季節」を
代表する川魚です。

 

また昔は十月の茄子を「名残り茄子」又は残り茄子を木に付けたまま売りに

来たので「木なり茄子」とも申します。秋が深まるにつれ肌理がこまかくなり

甘味を含んだ茄子は美味しゅうございます。

   今週の初の膳 酒の肴膳は、「名残り」をテーマとして

   落ち鮎朴葉煮、梨と水前寺海苔の白和え
   走り蕎麦がきとろろ、菱の実、たたき酢牛蒡
   名残り焼茄子ずんだ汁、 お口すすぎは、青紫蘇です 

古語辞典によりますと「名残」とは「波残ナミノコリ」の約であるといいます。
波の引いた後に、なお残る物そこから転じて、あることの過ぎ去った後まで

尾を引く物事や感情の意です。
暦の上では来月で秋も逝きますが、夏秋の天地の恵みを感謝しつつ、
この季節ならではの自然の真味を心静かに味わうべき秋だとは存じますが、
「不時不食/時ナラザレバ食ワズ」この言葉の意味を私達は、改めて考えて

みる必要があるようでございます

2009-10-05 15:35 | トラックバック(0) | コメント(0)

月見

2009年9月28日

イベント 001.jpg

仲秋の名月とは陰暦八月十五夜の満月を申し、今年は十月三日にあたります。

月の前に秋の七草を飾り[ 団子,柿,芋,酒 ]を供えて名月を賞でるのが月見の宴で

ございますが、古人は冴え渡る月の光を心行くまで鑑賞するために、総ての明かりを

消したものと申します。古来よりこの夜 月を賞するに衣被(きぬかづき)を三方に盛って

供える風習から 仲秋の明月を一名 [ 芋名月 ]と呼び里芋や柿を供え、これに対して

陰暦九月十三夜の月を「栗名月、豆名月」といい、栗や大豆を供えて月を賞でます。

今週は、十五夜や十三夜にお供えする食材を使った「お月見」の膳でございます。

 

今週の初の膳/酒の肴膳は、「月見」をテーマとして
  鯛栗の月色蒸し、秋茄子と枝豆の胡麻和え
  叢雲の月とろろ寄せ、柿なます、里芋松笠焼
  月見団子汁、 お口すすぎは、にごり酒 でございます。

また十五夜の月見をして十三夜の月見をしないことを片月見といって昔の人々は嫌っ
たもので、夫婦が別々に月見をするのをそう呼んで禍いがあるという地方もあります。
因に、「叢雲の月」のとは雲で見え隠れする月のことで、何と風情ある表現ですね。

亭内板中央の昔ながらの月見飾りに、お月見の風情をお楽しみ下さいませ。

2009-09-28 14:07 | トラックバック(0) | コメント(0)

秋色

2009年9月24日

二十日は彼岸の入り 九月二十三日は秋分の日であり、彼岸の中日にあたり、
お彼岸を過ぎる頃ともなれば、朝夕は涼しく一段と凌ぎやすく秋を感じ始める
時節ともなりす。又、この頃降る雨は長雨になりやすく。秋雨前線が停滞し
雨に似た気象配置で、これに台風の接近がある等、この時節の長雨を
「秋霖しゅうりん」とか「秋ついり」と申すそうでございます。
この秋雨があがる頃ともなれば、秋の日一天雲なく晴れ渡ったさまを見ることが
出来ましょう。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「秋色」をテーマとして
  秋刀魚の梅煮、栗せんべいと焼湯葉、揚出し山芋
  吹き寄せ山家金平、秋鮭と秋大根砧巻きの胡麻酢
  大徳寺納豆汁、 お口すすぎは、胡桃です。

いよいよ絶えまなく秋の食材が出回り始め、食欲の秋を迎えます。今週は秋の

気配を感じていただく「秋色」の膳でございます。

2009-09-24 15:22 | トラックバック(0) | コメント(0)

敬老

2009年9月14日

九月十五日は老人の日。ハッピーマンディーにより、

今年の敬老の日は二十一日(月)に変更されました。 

お婆ちゃん子であった私の幼い頃、今は亡き祖母から

色々な昔話を聞かせて貰ったものですが、

中でも「姥捨て山」の話はいつも私を可愛がってくれるお婆さんを、
何故に山に捨てに行かなければならないのか、不思議に思ったり、
自分が老人になった時の事を心配したものでございます。
その時代は生活苦から老人を山に捨て、老人もそれを得心ずくで
捨てられると云う「楢山節考」の話しは子供心に抱いていたことよりも、
もっと残酷で悲惨な制度であったようでございます。
今の時代は ご老人を大切にする色々な制度がありますが、
私達の日常生活にも、いわゆる「姥捨て山」の無き様に
心掛けたいものでございますね‥‥

今週の初の膳 酒の肴膳は、「敬老」をテーマとして
  鱚の養老柚香焼き、林檎と蒸鳥の白和え
  萩海老しんじょ、里芋磯辺和え、茗荷鴨田楽
  しめじ汁、 お口すすぎは、小梅と結び昆布
 
さて今週の当亭は、敬老の日に因んで「敬老の膳」
古来より、御老人のことを萩の花に例えられます。
枝を曲げ垂れ下がり咲き誇る萩の花を
腰を曲げられるお年寄りの姿に写したものでしょうね。
その萩花の姿を写した「萩海老しんじょ」を 始めとして
御老人の白髪がごとくの「林檎と蒸鶏の白合え」
また敬老の日の長寿をお喜びして「鱚の養老柚香焼き」
更には「茗荷鴨田楽」、「里芋磯辺和え」そして「しめじ汁」など
お年寄りにも優しい口当り良き献立をご用意致しました。

今週は、お爺ちゃんお婆ちゃんと御一緒にお立ち寄り頂ければ

嬉しゅうございます。

2009-09-14 15:34 | トラックバック(0) | コメント(0)

重陽の節句

2009年9月07日

重陽は五節句の一つで 九の数は陽の極みであり、九が二つ重なるゆえ九月九日を
重九(ちょうきゅう)とも云われ、重九は長久に通じるので目出たい極みとされ、
不老長寿の意から祝ったのでございます。重陽節は、もとは中国に端を発し、

我国では平安時代より宮廷の行事として取り行われ、詩歌を成して菊の宴が

開かれ、また民間では菊人形の見世物などが行われました。

 今週の初の膳 酒の肴膳は「重陽をテーマとして
  菊花小蕪鴨詰め、烏賊の緑酢和え、
  利休栗、ずいきの山家煮、初さんま幽庵焼き、
  青海波清し汁、 お口すすぎは「菊酒」でございます。

陰暦にすれば、菊の盛りなので菊の節句と称し、菊の花びらを浮かべて酒を飲む
と云う菊酒は邪気を払い命が延びるといわれ、又この頃は栗も出まわるので栗の
節句とも称され、栗飯を食べたり致したそうでございます。

2009-09-07 14:17 | トラックバック(0) | コメント(0)

野分

2009年8月31日

野分(のわけ、のわき)とは、立春から数えて二百十日頃、今年は8月31日にあたり
ます。昔から二百十日を中心に台風がやって来ると申しますが、また来て欲しくない
ものです。古くは台風と云う用語はなかったようで、風が野を吹き分ける秋の強風の
意で、台風を含めて秋の強風は すべて「野分」と申しておりましたようです。でも
台風がやって来たから、これを食べましょうよ!と云う約束事は無論ありませんで、
秋の気配が漂い始める野分の頃の 山郷料理をお楽しみ頂ければと思います。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「野分」をテーマとして
  秋味の野分け焼き、大徳寺麩と独活のべっこう炊き
  秋茄子と穴子のずんだ和え、湿地胡麻豆腐の猪山家葛あん

  ごんぼう煎餅、名残り鱧と茗荷の味噌汁、 お口すすぎは 梨 でございます。

さて、台風ともなると「猪もともに吹かるる野分かな」(芭蕉)などと、呑気に構えて

おられません。一雨ごとに朝夕の冷気が深まり、台風一過の澄み切った秋空を

見上げておりますと「いよいよ酒と肴の旨さも深まる」などと思うのも私たち酒従の

楽しみでもございますが、今年の広島は台風も来ませんし、まだまだ残暑は暫らく

続きそうですね。

2009-08-31 14:30 | トラックバック(0) | コメント(0)

新涼

2009年8月24日

立秋そしてお盆も過ぎた初秋に 天地すべてが、涼気が帯びて来るのを申しますが、
日中は まだまだ残暑殊の外きびしく 若干ではありますが、朝夕何んとのう涼しく、
しのぎやすくなった今日この頃「涼し」とするのは 暑さあってこその季語「新涼」では

ないでしょうか。   「 秋涼し 手毎にむけや 瓜茄子 」  芭蕉

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「新涼」をテーマとして
  鮎の名残り焼き、茄子の猪飛騨味噌煮 ちりめん覚弥、
  百合根鴨まんじゅう、茗荷梅かつを青紫蘇巻き
  蕎麦米汁、 お口すすぎは 山家実山椒 でございます。

「紀州梅がつを青紫蘇巻き」

  紀州の南高梅を当亭独自の梅がつをに仕上げ、これまた数日間寝かせば、

  生唾ものの旨さ百倍...その梅がつを&茗荷千切りと共に青紫蘇で巻きました。
 
「ちりめん覚弥」
 覚弥とは一説にはこの料理を考えられた坊さまの名前とか!? 定かではありません

  が、要は夏漬物の古漬を膾(なます)にし、音戸ちりめんや生姜みじん切りと共に

  和えました。古漬特有の味わい深い酢つぱさが、堪らなく食欲をそそります。

 

今年の八月も日毎連続の暑い毎日でいささか私たちの体が、すがすがしい秋を待ち
わびております。今週は過ぎ行く夏の素材にて夏の名残りの「食欲増進 山里料理」
と致しました。 

 
 

2009-08-24 14:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

送り火

2009年8月17日

送り火は、盂蘭盆の十六日に、十三日の夕方に門前で麻幹(おがら)を焚いてお迎え
した精霊をふたたび火を焚いてお送りすることを申します。この風習は中世の頃から
行われ江戸時代に民間に普及したものだそうでございます。地方によっては違うよう
ですが現在行われている中では京都の大文字がよく知られており、盂蘭盆が終わる

頃もなれば 朝夕に秋の気配が漂い始めます。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「送火」をテーマとして
  お精進送り火和え、くるみ豆腐信濃煮
  無花果胡麻密だれ、生麩酢味噌、初秋茄子田楽
  湯葉とろろ汁、お口すすぎは 大徳寺納豆 でございます。

今週は、年に2週のみの精進料理で初秋の精進料理です。 私達も年に一、二度は

心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振

返る一刻が欲しいものでございますね。

2009-08-17 14:37 | トラックバック(0) | コメント(0)

立秋

2009年8月10日

立秋は二十四節気のひとつで今年は7日を申します。立秋は夏至と秋分の丁度中間

にあたります。暦の上では、この日から秋に入り立冬の前日までを秋とし、立秋は季

節の区切りとされております。秋と申しましても秋とは名ばかりで尚も厳しい残暑が続

き古歌がむしろ立秋の季節感を伝えておりましょう。「秋来ぬと目にはさやかに見えね

ども風の音ぞ驚かれぬる」等と、この時節の気象上も夏型気圧配置が一時的に衰え

ることにより、雲や風の様相に秋の気配がしのびよってくるのが僅かながらも感じられ

るようでございますね。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「立秋」をテーマとして
  鮎煮びたし、十三豆と蒸し鶏の胡麻和え
  小芋安倍川、南瓜真薯青汁、穴子茗荷なます
  沢煮椀汁、お口すすぎは すだち茶 でございます。

今日の出勤途中では「赤とんぼ」を見かけましたが、秋は早いと申しましても気持ちの

上でも炎暑の中に秋の気配を早く感じたい思いでございます。   盆の行事が一般に

月遅れの八月十五日前後に行われるので、行事上の秋は今日でも早いものでござい

ます。暦の上では秋とは申せ、まだまだ暑き日々が続き食欲の失せる頃ではござい

ますれば、今週の膳に「秋の気配」を感じて頂ければ幸いに存じます。

2009-08-10 18:22 | トラックバック(0) | コメント(0)

八朔

2009年8月03日

八月朔日(ついたち)を略して「八朔はっさく」といい、この頃 早稲の稲穂が実るので、

古く農民の間では初穂を恩人に送る習わしから 田実(たのみ)の節句、田面(たおも)

の節句とも申します。この日には米団子を作って田の実なりを賀したり、厄除けと称し

て桃を食べる日でもあったようでございます。また 武家では「たのみ」を「頼み」にか

け、日頃お世話になっている頼み合っている人に、その恩を感謝する意味で贈り物を

するようになったようで「御中元」の始まりとも云われ、夏のお正月の意味合いも含ん

でおるようです。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「八朔」をテーマとして
  八朔泣豆真薯、鱸たで味噌焼き、はも柳川煮
  厄除け桃の胡麻密だれ、瓜雷干し笹身風干し酢
  田の実団子汁、 お口すすぎは いり米 でございます。

この日、宮島では藁で編んだ田面船を作り人形を乗せて海へ流し、対岸の大野町で

は流れ着いたこれを拾いあげて田の畦に埋めると豊作になるとしたそうで、八朔の日

から夏の昼寝をやめて、この夜から夜なべ仕事をする切り替えの日でもあり、立秋を

前にして夏が過ぎると云う意もあり、秋ともなれば「夜なべ仕事が待つとる」のと泣き

べそかきながら「八朔泣豆真薯」を食べて田実の節句を賀し、古人は季節のくぎり

節目を大事にしたようでございます。早いものですね。八月七日には 「立秋」を迎え、

暦の上では秋となります。

 
2009-08-03 13:48 | トラックバック(0) | コメント(1)

蓮見

2009年7月27日

グラス 018.jpg

夏の盛りに、香りある美しい花をつける蓮の花弁は、十六枚が普通で朝開いて
夕方閉じるを三日繰り返し四日目には散ってしまいます。暁闇を破って "ぽん
ぽん"と音がするが如くに咲く蓮の花は、一瞬の気高い薫りに酔い、浮葉巻葉の
間から先き競う蒼々たる花を賞する蓮見の風流心。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「蓮見」をテーマとして
  心太蓮葉酢、新蓮根せんべい、おなす鰊の山家煮
  蓮芋と椎茸のあいまぜ、地鶏ずんだ焼き
  じゅんさい梅汁、 お口すすぎは 蓮茎 でございます。

古人は早朝に蓮を愛でて涼をとるなどと その風流心をお持ちのようでしたが、
現代人の私達は中々そのゆとりもなく、蓮畑も身近には消えつつありますね。
せめて今週の爐談亭では、畳一畳の蓮畑を設え一服の涼を差し上げたく存じます。

 

鶴 021.jpg

この蓮花&蓮葉は岩国から取り寄せましたもので、夜咲くはずもない蓮花は亭主独自

の手法で咲かせたものでございます。本日27日(月)から 8月1日(土)まで 日々

替わる蓮花と、風流「象鼻酒」を心行くまで お楽しみ下されば嬉しゅうございます。

 

象鼻酒 とは、蓮の茎には蓮根と同じ穴が開いており、蓮の葉を
漏斗代わりに冷酒を注ぎ、茎から滴れ流れ出る清涼感溢れる蓮香の
薫る酒を爽やかに味わい、涼しさを楽しみむものでございます。
その姿が、象の鼻に似ている所から「象鼻杯」とも云われ、
3世紀頃の古代中国では象鼻酒を飲めば3年寿命が延びるとし、
客をもてなす最高の味わい方とされました。

 

 

 

2009-07-27 14:39 | トラックバック(0) | コメント(7)

土用

2009年7月21日

土用は四季ともにありますが、通常は夏の土用。今年は七月十九日の「土用の入り」
から十八日間を申します。中でも二十四日の「丑の日」が重視され、うどん,梅漬け,
牛馬など"う"の付くものを食べた風習に夏の活力源の食べ物として「鰻」が、乗じた
ものでしょう。これは江戸時代中期に鰻屋が、奇才と云われる平賀源内に宣伝依頼
し評判定着したと云われており、他には土用蜆を食べたり、土用灸をすえたり習慣も
あるそうですよ。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「土用」をテーマとして
  土用鰻蒲焼もどき、家猪とごぼう梅煮、うざく酢
  馬そぼろと蓮芋のずんだ和え、焼茄子胡麻豆腐
  土用しじみ汁、お口すすぎは 梅薫茶 でございます。

そもそもは邪気除災の行事を行われたのが土用丑の日なのですが、暑い盛りの時期

を乗り切る為の古人の知恵でございましょう。さて来週の夏の花歳事記「蓮見」では、

畳一条の蓮花葉を配し、蓮花の薫りと風流"象鼻酒"などお楽しみ頂き 「一服の涼」を
差し上げたく存じます。 詳しくは、イベントのご案内 「蓮見」 をご覧下さいませ。

2009-07-21 14:10 | トラックバック(0) | コメント(0)

涼舟

2009年7月13日

そろそろ梅雨が去り初蝉が聞える頃ともなれば、暑さを避けて夜気に涼味を
求めたくなる時節ともなります。夏の夜の涼味といえば鵜飼船や納涼船そして
屋形船の海や川の舟遊びも、そのひとつでございましょう。  今週は舟遊びの

山郷料理でございます。


  今週の初の膳 酒の肴膳は、「涼舟」をテーマとして
  鮎の笹焼き、鬼灯琥珀玉子、川風豆腐
  うるか葛きり和え、あなご胡瓜なます
  冬瓜冷や汁、お口すすぎは 青柚子茶 でございます。

水の上を渡ってくる風は涼しく、ボート遊びや、水遊びに、にぎわう昼間の騒々しさ
にくらべて、赤いほうずき提灯をつるした屋形船の時々船縁を打つ竿の音が辺りの

静けさをいっそう感じさせます。  しのぎにくい夏の夜を舟遊びに出掛けてみては

いかがでしょうか? 思い出に残る夏の夜の涼味となるのではと思います。

 

2009-07-13 14:47 | トラックバック(0) | コメント(8)

七夕

2009年7月06日

五節句の一つに数えられる七夕祭は星を祭る行事として

中国の後漢の頃に端を発し、日本に入ってきたのは奈良時代の頃で、

『日本書紀』によれば持統天皇の5年(691年)に宮廷で七夕の宴が

催されたのが、七夕祭りの始まりと云われます。

天の川の両岸をはさみ牽牛星(ひこ星)と織女星(おり姫星)とが

年に一度の逢瀬を許されたが、もしこの夜が雨となって

天の川の水嵩が増して渡れないときには、鵲(かささぎ)が両羽を

ひろげて橋となり、織姫を渡してやると云う伝説により、

七月七日には両星を祭る風習が江戸時代より盛んになったそうでございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「七夕の節句」をテーマとして
  天の川茶豆腐、夏鴨と里芋の甲州煮
  願いの糸瓜、笹舟小鯵酢、七色酒菜
  はも茄子味噌汁、お口すすぎは , 青しそ でございます。

2009 018.jpg

七夕の宵には 当亭中央の板の間に天井までの笹の木をご用意致しますれば,

願い事を短冊にしたため、笹竹に結び七夕流しに興じた子供の頃を思い出し

いにしえの恋物語に思いを馳せながら、夏の一夜を閑かに心遊ばせて、

ひと筆いかがでございましょうか...

2009-07-06 14:35 | トラックバック(0) | コメント(2)

夏越(なごし)

2009年6月29日

古くは六月と十二月のみそかに、罪、汚れを祓い清めた神事を「大はらい」といい、
十二月の年越と、六月のはらいを 夏越(なごし)の祓(はらえ)と申します。
夏越は、神意をやわらげる意味の和し(なごし)であるといわれ、この夏を無事健康
に越せるようにと六月三十日に行われるもので、古くは農家にとって田植え終了後の
いましめ又つつしむべき忌みの日でもあったようでございます。
この夏越では、茅の輪(ちのわ)という茅(かや)で作った輪形を拝殿や鳥居の所な
どに設け、神官がくぐった後に続いて参拝者もくぐって災厄をはらう「茅の輪くぐり」
や、また人形(ひとがた)の紙切れに身の災いを移し、川に流したりも致します。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「夏越」をテーマとして
      人形木の芽鴨味噌やっこ、茶魚そうめん、鱧ちくわ胡麻酢
      水前寺海苔にしきぎ山葵風味、笹身の梅みょうが焼き
      うなぎ肝汁、 お口すすぎは 桃茶 でございます。

私達も月日の流れにながされて今年も早や半年も過ぎ去さろうとしております。
この夏、皆様のご健勝を祈念申し上げます。

2009-06-29 14:50 | トラックバック(0) | コメント(0)

蛍狩り

2009年6月22日

私の子供時代には、初夏の夜には幻想的な螢狩で癒しの体験をしたものでございます。一時は農薬の為、螢の餌となる川蜷(かわにな)が姿を消し、螢も次第に見られなくなり、わずかに残された自然環境の中で健気に生きておりましたが、最近では農薬規制、また保護活動などにより生息環境も整い始め、蛍狩りの声を耳にするようになりました。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「螢狩り」をテーマとして
  ほたるいか黄身酢、若鮎揚せんべい
  家猪梅煮、淡雪豆腐、紫じゃこめし
  粟麩と瓜の味噌汁、 お口すすぎは、しそ茶でございます。

螢は、源氏蛍と平家蛍に代表されます。無数の蛍が入り乱れて飛ぶ情景を蛍合戦といい、宇治の蛍合戦は源の頼政の怨霊の現われとの伝説もございます。水辺の闇に

神秘的な光を明滅して乱れ飛ぶ 夏の優しの虫「蛍」のさまは、まさに初夏の風物詩と申せましょう。

 

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花名  螢袋(ほたるぶくろ)   捕まえた螢をこの花の中に入れ花弁の先端を結び、

幻想的な螢光を楽しむと云う。古人は何んと風流な遊び心をお持ちのようでしたね。

 

2009-06-22 14:04 | トラックバック(0) | コメント(5)

入梅

2009年6月15日

暦の上では十一日が入梅。広島では先週 梅雨期に入ったとか。

梅の実が熟する頃の雨なので梅雨と申すそうですが、

古くは陰暦五月にあたるので五月雨 (さみだれ) とも云い

この時季に雨が降らない事を、空梅雨(からつゆ)とも申します。
いずれにせよ じめじめとした肌寒さを覚える日もあって、

誠にしのぎにくい月ではあります。しかし見様、考え様では風雅なもので

「五月雨や色紙へぎたる壁の跡」などと侘びに興じた芭蕉をしのび 

 いっそ「雨を楽しむ」と開き直り、五月雨の音を酒の肴にと洒落込むのも

結構なものかとも存じます。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「入梅」をテーマとして
  海老の紫陽花揚げ、蜆と瓜雷干しの辛子酢味噌
  青煮梅、新牛蒡香り炒り煮、空豆夏鴨真薯、
  鰯つみれ汁、お口すすぎは、香煎茶です。

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巡るめく花の移ろいに誘われて、今週は梅雨の花「紫陽花」を亭内あちこちに配し、

酒の肴にお楽しみ頂ければと思います。下段は「隅田の花火」と云う額紫陽花です。

 

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2009-06-15 15:06 | トラックバック(0) | コメント(1)

夏祭り

2009年6月08日

夏祭りは、五月の東京「三社祭」、京都は「葵祭」に始まり、広島では円隆寺の
稲荷大明神の祭礼通称「稲荷(とうか)さん」で本格的な夏を迎えます。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「夏祭り」をテーマとして
  柿の葉祭り寿司、お稲荷なます、落花生豆腐、
  うなぎの蓼味噌焼き、ぶんどう煮こごり
  はも魚そうめん汁、 お口すすぎは、すだち茶でございます。

この円隆寺は修法師(しゅうほっし)によって護られ、旧暦五月五日(新暦6月初め)
を明神の祭日とし、祈祷会を行い災厄を祓うときなので、この日をとって厄払いの
祭りを行うことになりましたようです。稲荷(いなり)と書いて(とうか)と読みなぞらえ、

そもそもは10日に行われた祭りが、数年前より第一金土日に移り、現在に至って

おります。この時節にすれば真夏への切り替え時なので大正初年から この日を

真夏への「衣替え」とし、浴衣の着初めの習いとなったもので夏を健康に過ごせます

ようにと祈ります。この夏、皆様の御健勝をお祈り申し上げます。

2009-06-08 14:32 | トラックバック(0) | コメント(8)

氷の節句

2009年6月01日

六月一日は「氷の節句」。あまり親しみのないこの節句は、京都は北の郊外の奥山に
氷室(ひむろ)と云う地名があります。昔、この深山山中奥深くの洞穴室に冬中に貯
えておいた氷を六月一日になれば、宮中に献上したと申します。宮中人の役得でしょ
うか!?この日少しでもこの氷を口にすると夏痩せせぬとか、夏を無病息災に過ごせる
と伝わっておりますが、所が昔の事ですので一般庶民は貴重な氷は口にすることも出
来なく、せめて氷室神社の紋を象った外郎を食べて夏を健康に過ごせますように祈り
食した風習がございます。その紋たるや氷の結晶を意図した三角形の形をしており、
その形に小豆を散らした外郎を「水無月」と云い、現在でも六月の和菓子屋さんでは
代表的なお菓子のようです。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「氷の節句」をテーマとして
 氷室にこごり、酒魚と若布の緑酢和え、独活と京揚げの干辛煮
 揚げ出し加茂茄子、地鶏と蓬麩の笹巻き蒸し、水無月豆腐汁
 お口すすぎは、氷茶でございます。

広島では6月第1金曜・土曜・日曜の3日間通称「稲荷(とうか)さん」の夏祭りが始まり

ますが、丁度この頃は衣替えの時節でもあり、浴衣の着始めの習いでもありました。

この夏祭りや、夏越の祓えなど本格的な夏を前にして、「氷の節句」同様に この夏を

無事健康に越せますようにとの祈りからの行事でございます。

2009-06-01 14:25 | トラックバック(0) | コメント(2)

麦秋

2009年5月25日

CALQJ27Y.jpg

立夏の後15日目、大体5月21日頃を二十四節気の一つで「小満」と云い、
この頃が麦刈りの時期とされています。陽気が盛んになって万物成長し時鳥が
鳴き、麦が熟れる頃を「麦秋 ばくしゅう」麦の秋と申します。その景色が、
稲が秋に実るに通わせて、麦にとっては収穫の秋。すなわち麦が熟れるのを
秋になぞらえたものでございましょう。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「麦秋」をテーマとして
  麦秋切り麦、かます竹皮風味焼き、鱸かんらん博多押し、
  柿茶豆腐の薬膳胡桃和え、小蕪と蒸し鶏の麦酢味噌、  
  はったい粉団子汁、お口すすぎは 麦茶 でございます。

ようやく強さ増した太陽の下、山里では青葉若葉の新緑に取り囲まれ、
かたや黄熟しきった麦畑は鮮やかな対象を見せてくれます。
何とのどかな景色ではありませんか!?

2009-05-25 14:21 | トラックバック(0) | コメント(9)

田植えどき

2009年5月18日

暦の上では「立夏 5月5日」も過ぎ、春色はあせ爽快な夏の気配が立ち初める季節、
いわゆる晩春初夏と云うくらい良き時節でございます。色々の花が次々に開き新茶は
香り、草木は驚く程に伸びてゆく頃、「田植」が始まります。稲は苗代を作り八十八夜

前後に本田に移し、そして田植えを致します。

この頃、田んぼに水を入れますが、雨が少ないと困りますので、雨乞いと豊作を

祈願し笛や太鼓を打ち鳴らして「花田植」を唄い舞ったと申します。

昔の県北一帯は 魚の乏しい所であったようで、中国山地を越えて 「わに(鮫)」や

「塩鯖」が送られて来ました。今週は県北は山郷の郷土料理でございます。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「田植えどき」をテーマとして
  さんばい、田植え鯖のちしゃもみ、家猪梅焼酎煮、
  わにと瓜の木の芽辛子酢味噌、山里切干し大根炊き、
  早乙女汁、お口すすぎは 焼米茶 でございます。

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昔の県北では、田植えの頃になれば、田んぼの畦道に何故かしら栗の枝を

2・3本挿し、山から「さんばいさん」と称される「田の神さん(太陽と土と水の神)」を

お迎えし、田植えが無事に終わり秋には沢山の米が実りますようにと「さんばい」と

云う料理を供え、豊作を祈願したそうでございます。この「さんばい」とは、黒豆入りの

素朴なおこわを青い朴葉に包んだもので、その謂われは定かではありませんが、

素朴で味わい深い「言い伝え料理」です。ともあれ、その習わしも現在では見かける

ことも少なくなったようですが、田植が済んだ見渡す限りの青い毛せんを敷きつめた

ような静かな田園風景を目に致しますと何となく心が豊かに安まるもでございますね。

2009-05-18 14:58 | トラックバック(0) | コメント(8)

鵜飼開き

2009年5月11日

およそ1300年ほど前、万葉の頃から行われていた漁師が鵜を遣い魚を捕える漁法

「鵜飼」は、岐阜県・長良川が最も有名で、鮎解禁より全国を先駆け五月十一日に

鵜飼開きが行われます。鮎は月明かりを嫌うと云われ満月の前後数日は行われない

そうで、闇夜の川を鵜篝(うかがり)の火の粉を暗い川面に撒き散らしながら、

目の前を矢のように通り過ぎて行く鵜舟を眺めておりますと、清らかにも静かな川の

趣きを感じさせる「初夏の風物詩」と申せましょう。
    
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「鵜飼開き」をテーマとして
  鮎の風干し焼き、川海老の川風揚げ、鴨の冶部煮、
  茗荷と瓜の葛きりなます、かぼちゃ篝火ほのお寄せ、
  芽順才とろろ汁、お口すすぎは、木の芽茶でございます。

因みに広島では六月一日より鮎解禁となり、当亭では入り口の大瓶に

日々限定数で活かした地物「天然若鮎」を楽しんでもろうちょります。

鮎は、4月中旬頃から川底の石に付いている硅藻類や藍藻類のコケを盛んに食べ

始め、6月頃には20?ぐらいまでに成長した若鮎は、焼く前は爽やかな西瓜の

香りが漂い、塩焼きは骨抜きなどしないで頭から丸かじりすれば、独特の苦みと

苔の香り 若草のような香りが口にひろがります。楽しみにしてつかあさいね。

2009-05-11 15:03 | トラックバック(0) | コメント(9)

端午の節句

2009年5月07日

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今週花歳時記「端午の節句」の週では、亭内中央の欅板の間に畳一畳の菖蒲畑を

配し 花菖蒲の香りと、「菖蒲酒」をお楽しみ頂きます。

 

軽やかな南風にそよぐ青葉若葉が陽光にきらきらと映じて青い嵐のように感じられる
という五月に早苗を植える季節であることから早苗月、それが転じて皐月(さつき)
と申します。三月の桃、四月の桜に続いて五月は花菖蒲。端午の節句を、菖蒲の

節句ともいい、強壮解毒作用を持つ菖蒲や蓬を軒下に差して邪気を払い、火難除け

とし、菖蒲湯は健康増進。そして菖蒲酒を飲めば、蛇にかまれないという風習が

ございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「端午の節句」をテーマとして
 皐月鯉の薫風焼き、竹の子木の芽和え
 笹身菖蒲蒸し、卯の花柏葉巻き、木耳山里煮
 よもぎ団子汁、 お口すすぎは、菖蒲酒でございます。

五月五日は男の子の節句。矢車を付けた竹竿に鯉幟、吹流しを付けて薫風に

なびかせ男の子よ勇壮に活発に育てよと願うものでございますが、

菖蒲&蓬の「邪気を払い&火難除け」そして「菖蒲湯に菖蒲酒」と共に、

ビルが建ち並ぶ風情なき都会生活では 廃れつつある習わしでございます。

2009-05-07 22:13 | トラックバック(0) | コメント(10)

茶摘み

2009年4月27日

立春から数えて 八十八日目に当たる五月二日頃を八十八夜と申し、この頃になれば
春霜が終わり種蒔きに好適の時期とされ、八十八を組み合わせると「米」という字に
なるので昔から農家ではこの日を大事にしたようでございます 
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「茶摘み」をテーマとして
  新茶豆腐笹巻き、菅笠椎茸海老真薯 鰻印篭煮、
  こごみ山ふぐ胡麻和え、山うど蒸し鶏の黄身酢
  しじみ山里汁、 お口すすぎは 新茶 でございます。

「夏も近づく、八十八夜」の 歌の文句にもあるように、茶摘みは四月上旬から始まり
八十八夜から二,三週間が最も盛んで八十八夜に摘んだ茶葉は"極上"と申して

古来より珍重され不老長寿の妙薬と云われました。私達も、新茶の香りを味わえる

のももう真近ですが、春はあっという間に過ぎ去り、早いもので もう初夏を迎えます。

2009-04-27 16:00 | トラックバック(0) | コメント(6)

初鰹

2009年4月20日

世の中は三日見ぬ間の桜かな...と、移ろいやすい花の命に諸行無常の人生を垣間

見て、そのはかなさに物のあわれを感じるのが人の心でございます。待ち焦がれて

いた今年の桜も、あっという間に終わり葉桜の時節を迎え青葉若葉に時鳥、さては

卯の花に藤、つつじと風薫る初夏を迎えます。 「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」

やがて春の黒潮暖流の水温上昇と共に鰹が来遊し始め、この頃に捕れる鰹を初鰹と

呼び珍重され鰹の美味しい時節となります。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「初鰹」をテーマとして
  初鰹青葉たたき、なまり節と新筍炊き
  鰹団子葉桜蒸し、菅笠椎茸鴨真薯、空豆塩ゆで
  山菜とろろ汁、お口すすぎは 木の芽 です。

鰹は、昔から意気の良い魚として「勝魚」とも書かれ 江戸っ子に喜ばれたそうで、
また鰹は"勝つ男"に通じるとして、戦国世の鎌倉武士たちが愛好したと申します。
丸まると引き締まった鰹の姿を目にしますと、最今の不景気に打ち勝ちたいものと
勢いも感じさせられます。 「 鎌倉を生きて出てけん初鰹 」

2009-04-20 14:13 | トラックバック(0) | コメント(1)

山菜

2009年4月13日

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   今年も山形は庄内より、すみれに似た可憐な山菜「かたくりの花」が届きました。

 

華やかな桜が終わる頃、うららかな陽の光に芽吹く緑を目に致しますと言い様のない
いじらしさを覚えるものでございます。 この頃 山里では山菜でいっぱいです。
山菜の味わいは、この芽吹きを知ることから始まります。雪解けの土を割って頭を

もたげる"ふきのとう"  厳しい冬を知らなかったかのような"山うど" 可憐な姿で風に
そよぐ "かたくりの花" 等など。山菜は、季節と出逢うよろこびですね。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、只今旬の「山菜づくし」をテーマとして
  たらの芽鶏信田、山うど薫鮭巻、かたくり茎花したし
  こごみと山ふぐの辛子酢味噌、つわぶきと揚豆腐の山家煮
  蕗の薹天と蓬麩の味噌汁、お口すすぎは , よもぎ茶 です。

山菜は旬です。旬はめぐりめく自然の贈り物でございます。次の休日には万葉の昔に
夢を馳せて春の一日思いきって"山菜摘み草"に出掛けてみては如何でしょうか・・・

2009-04-13 16:19 | トラックバック(0) | コメント(1)

送迎

2009年4月06日

春意ようやく動き始める今日この頃は卒業から進学へ、学生から社会人へ、あるいは
新しい職場への異動転勤等が多くなり、いわば新しい人生へと旅立つ門出の時節で

ございます。古人は門出の祝いにと、菜と鶏を炊き合わせて見事に「名取れ」と励まし
ました。「菜鶏」に「名取」をかけたその感覚は私たち現代人にも なお新鮮に感じる
ものでございます。古来日本人は何よりも名を重んじ、名を汚すことを恐れ、その名に
恥じない働きをする日本人気質を大事にしたものです。今の時代に生きる私達は

如何なものでございましょうか!?  送迎 すなわち 門出の祝いを、古人の知恵に

学んでの「送迎の膳」と させていただきました。

今週の酒の肴膳は、「送迎」をテーマとして  
「鯖の黄金出世焼き」最近では三流とは云えない鯖が黄金出世致しました。
「茶蕎麦田楽」旅立ちの後にも細く永くのお付き合いをと・・・          
「明日葉と生湯葉の辛子胡麻酢」明日の旅立ちと云う言葉から・・・      
「名取炊き合せ」門出の祝いに菜と鶏を炊き合わせて見事に名取れと・・・      
「富貴の山家煮」蕗 すなわち 富(ふ)貴(き)と書いて金銀に恵まれ何不自由なく・・・ 
「鯛の二色潮汁」めでたく故郷に錦(二色)を飾ると申します・・・         
 お口すすぎは「蓬」でございます。

因みに百花の王「牡丹」を「名取草」とも申すそうで、いよいよ百花咲き乱れる春を
迎えます。

2009-04-06 19:06 | トラックバック(0) | コメント(3)

桜満開です。

2009年3月26日

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今年も爐談亭の大きな桜は、昨日には満開となりました。

週末には、チラホラと散り始めます。
来週月曜には、新たな可愛い桜がお目見えです。

今年 爐談亭の夜桜は,4月4日まででございます。

 

今週&来週の初の膳は、「夜桜」を テーマとして
 桜鯛密柑刺、桜鯛道明寺桜蒸し、菜の花辛子漬、
 初鰹花見団子、筍の子木の芽田楽焼き、
 桜麩と桜蕎麦汁、 お口すすぎは  桜茶 でございます。

更に、夜桜では「初の膳」に続き、
  煮物椀「春爛漫 生湯葉海老真薯」
 
そして、二の膳「夜桜野掛膳の六種」
 特選廣島牛蒸し焼き、真鴨ねぎ味噌、かに出し巻き
 かに味噌春大根、山うど鮭燻製酢味噌、小松菜生うに和え

締めのごはん物には「桜蒸し寿司」
    デザートには「桜あいすくりーむ」

■ 夜桜の宴【 3月23日(月)から 4月4日(土)まで 】
  夜桜の2週間の期間中のみ、お客様皆様に上記の夜桜料理
 (五千円15品 お飲物税別)を お願い申しておりますが、
  ご予算に応じた夜桜料理(八千円18品 お飲物税別)も
  ご予約にてご用意致します。尚、追加料理もございますので
   お気軽にお申し付け下さいませ。

2009-03-26 17:15 | トラックバック(0) | コメント(3)

お彼岸

2009年3月16日

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       桜の時節に先駆け、可憐な花びらで咲く彼岸桜 (山桜)

来週は、いよいよ毎年恒例の「夜桜の宴」  詳しくはイベントのご案内をご覧下さい。

 

今週十七日の彼岸の入りを前にして、暖かくなり始めたかと思いきや またもや
冴え帰る寒さの日々でしたが、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と申し、土筆や蓬も
芽吹き始め、冬の寒さも彼岸を境に春めいて、やがて雁が北の空へ消えて秋分の
頃には雁が帰って来ます。今週は、待ちどうしかった野や山の恵みに感謝しつつ、
山郷のお彼岸の膳でございます。

 今週の酒の肴膳は、「お彼岸」をテーマとして
   蓬鶏つくね、お彼岸上戸餅
   鯛の筍利休蒸し、土筆の山家煮、

   田芹じゃこ膾、早蕨汁

   お口すすぎは 若布湯 でございます。

ご承知の通り お彼岸は年に二回。春分、秋分の日を中心に前後七日間を申します。
この日 祖先の法要や墓参りをして、その霊がやすらかに 彼の岸(煩悩の流れを越え
た悟りの境地)に到達することを祈るのでございます。 又、春分の日を戦前は、

春季皇霊祭といい 自然をたたえ、生物をいつくしむ日であったそうでもございます。

2009-03-16 15:18 | トラックバック(0) | コメント(11)

おとき

2009年3月09日

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暖かくなりかけては冴え返る寒さの中に、土手には「つくしん坊」が顔を出して

いました。早速に盆栽にして お客様に春の訪れを楽しんで頂くことにしました。

 

御斎(おとき)の称呼は、寺々に集まった在家信者に供される食事(精進料理)の
ことを申します。精進料理の古い様式が今に伝わってるのは、三月十二日の

東大寺で行われるお水取り(修二会)で有名な二月堂で「こもりの僧」が、

精進潔斎するときの食事ではないでしょうか。春とは云え早春のさえ返る寒さの

僧房で、紙衣の求道僧が素朴な食器で、食事礼法に法り行儀正しく食事を

とる様は、平成の時代とは思えない厳しさと鋭さを感じさせられますね。

 今週の膳は、「おとき」をテーマとして早春の山里精進料理です。
  若布豆腐ほのお人参、土筆と山うど胡麻酢
  牛蒡束紫焼き、揚げ湯葉昆布、茶そば磯巻き
  三月大根梅花汁、お口すすぎは干し柿でございます。

当亭は決して精進料理の店でもなく年間52週替わりの味暦歳事記の内2週が

精進料理なのですが、もう1週は盆が過ぎた頃の初秋の「送火」がございます。
私達も年に一,二度は心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しなが

ら祖先を憶い、自分を振返る一刻が欲しいものでございますね。

2009-03-09 16:02 | トラックバック(0) | コメント(13)

桃の節句

2009年3月02日

 

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早いものでね。明日は「桃の節句」を迎えます。
桃の節句は、五節句のひとつで上己(じょうし)・重三(ちょうさん)などとも呼ばれ、
この日紙雛を川に流し送る"流し雛"が雛祭りの源流と云われ、祓い(はらい)の為の
人形(ひとがた)に供物をささげて、もろもろの凶事をこれに負わせたと申し、
端午の節句と同様に我が子の成長を祈るのです。

 今週の膳は、「桃の節句」をテーマとして
  菜の花と赤貝の辛子酢味噌、鱒の白桃焼き
  海老の葛水仙、菱形真薯、鳥の巣ごもり
  手まり麩味噌汁、お口すすぎは、白酒に桃の花びら。

長かった冬ごもりに終わりを告げ、一斉にすべての生命が芽吹き春の喜びをうたう
雛祭りの膳の向付には「菜の花と貝の酢味噌」が、おきまりの桃の節句の膳を

酒の肴に、酒に桃の花びらを浮かべて雛の酒と洒落込むなどと私達酒徒も

それくらいの風流心と、ひとときを持ちたいものでございますね。

2009-03-02 18:37 | トラックバック(0) | コメント(6)

梅見

2009年2月19日

 

 

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梅見 [ 2月23日から 28日まで ]

今年も、囲炉裏を囲む欅板の間に天井までの梅の木を配し、亭内いっぱいに

梅花香る「梅見酒」と洒落込んで、早春の味をごゆるりとお楽しみ頂きます。

今年は例年にない勢いのある梅の木が、山陰より入荷致しました。

是非ともご覧いただけたら嬉しゅうございます。。

 

立春から、およそ一ヶ月間は春とは名のみの寒さ、少し暖かくなりかけてはまた急に
冷え込むのを「冴え返る」と申します。 それでも一月に比べれば昼が長くなり日差
しも春めいて梅も咲き始め春の気配を感ずる季節でございます。

如月すなわち二月の異名に春に魁けて梅の花を見るので「梅見月」とか「梅月」

などと申し、あちこちで梅まつりの頃ともなります。 京都北野天満宮の梅花祭では

二月二十五日の菅原道真忌にあたり菅公が愛した梅花の枝を霊前にお供えする

ので「梅花御供」とも呼ばれております。


 今週の膳は、花暦歳事記「梅見」をテーマとして
  紅白梅花酢かぶ、地鶏ふきのとう味噌煮込み
  早春白魚玉じめ、鰆朴葉焼き、壬生菜梅香漬け
  揚げ煮梅清し汁、 お口すすぎは 香煎茶 です。

 

「東風吹かば にほいおこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」   菅原道真

 


 

2009-02-19 18:48 | トラックバック(0) | コメント(1)

かまくら

2009年2月16日

雪国秋田県の横手市では、今年は二月十五日の晩にかまくら(釜をふせたような形)を
作り、正面の祭壇には(おすずさま)と呼ぶ水神様を祀り、餅や甘酒等の供物を供えて
お灯明を灯し、子供達は餅を焼いて食べたり甘酒を温め、めらし(女の子)は土製の
頭を串に付け色紙の着物を着せた「串あねこ」と呼ぶ姉様人形で遊びます。

 今週の膳は、春を待つ「かまくら」をテーマとして
  小蕪と鴨のかまくら蒸し、干し菊ぜんまい胡桃和え
  角館鮭の豆腐巻き、挽き割り納豆鮪、水神なます
  秋田だまっこ汁、 お口すすぎは 甘酒 です。

昔から飲み水の乏しかった この地方の忌屋(いみや)即ち水乞いの風習だそうで、
400年以上の歴史を持つ「かまくら」に あかあかと灯った お灯明は雪中に映えて、
全国でも有名な雪国の幻想的で詩情豊かな民俗行事です。 今週は、春を待つ

早春は秋田の郷土料理でございます。

2009-02-16 14:50 | トラックバック(0) | コメント(9)

針供養

2009年2月09日

古く昔の女性は綿から糸を紡ぎ、いろいろに染めて機織りにかけ織り上げることが
最上の任務であり、さらにその布を裁断して種々の着物に縫い上げることは更に
大切なことでしたようです。その意味から針の神(淡島様)を祭り、針に感謝する
針供養の行事は 関東では二月八日、関西は十二月八日に行われますが、
全国的には二月八日が多いようです。 その日には針仕事を慎んで針を休め、
一年間に使い古した折れた針を柔らかなもの豆腐や蒟蒻に刺して休めると云って、
淡島様の神前に供えて供養し、あわせて裁縫の上達祈念致しました。
最近の家庭では針を使う事も稀で針供養はされないようで洋裁&和裁学校位で

しょうかね。この針供養の習わしは、すべてを手で縫っていた頃の古風ゆかしき

早春の針供養の行事でございます。

 今週の膳は、早春の習わし「針供養」をテーマとして
  針供養空也豆腐、畑菜の初午辛子和え
  早春鱒笹寿司、如月飯蛸、霜降り笹身酢
  山家酒粕汁、 お口すすぎは 針柚子 です。

立春を過ぎれば 暦の上では春。いわゆる早春と云われる如月には「飯蛸」の
美味しい季節ともなり、胴の中の卵巣が米粒のようなので飯蛸とよばれます。
私達酒徒にとって、早春の酒の肴には堪えられなく 口中で海の香と酒が
渾然一体になり、至福の時が訪れます。

2009-02-09 15:10 | トラックバック(0) | コメント(5)

節分

2009年2月02日

節分は冬より春に移る季節の分れ目で大寒より十五日目で立春の前夜に

あたります。暦の上では春とはなりますが、春とは名ばかりで実際には余寒が

厳しく冴え返る日々が続きます。節分には「鬼は外、福は内」と連呼し鬼打豆を捲き、

門口へ焼いた鰯の頭を柊にさして悪鬼除けを致します。柊(ひいらぎ)葉の「とげ」が

鬼の目を刺し、焼いた鰯を食べる習わしは、鰯を焼くにおいが臭いからとて、

疫鬼よろず諸々の厄が逃げていくのだと申し、また一年の砂おろしに蒟蒻の白和えを

食べたりする風習が、新しい春を迎える意味からも平安室町の昔から今も変わりなく

続けられている年中行事のひとつでございます。

 今週の膳は、春を迎える「節分」をテーマとして
  節分鰯の梅煮焼、ふろふき葉付き小蕪
  節分蒟蒻白和え、子宝なます、地鶏立春蒸し
  揚げ蕗の薹とろろ汁、お口すすぎは 芹茶 です。

季節の移り変わりは早いものですね。待ち遠しかった春はもうすぐです。

2009-02-02 23:03 | トラックバック(0) | コメント(1)

夜咄

2009年1月22日

夜咄   ( 1月26日?31日 )

(よばなし) とは寒い冬の夜長に黄昏れ時から催される茶事七式のひとつとされ、
明暗の対照と寒暖の差異を楽しむもので、温かさが何よりのご馳走でございます。
「夜も長いことゆえ、いましばらく語り合いましょう」と、ひとつの火を囲み身も心も
暖め合うのが夜咄の茶事でございます。当亭は茶席ではありませんので酒を楽しむ

亭とし夜咄の茶事ならず「夜咄の酒事」として、平素より薄暗い亭内にて和蝋燭の 

ほの灯りでお気軽にお酒とお料理を楽しんで頂きたく、そして一服の温かさを差し

上げたく存じます。 

 

 今週の膳は、春を待つ「夜咄」をテーマとして 
   鯛蕪蒸し、蕗のとう豆腐、猪山家煮
   早わらび焼烏賊、しめさば柚子黄身酢和え
   大徳寺麩汁、 お口すすぎは、生姜茶 です。


 

自然の微妙な変化に繊細な心を働かせた茶人は、"空の色に" "折節の淡雪に"

さては"障子に映る日差し"にも ひそやかな春の訪れを感じ取ったとか、現代の

都会生活では自然との触れあいが あまりにも乏しく、ともすれば人の心もすさみがち

になります。来週の寒い夜は、囲炉裏の炉火を囲み心やすらぐ和蝋燭のほの灯りの

もとで、酒を酌み交し語り合うひとときに 日常から離れ心ほぐして頂ければ、

此の上ない幸せに思います

2009-01-22 23:15 | トラックバック(0) | コメント(10)

骨正月

2009年1月19日

正月終わりの節目と云う意味で、一月二十日を「二十日正月」と申します。
京阪では正月用の鰤や鮭の残りのあら骨を味噌や酒粕の中に入れて、
牛蒡や大根と共に煮て食べることから「骨正月」と申します。
鰤は、小さい時から成長するに従って名を変えていくので出世魚として
縁起が良いとして祝うのでございます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「骨正月」をテーマとして
  骨正月寒鰤大根煮、寒鯉山椒焼、慈姑煎餅
  むかごと木耳の柚子味噌、蒸し鳥と芹の土佐酢
  麦正月揚げとろろ汁、 お口すすぎは、蕗の薹 です。

石川県では「乞食正月、奴正月」とも云い、京都府下(竹野郡)では「ハッタイ正月」
また、中国地方では「麦正月、とろろ正月」などと云って、これらを総称して「二十
日正月」と申すそうでございます。二十日は大寒を迎え、寒さが最も厳しくなるこんな
夜は熱々の「火の味」が 何によりもご馳走となりましょう。お風邪を召されぬように
呉々もお気を付け下さいませ。
2009-01-19 22:38 | トラックバック(0) | コメント(5)

鏡開き

2009年1月13日

さて十一日は「鏡開き」。遠く平安時代の新年の行事のひとつとして歳首に
長寿を祝って大根、押鮎などを食べる習慣が、室町.江戸時代になって武家では
男子は「よろいびつ」に 女子は「鏡台」の上に供えた鏡餅を、刀柄(はっか)
初顔(はつがお)の祝いとして、二十日(はつか)におろして食べたのですが、
しかし後に三代将軍家光の忌日となった為、二十日を避けて何故か十一日になっ
たそうでございます。又、それ以来この鏡開きの行事は鏡餅を刃物で切ることを
忌み、手や木槌で割り開いたことにより「鏡開き」と云われおります。
昨今のお鏡餅は真空パックとやらで、すでに個々に切り分けられ 合理的で便利と
云えば便利ですが、何とのう味気なく食文化も失われつつもあります。

 今週の酒の付き出し膳は、「鏡開き」を、テーマとして
  お鏡餅揚げ煮、寒鴨黄身酢、五色なます
   慈姑真薯と焼きあなご、織部いわし
  蕗のとう味噌汁、 お口すすぎは、松の実です。

ともあれ鏡餅の頑強な固さには当惑致しますが、おのずから自分の道を開くにも
鏡餅を我が手で渾身の力を込めて切り開くが如く歩んで生きたいものですね。
2009-01-13 21:33 | トラックバック(0) | コメント(12)

迎春

2009年1月05日

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  新年明けましておめでとうございます。

              本年も御贔屓賜ります様お願い申し上げます。

陰暦いわゆる旧暦では新年すなわち一年の初めを立春(二月四日頃)に合わせるよう
にしていたので新年は同時に迎春でありました。春を迎える喜びの中に新年を迎える
祝意も込めていたのでございましょうね。

 

 五日より初店の 今週の膳は「迎春」をテーマとして
  寒鰤寿焼き、七種がゆ、利休いりこ
  あん肝柚子おろし、鴨たたき寄せ熨斗人参添え
  蛤真薯清し汁、 お口すすぎは、大福お屠蘇 です。

正月の七日には春の七草「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、
すずしろ」を入れた七種(ななくさ)粥を食べる習わしがありますが、この行事は
七種粥を食べると万病を除くと云う古い習わしで、陽暦では自然の状態で七種は
生え揃うものでもなく、もとは田植えに先立って行われた行事が正月に移されたもの
だそうです。ともあれ 七種粥は、心身の浄化を図る為の古人の知恵でございます。
古人すなわち先達は、はかり知れない食生活の知恵を今に残されております。

2009-01-05 22:43 | トラックバック(0) | コメント(0)

年越し

2008年12月22日

心忙しい年の暮れ。いろいろと思い出の多かった今年も後数日となりましたが、

一年が終わる大晦日の週に当亭では、ひとと歳の水の恩を送るために茶家同様に

除夜釜をかけます。水と火がなくては茶湯は出来ぬと知りながらも、つい忘れがちに

なるのが「水の恩」。それゆえに年の境い目に改めて大年を惜しみ、感謝の念を新た

に致すのでございます。
  
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「年越」をテーマとして 
  つもごり鴨蕎麦、春菊不老長寿和え
  鮭かぶら巻き、柚子田楽、烏賊にごり焼
  除夜粥汁、 お口すすぎは、芹 昆布茶 でございます。

やがて、とこからともなく除夜の鐘の音が、強く五十四、弱く五十四、合わせて

百八声。これは十二月、二十四節気、七十二候の合計がこの数だそうで、

人間の煩悩(心身をまし乱す迷いのもと)の総てを鐘の響きにのせて吹き祓う

のでございます。何卒良い年をお迎えなさいますよう お祈り申し上げます。  



今週は、最今の不況を吹飛ばさんが如く皆様とご一緒に毎年恒例の年越し餅つきを

致し、搗き立て餅をお召しあがり頂きます。  [12月22日より29日まで]

尚、本年は29日までの商いで御座います。新年は5日よりの初店でございますれば

来年も御贔屓下さいます様お願い申し上げます。         亭主合掌

2008-12-22 23:23 | トラックバック(0) | コメント(2)

冬至

2008年12月15日

冬至は二十四節気の暦の一つで、太陽が赤道から最も離れるときで昼間が最短、

夜間が最長の日でございます。冬至から日脚が伸び太陽の復活してくる日を祝う

風習から、南瓜を食べると中風にかからないとか、柚子湯に入ると風邪を引かない

などと云われ、古来より一年を健康で送る為には、人は「運、鈍、根」を身に付けて

おかねばならない故に、運「ン」の音の二つ重なる食材を七種食べて開運、厄除けを

致しました。今週のお膳には、その運「ン」の音の二つ重なる食材を七種組み入れた

お献立です。因みに21日は冬至を迎えます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「冬至」をテーマとして
  冬至南瓜ほうとう、寒天寄せ柚子味噌
  荒巻鮭酒焼き、金銀冨貴、蓮根山家きんぴら
  曙人参軽羹仕立て、 お口すすぎは、柚子湯です

又、冬至は火祭りの行事として、柚子を縁の下に入れておくと火を防ぐとも言伝えも
ございます。ともあれ冬至の行事は、食生活が豊かな時代になっても、寒さというス
トレスに対応出来ないことの多い現代人に対して、色々と反省すべき示唆を与えてく
れておりましょう。

2008-12-15 23:08 | トラックバック(0) | コメント(2)

事始め

2008年12月08日

「事納め」が、まだなのに「事始め」とは 何ぞやと思われてる方もおられましょうが、
古来、陰陽学から陽の数字の極みとされた師走の十三日を「事始め」と申し、

正月の準備に取りかかったそうです。正月の準備に取りかかると云うことは、

事は始まったと解釈しても宜しいようで、京阪地方の商家、茶家、芸能界では

この日、衣服を改め日頃恩恵を受けている主家へ鏡餅を持参し祝着の意を表す

のが習わしで、この餅を「事始めの餅」と申します。事始めの礼も、歳暮の習わしも、

由来はともあれその心は同じであり、一年の終わりに感謝を込めて贈り物を持参し

御挨拶すると云うことは、これは人間の気持として自然な習わしでございましょうね。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「事始め」をテーマとして
  海老真薯吉野仕立て、落ち鱚末広うに焼き
  姫くわい揚げ、蕪千枚重ね寿、比婆蒟蒻田楽
  お事汁、 お口すすぎは、揚げ餅 でございます。

事始めのこの日から地方によっては門松を立てる所もあり、煤払いをする地方もあり
中国、九州では「正月始め」と云い、岐阜では「正月起こし」とも申すそうです。
早いものですね 約3週間後には正月を迎え、早や一年を終わろうとしております。

2008-12-08 22:52 | トラックバック(0) | コメント(1)

炉辺

2008年12月01日

冬構えの済んだ頃より、冬の寒さも厳しく雪の多い地方では冬籠りの季節となり、
昔の農家では囲炉裏の生活が始まったものでございます。煤けた天井からは自在が
下がり煮炊きする鍋がかかり、炉火を囲んでの食事や団欒の集いは、冬の農家の生
活の中心となる場所でございました。その炉辺の語らいは昔話、土地の風習、また
今日の話題等、次の世代へ受け継がれてゆく自然な姿でございましょうね。 

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「炉辺」をテーマとして
  ほっけ炉辺むしり、身欠鰊大根炊き
  鴨どうふ、一文字ぐるぐる、冬漬物博多巻
  猪菜山家汁、 お口すすぎは、にごり酒でございます。

「 悲しみに 喜びに寄る 大炉かな 」 <山本作治朗>
燃えさかる火を囲んでは悲しみを語り合い、喜びに集う大炉は、その家のすべてを
物語り知っているのでございましょう。寒い今宵は、現代の生活様式では忘れられ
つつある炉辺の酒肴と談笑をお楽しみ下さい。
2008-12-01 20:58 | トラックバック(0) | コメント(2)

三味

2008年11月26日

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      三味一体の糸が醸し出す「川本高虎 津軽三味線の世界」

 

四季の微妙な移り行きに鋭敏な感覚を学びながら、季節に折目をつけて、

お客様を迎え、従事者ともどもに未熟ながらも心をつくし一期一会のおもてなしに

努めて「光陰如矢」気がついてみれば、早や本年11月25日をもちまして

満二十七年の月日が流れ去ろうとしております。お客様の心を我が心に、

甘酸鹹苦辛の五味をこえた真味、即ち「また食べたい」と感じていただける

後味を目指して務めること、それが「爐談亭のおもてなしの味」と考え、
天地の恵みに感謝しつつ味わう巡りめく「四季の恵みの素材の味」、何よりもまして
「お客様の、もう一味 」が加わってからこその「三味一体」の爐談亭でございます。

 
津軽三味線の宴 11月25日〔火〕 から 29日〔土〕までの5日間
    津軽三味線演奏 PM8:30&10:30 (約30分・2回演奏)

  

  今週の初の膳/酒の肴膳は、「三味」をテーマとして
     鯛昆布締め柚子釜、真魚鰹笹香焼き
     百合根まんじゅう、辛子明太子寿寄せ、
     舞茸松の実したし、二色清し汁、
     お口すすぎは 朱杯菊酒でございます。

  三味爐満鍋   帝釈峡地鶏つくね&葱とろつみれ&下仁田ねぎ、養老味噌仕立て

  吹き寄せ祝い膳  比婆牛蒸し焼き、真鴨味酒蒸し洋梨
              たらば出し巻き蟹、ほたて貝柱ぬた
              海老柿山葵醍醐、利休栗茶巾しぼり

  飯物 きりたんぽ雲丹焼き、子宝紅白膾    水菓子 栗あいすくりーむ

誠に身勝手乍ら「津軽三味線の宴」のみ、上記お料理&津軽三味線観賞料を含む

六千円(お飲物別)の会費とさせて頂きます。

本年も毎年恒例の三味一体の糸が醸し出す「川本高虎 津軽三味線の世界」を心ゆく

まで お楽しみ頂けますれば、嬉れしゅう存じます。  亭主合掌
   
  広島・胡町 「爐談亭」  ご予約 080?247?1378

2008-11-26 23:17 | トラックバック(0) | コメント(1)

夷講(えびすこう)

2008年11月17日

えびす〈夷〉は、七福人の一神として大黒と共に財福をさずける福の神として
最も知られておりますが、古くこの語は〈えみし〉とともに異民族を意味する通称で
あったようです。日本には海の彼方に神霊、常世の国があるとする古い信仰があり、
もとは漁民信仰から出た渡来異国神と云う観念に支えられた神が転じて海運守護

更には商売繁栄の神として中世より広く信仰されるに致りました。えびす講は、もとは

同業者、同地区商人が商売繁盛を祈り、神人共食の宴を持つ集まりだったらしく、

商人の一年の不当の利を神に謝する安値の大売出し(今で云うバーゲンセール)の

行事を誓文払い〈せいもんばらい〉と申したそうで、これが夷講として現在に至っております。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「夷講」をテーマとして
  かき恵美須大黒焼き、小判鴨ひりょうず
  鯛かぶら、えべっさん膾、熨斗がつお
  大福味噌汁、 お口すすぎは、蕪葉 でございます。

数ある広島での代表的な祭りとして、年の最後を飾る「夷講」は、18日から20日
まで催され、来年こそは景気回復なりますようにとお参りするのでございます。

さて、来週25日よりの開店記念日「三味」の週では毎年恒例の津軽三味線演奏を

お楽しみ頂きます。お席に限りもございますので、お早めのご予約をお待ち申してお

ります。

2008-11-17 20:18 | トラックバック(0) | コメント(2)

紅葉狩り

2008年11月10日

十一月は霜を見ることが多いので霜降月と云い秋も深まる頃、山々の木々が

紅葉(こうよう)又、黄葉(もみじ)することを総じて"紅葉(もみじ)"と申します。

楓の紅葉はことに美しいので紅葉は楓を指すことが多く、若葉の楓もいいですが

薄紅から唐錦へと色づく楓は自然の造形で、その見事さに目を奪われます。

また葉が黄色に変わる櫟(くぬぎ)や銀杏なども、やはり黄葉(もみじ)と呼び

雑木黄葉のも見捨てがたい美しさがございます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「紅葉狩り」をテーマとして
  鹿の子鰆紅葉化粧、 海老道明寺もみじ山
  吹き寄せ素揚げ、牛肉大和煮、柚子しめじ
  初牡蠣汁、お口すすぎは、銀杏 でございます。

十一月七日(立冬)より暦の上では冬とはなりますが、行く秋惜しむ紅葉狩りと

洒落込んで酒が飲めるのは月始めのうちで、次第に酒席の主題は「火」へと

移って参ります。今年も例年に比べ山の紅葉も遅れの様子とか!? 

冬真近とも感じられない最今ではございますが、今宵は、紅葉狩りをどうぞ

ごゆるりとお楽しみ下さい

2008-11-10 20:25 | トラックバック(0) | コメント(3)

初冬

2008年11月04日

いつの間にか朝晩は冷えびえとして温かい温もりが恋しい時候となりました。十一月
七日は立冬を迎え、二月の節分までが暦の上での冬となります。立冬は冬の気候に

入る初めの日であって、いわゆる冬の気配が立ち始める訳でございます。実際には

野山もまだ秋の装いで秋の気配がまだまだ残っていますが、朝夕などは寒冷が加わ

って冬は迫って参ります。夜などはいわゆる夜寒むを感じ風邪を引きやすい季節とも

なりますので、くれぐれも注意が肝要かと存じます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「初冬」をテーマとして
  山家胡麻豆腐炉辺味噌、 秋鮭のすぐきおろし
  焼地鳥納豆和え、煎り銀杏、春菊穴子なます
  紅葉なめこ汁、お口すすぎは針柚子でございます。

冷え始めた今宵は、炉端の炭火と温かい燗酒、出回り始めた冬の味覚に、一服の

温かさを差し上げたく存じます。

「紅葉狩り」十日より十五日まで

尚、この異常気象で延期しておりました「紅葉狩り」も、ようやくお山が冷え始め、

紅葉も始まりましたので 行く秋を惜しむ「紅葉狩り」を、来週十日より十五日まで

お楽しみ頂けることと相成りました。天井までの紅葉木を設え ご来亭をお待ち申し

上げております。

2008-11-04 15:47 | トラックバック(0) | コメント(2)

木守り

2008年10月27日

今年も又、隣の家の柿の木に、一粒の柿の実が残されました・・・
残された一粒の柿の実が、向こう一年間 柿の木を守り、来年も たわわに柿の実が
実りますようにと願う習わしを「木守り」と申します。 冷え始めました寒空に柿の実

一粒を見上げておりますと その風情は何となく静かで、どこか寒々と侘しさをも感じ

られますが、ものは考えようで向こう一年間 柿の木を守る訳ですから力強さも感じ

られますね!と云う意味合いも含んでおるようです。 地方によっては柿の実二粒を

残すそうで、一粒は木守りの為。 もう一粒はカラスにくれてやるのだそうです。 

さて 今週は一足早い、「木守り」の膳でございます。
 
  今週の初の膳/酒の肴膳は、「木守り」をテーマとして
   鰆初雪焼き、木守り柿なます
   山芋とんぶり、山家芋っ子煮、いぶりがっこ
   蕎麦米山里汁、お口すすぎは、柿茶でございます。

11月7日は立冬を迎え暦の上では冬となりますが、晴れても日差しは何となく

弱々しく、思い出したようにハラハラと時雨が通り過ぎて行く頃は、ともすれば

人の心も荒みがちになります。こんな時には一つの火を囲み、身も心も暖め合う

鍋と炉端の酒席は、くつろぎの中に心通わせる冬の知恵のひとつでございましょう。 

さて これからの爐談亭は、次第に酒席の主題は「火」へと移り、炉端の炭火と

温かい燗酒、出回り始めた初冬の味覚に、一服の温かさを差し上げたく思います。

 

2008-10-27 21:55 | トラックバック(0) | コメント(0)

秋の夜長

2008年10月20日

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今週は薄暗い亭内で、和蝋燭のほの灯りと秋の夜長をお楽しみ頂けたらと思います。

旧暦八月十五夜の名月に対して、九月十三夜(新暦の今年は十月二十三日)の月を
「後の月」と申しますが、また十五夜を芋名月と云うのに対して、十三夜を栗名月と
か豆名月と云い、栗や大豆を供えて祭ります。十三夜の月は、秋の夜長に しみじみ
とした情味を感じます。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋の夜長」をテーマとして
  鴨の砧巻き、 むかごとしめじの柚子味噌
  五平もち、むらさき秋大根、秋小鰺の酢漬
  十三夜汁、お口すすぎは、かぼす でございます。

昔の秋の夜なべ仕事に砧(きぬた)打ちと申して洗濯物の糊を柔らげたり、藁を慣ら
す為に盤上に乗せて木槌で打つのですが、秋の夜長に秋風や秋の寂しさの中で聞く
砧を打つ音色は、物悲しげな哀調がございましたそうで現在ではほとんど聞かれませ
んが、わら砧は今でも農家で行われてる所もあるようです。さても深まりゆく秋の夜
長にしみじみと酌み交す酒には 豊富に出回る秋の実りが、より一層興趣を添えてく
れることでございましょう。

2008-10-20 19:06 | トラックバック(0) | コメント(1)

秋祭り

2008年10月14日

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秋祭りの頃の昔なつかし伝統料理「あずま」

俗説にこの月、諸国の神々が出雲大社に集まるからとて十月を神無月と云い
年に一度のこの集まりで一年分の縁結びの相談を済ませてしまいます。
そういう伝説にあやかってか、この月から来月にかけては婚礼が多く
又、稲の収穫の終わったこの頃は、あちらこちらで秋祭りが行われます。
春祭りで豊作を祈ったのに対し、秋祭りは穀物の実りに感謝し、神にも供えて
共に喜ぶものでございます。縁結びも穀物の実りも、共に喜ぶ気持は ひとつで
ございましょうね。
 
 今週の初の膳/酒の肴膳は、「秋祭り」をテーマとして
  秋鯖祭りあずま、舞茸と菊花の胡麻味噌和え
  祭り煮しめ、大和芋蒸し、たこ塩辛青柚子おろし
  だまっこ汁、 お口すすぎは、松の実 でございます。

さて秋祭りの頃になれば、瀬戸内海沿岸の広島県中央から西部にかけて秋祭りや
正月に酒の肴やおかずとして来客に振る舞まわれる料理に、このしろ&さばを
使っての「あずま」と云う伝統料理がございます。
このしろ等の小魚を背割りにして中骨を取り全体に塩をふって半日位置き表面を
さっと洗って二杯酢に二日位浸しておき、その浸け酢で味付けしたおからに、
おのみ(麻の実)などを加え、魚の腹に詰めたものを「あずま」と云います。
最近では、あまり見かけられない料理「あずま」は、子供の頃は食べるのが嫌で
したが、酒の味が分かるこの歳になれば、何とのう懐かしゅう味わい深くあります。
今週の初の膳のひとつに、この伝統料理「秋鯖祭りあずま」を楽しんでつかあさい。

2008-10-14 20:15 | トラックバック(0) | コメント(1)

名残り

2008年9月29日

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秋風が吹く頃ともなれば、香魚とも呼ばれる鮎は産卵のために清流を下り
短い一生を終える子持ち鮎を「落鮎」とも云います。
その子持ち鮎を丸ごと焼いてほうばる!これぞ実りの秋の醍醐味とも
申せますが、その鮎を素焼きし、番茶で下炊き、更には朴葉の香りを添えた
合わせ出しでコトコト弱火炊く事5時間・・・・・煮浸たしに致しました。
何処が身やら黄金色の はち切れんばかりの卵をのぞかせる子沢山で
突き出した腹から卵がのぞく様子は、いかにも食欲をそそります。
口の中ではじけるような独特の食感は、九月下旬から十月いっぱいの
そのわずかな期間だけ。夏の鮎とはまた違う美味しさの「名残りの季節」を
代表する川魚です。

 

また昔は十月の茄子を「名残り茄子」又は残り茄子を木に付けたまま売りに

来たので「木なり茄子」とも申します。秋が深まるにつれ肌理がこまかくなり

甘味を含んだ茄子は美味しゅうございます。

   今週の初の膳 酒の肴膳は、「名残り」をテーマとして

   落ち鮎朴葉煮、梨と水前寺海苔の白和え
   走り蕎麦がきとろろ、菱の実、たたき酢牛蒡
   名残り茄子ずんだ汁、 お口すすぎは、青紫蘇です 

古語辞典によりますと「名残」とは「波残ナミノコリ」の約であるといいます。
波の引いた後に、なお残る物そこから転じて、あることの過ぎ去った後まで

尾を引く物事や感情の意です。
暦の上では来月で秋も逝きますが、夏秋の天地の恵みを感謝しつつ、
この季節ならではの自然の真味を心静かに味わうべき秋だとは存じますが、
「不時不食/時ナラザレバ食ワズ」この言葉の意味を私達は、改めて考えて

みる必要があるようでございます

2008-09-29 17:39 | トラックバック(0) | コメント(2)

秋色

2008年9月22日

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自然の節理とは不思議なものですね。秋のお彼岸の頃になれば、
気候の変化にも関わりなく 指折り数えて彼岸を待ってたかのように
今年も決まって庭の一角に 赤と白の「彼岸花」が咲きました。
白い彼岸花は、鍾馗水仙(しょうきずいせん)と彼岸花の交雑種だそうで
何とのう怪しい雰囲気とともに 何故か妖艶さをも感じさせられます。
彼岸花には「リコリン」という毒があるので、子供がそれに触らないようにとか
昔から生花にするものではないとか云われて敬遠されていましたが、
毎年この頃には 当亭の厠(かわや)に生けて、秋の訪れを楽しんでおります。

 

二十日は彼岸の入り 九月二十三日は秋分の日であり、彼岸の中日にあたり、
お彼岸を過ぎる頃ともなれば、朝夕は涼しく一段と凌ぎやすく秋を感じ始める
時節ともなりす。又、この頃降る雨は長雨になりやすく。秋雨前線が停滞し
雨に似た気象配置で、これに台風の接近がある等、この時節の長雨を
「秋霖しゅうりん」とか「秋ついり」と申すそうでございます。
この秋雨があがる頃ともなれば、秋の日一天雲なく晴れ渡ったさまを見ることが
出来ましょう。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「秋色」をテーマとして
  秋刀魚の梅煮、栗せんべいと焼湯葉、揚出し山芋
  吹き寄せ山家金平、秋鮭と秋大根砧巻きの胡麻酢
  大徳寺納豆汁、 お口すすぎは、胡桃です。

いよいよ絶えまなく秋の食材が出回り始め、食欲の秋を迎えます。今週は秋の

気配を感じていただく「秋色」の膳でございます。

2008-09-22 16:04 | トラックバック(0) | コメント(2)

敬老

2008年9月19日

元々15日の「敬老の日」を、ハッピーマンデーの第3月曜日に移すことに、

高齢者団体から反発が相次いだため、再度 老人福祉法第5条を改正し

改めて9月15日を老人の日とし、またこの日より1週間を老人週間とされました。

さて広島県内では過去最高の1165人の方々が100歳以上を迎えられたとか。

 

お婆ちゃん子であった私の幼い頃、今は亡き祖母から色々な昔話を
聞かせて貰ったものですが、中でも「姥捨て山」の話は
いつも私を可愛がってくれるお婆さんを、
何故に山に捨てに行かなければならないのか、不思議に思ったり、
自分が老人になった時の事を心配したものでございます。
その時代は生活苦から老人を山に捨て、老人もそれを得心ずくで
捨てられると云う「楢山節考」の話しは子供心に抱いていたことよりも、
もっと残酷で悲惨な制度であったようでございます。
今の時代は ご老人を大切にする色々な制度がありますが、
私達の日常生活にも、いわゆる「姥捨て山」の無き様に
心掛けたいものでございますね‥‥

今週の初の膳 酒の肴膳は、「敬老」をテーマとして
  鱚の養老柚香焼き、林檎と蒸鳥の白和え
  萩海老しんじょ、里芋磯辺和え、茗荷鴨田楽
  しめじ汁、 お口すすぎは、小梅と結び昆布
 
さて今週の当亭は、敬老の日に因んで「敬老の膳」
古来より、御老人のことを萩の花に例えられます。
枝を曲げ垂れ下がり咲き誇る萩の花を
腰を曲げられるお年寄りの姿に写したものでしょうね。
その萩花の姿を写した「萩海老しんじょ」を 始めとして
御老人の白髪がごとくの「林檎と蒸鶏の白合え」
また敬老の日の長寿をお喜びして「鱚の養老柚香焼き」
更には「茗荷鴨田楽」、「里芋磯辺和え」そして「しめじ汁」など
お年寄りにも優しい口当り良き献立をご用意致しました。

この週末は、お爺ちゃんお婆ちゃんと御一緒にお立ち寄り頂ければ

嬉しゅうございます。
 

2008-09-19 00:15 | トラックバック(0) | コメント(1)

月見

2008年9月08日

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仲秋の名月とは陰暦八月十五夜の満月を申し、今年は九月十四日にあたります。

月の前に秋の七草を飾り[ 団子,柿,芋,酒 ]を供えて名月を賞でるのが月見の宴で

ございますが、古人は冴え渡る月の光を心行くまで鑑賞するために、総ての明かりを

消したものと申します。古来よりこの夜 月を賞するに衣被(きぬかづき)を三方に盛って

供える風習から 仲秋の明月を一名 [ 芋名月 ]と呼び里芋や柿を供え、これに対して

陰暦九月十三夜の月を「栗名月、豆名月」といい、栗や大豆を供えて月を賞でます。

 今週の初の膳/酒の肴膳は、「月見」をテーマとして
  鯛栗の月色蒸し、秋茄子と枝豆の胡麻和え
  叢雲の月とろろ寄せ、柿なます、里芋松笠焼
  月見団子汁、 お口すすぎは、にごり酒 でございます。

また十五夜の月見をして十三夜の月見をしないことを片月見といって昔の人々は嫌っ
たもので、夫婦が別々に月見をするのをそう呼んで禍いがあるという地方もあります。
因に、「叢雲の月」のとは雲で見え隠れする月のことで、何と風情ある表現ですね。
今週は、十五夜や十三夜にお供えする食材を使った「お月見」の膳でございます。

 

今年の月見の週には梶川淳司さんを迎え、月見の風情と篠笛演奏をお楽しみ頂きます。

2008-09-08 18:04 | トラックバック(0) | コメント(1)

重陽の節句

2008年9月02日

重陽は五節句の一つで 九の数は陽の極みであり、九が二つ重なるゆえ九月九日を
重九(ちょうきゅう)とも云われ、重九は長久に通じるので目出たい極みとされ、
不老長寿の意から祝ったのでございます。重陽節は、もとは中国に端を発し、

我国では平安時代より宮廷の行事として取り行われ、詩歌を成して菊の宴が

開かれ、また民間では菊人形の見世物などが行われました。

 今週の初の膳 酒の肴膳は「重陽をテーマとして
  菊花小蕪鴨詰め、烏賊の緑酢和え、
  利休栗、ずいきの山家煮、初さんま幽庵焼き、
  青海波清し汁、 お口すすぎは「菊酒」でございます。

陰暦にすれば、菊の盛りなので菊の節句と称し、菊の花びらを浮かべて酒を飲む
と云う菊酒は邪気を払い命が延びるといわれ、又この頃は栗も出まわるので栗の
節句とも称され、栗飯を食べたり致したそうでございます。

2008-09-02 20:21 | トラックバック(0) | コメント(4)

野分

2008年8月25日

野分(のわけ、のわき)とは、立春から数えて二百十日頃、今年は8月31日にあたり
ます。昔から二百十日を中心に台風がやって来ると申しますが、また来て欲しくない
ものです。古くは台風と云う用語はなかったようで、風が野を吹き分ける秋の強風の
意で、台風を含めて秋の強風は すべて「野分」と申しておりましたようです。でも
台風がやって来たから、これを食べましょうよ!と云う約束事は無論ありませんで、
秋の気配が漂い始める野分の頃の 山郷料理をお楽しみ頂ければと思います。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「野分」をテーマとして
  秋味の野分け焼き、大徳寺麩と独活のべっこう炊き
  秋茄子と穴子のずんだ和え、湿地胡麻豆腐の猪山家葛あん

  ごんぼう煎餅、名残り鱧と茗荷の味噌汁、 お口すすぎは 梨 でございます。

さて、台風ともなると「猪もともに吹かるる野分かな」(芭蕉)などと、呑気に構えて

おられません。一雨ごとに朝夕の冷気が深まり、台風一過の澄み切った秋空を

見上げておりますと「いよいよ酒と肴の旨さも深まる」などと思うのも私たち酒従の

楽しみでもございますが、今年は台風も来ませんし、まだまだ残暑は暫らく続き

そうですね。

2008-08-25 15:26 | トラックバック(0) | コメント(1)

新涼

2008年8月18日

立秋そしてお盆も過ぎた初秋に 天地すべてが、涼気が帯びて来るのを申しますが、
日中は まだまだ残暑殊の外きびしく、昨日の雨のせいか 朝夕何んとのう涼しく、
しのぎやすくなった今日この頃「涼し」とするのは 暑さあってこその季語「新涼」では

ないでしょうか。   「 秋涼し 手毎にむけや 瓜茄子 」  芭蕉

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「新涼」をテーマとして
  鮎の名残り焼き、茄子の猪飛騨味噌煮 ちりめん覚弥、
  百合根鴨まんじゅう、茗荷梅かつを青紫蘇巻き
  蕎麦米汁、 お口すすぎは 山家実山椒 でございます。

今年の八月も日毎連続の暑い毎日でいささか私たちの体が、すがすがしい秋を待ち
わびております。今週は過ぎ行く夏の素材にて夏の名残りの「食欲増進 山里料理」
と致しました。 

2008-08-18 15:00 | トラックバック(0) | コメント(1)

送り火

2008年8月11日

送り火は、盂蘭盆の十六日に、十三日の夕方に門前で麻幹(おがら)を焚いてお迎え
した精霊をふたたび火を焚いてお送りすることを申します。この風習は中世の頃から
行われ江戸時代に民間に普及したものだそうでございます。地方によっては違うよう
ですが現在行われている中では京都の大文字がよく知られており、盂蘭盆が終わる

頃もなれば 朝夕に秋の気配が漂い始めます。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「送火」をテーマとして
  お精進送り火和え、くるみ豆腐信濃煮
  無花果胡麻密だれ、生麩酢味噌、初秋茄子田楽
  湯葉とろろ汁、お口すすぎは 大徳寺納豆 でございます。

今週は、年に2週のみの精進料理で初秋の精進料理です。 私達も年に一、二度は

心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振

返る一刻が欲しいものでございますね。

2008-08-11 21:34 | トラックバック(0) | コメント(1)

立秋

2008年8月04日

立秋は二十四節気のひとつで今年は7日を申します。立秋は夏至と秋分の丁度中間

にあたります。暦の上では、この日から秋に入り立冬の前日までを秋とし、立秋は季

節の区切りとされております。秋と申しましても秋とは名ばかりで尚も厳しい残暑が続

き古歌がむしろ立秋の季節感を伝えておりましょう。「秋来ぬと目にはさやかに見えね

ども風の音ぞ驚かれぬる」等と、この時節の気象上も夏型気圧配置が一時的に衰え

ることにより、雲や風の様相に秋の気配がしのびよってくるのが僅かながらも感じられ

るようでございますね。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「立秋」をテーマとして
  鮎煮びたし、十三豆と蒸し鶏の胡麻和え
  小芋安倍川、南瓜真薯青汁、穴子茗荷なます
  沢煮椀汁、お口すすぎは すだち茶 でございます。

今日の出勤途中では「赤とんぼ」を見かけましたが、秋は早いと申しましても気持ちの

上でも炎暑の中に秋の気配を早く感じたい思いでございます。   盆の行事が一般に

月遅れの八月十五日前後に行われるので、行事上の秋は今日でも早いものでござい

ます。暦の上では秋とは申せ、まだまだ暑き日々が続き食欲の失せる頃ではござい

ますれば、今週の膳に「秋の気配」を感じて頂ければ幸いに存じます。

2008-08-04 20:06 | トラックバック(0) | コメント(2)

八朔

2008年7月28日

八月朔日(ついたち)を略して「八朔はっさく」といい、この頃 早稲の稲穂が実るので、

古く農民の間では初穂を恩人に送る習わしから 田実(たのみ)の節句、田面(たおも)

の節句とも申します。この日には米団子を作って田の実なりを賀したり、厄除けと称し

て桃を食べる日でもあったようでございます。また 武家では「たのみ」を「頼み」にか

け、日頃お世話になっている頼み合っている人に、その恩を感謝する意味で贈り物を

するようになったようで「御中元」の始まりとも云われ、夏のお正月の意味合いも含ん

でおるようです。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「八朔」をテーマとして
  八朔泣豆真薯、鱸たで味噌焼き、はも柳川煮
  厄除け桃の胡麻密だれ、瓜雷干し笹身風干し酢
  田の実団子汁、 お口すすぎは いり米 でございます。

この日、宮島では藁で編んだ田面船を作り人形を乗せて海へ流し、対岸の大野町で

は流れ着いたこれを拾いあげて田の畦に埋めると豊作になるとしたそうで、八朔の日

から夏の昼寝をやめて、この夜から夜なべ仕事をする切り替えの日でもあり、立秋を

前にして夏が過ぎると云う意もあり、秋ともなれば「夜なべ仕事が待つとる」のと泣き

べそかきながら「八朔泣豆真薯」を食べて田実の節句を賀し、古人は季節のくぎり

節目を大事にしたようでございます。早いものですね。八月七日には 「立秋」を迎え、

暦の上では秋となります。

2008-07-28 15:27 | トラックバック(0) | コメント(2)

蓮見

2008年7月22日

グラス 018.jpg

鶴 021.jpg

夏の盛りに、香りある美しい花をつける蓮の花弁は、十六枚が普通で朝開いて
夕方閉じるを三日繰り返し四日目には散ってしまいます。暁闇を破って "ぽん
ぽん"と音がするが如くに咲く蓮の花は、一瞬の気高い薫りに酔い、浮葉巻葉の
間から先き競う蒼々たる花を賞する蓮見の風流心。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「蓮見」をテーマとして
  心太蓮葉酢、新蓮根せんべいおなす鰊
  蓮芋と椎茸のあいまぜ、地鶏ずんだ焼き
  じゅんさい梅汁、 お口すすぎは 蓮茎 でございます。

古人は早朝に蓮を愛でて涼をとるなどと その風流心をお持ちのようでしたが、
現代人の私達は中々そのゆとりもなく、蓮畑も身近には消えつつありますね。
せめて今週の爐談亭では、畳一畳の蓮畑を設え一服の涼を差し上げたく存じます。

 

この蓮花&蓮葉は岩国から取り寄せましたもので、夜咲くはずもない蓮花は亭主独自

の手法で咲かせたものでございます。本日22日(火)から 27日(土)まで 日々移り

替わる蓮花と、風流「象鼻酒」を心行くまで お楽しみ下されば嬉しゅうございます。

 

  グラス 007.jpg

2008-07-22 23:02 | トラックバック(0) | コメント(2)

土用

2008年7月14日

土用は四季ともにありますが、通常は夏の土用。今年は七月十九日の「土用の入り」
から十八日間を申します。中でも二十四日の「丑の日」が重視され、うどん,梅漬け,
牛馬など"う"の付くものを食べた風習に夏の活力源の食べ物として「鰻」が、乗じた
ものでしょう。これは江戸時代中期に鰻屋が、奇才と云われる平賀源内に宣伝依頼
し評判定着したと云われており、他には土用蜆を食べたり、土用灸をすえたり習慣も
あるそうですよ。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「土用」をテーマとして
  土用鰻蒲焼もどき、家猪とごぼう梅煮、うざく酢
  馬そぼろと蓮芋のずんだ和え、焼茄子胡麻豆腐
  土用しじみ汁、お口すすぎは 梅薫茶 でございます。

そもそもは邪気除災の行事を行われたのが土用丑の日なのですが、暑い盛りの時期

を乗り切る為の古人の知恵でございましょう。さて来週の夏の花歳事記「蓮見」では、
畳一条の蓮花葉を配し、蓮花の薫りと風流"象鼻酒"などお楽しみ頂き 「一服の涼」を
差し上げたく存じます。 詳しくは、イベントのご案内 「蓮見」 をご覧下さいませ。

2008-07-14 17:33 | トラックバック(0) | コメント(2)

七夕

2008年7月07日

五節句の一つに数えられる七夕祭は星を祭る行事として

中国の後漢の頃に端を発し、日本に入ってきたのは奈良時代で、

『日本書紀』によれば持統天皇の5年(691年)に宮廷で七夕の宴が

催されたのが、七夕祭りの始まりと云われます。

天の川の両岸をはさみ牽牛星(ひこ星)と織女星(おり姫星)とが

年に一度の逢瀬を許されたが、もしこの夜が雨となって

天の川の水嵩が増して渡れないときには、鵲(かささぎ)が両羽を

ひろげて橋となり、織姫を渡してやると云う伝説により、

七月七日には両星を祭る風習が江戸時代より盛んになったそうでございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「七夕の節句」をテーマとして
  天の川茶豆腐、夏鴨と里芋の甲州煮
  願いの糸瓜、笹舟小鯵酢、七色酒菜
  はも茄子味噌汁、お口すすぎは , 青しそ でございます。

願い事を短冊にしたため笹竹に結び七夕流しに興じた子供の頃を思い出し、

いにしえの恋物語に思いを馳せながら、夏の一夜を閑かに心遊ばせて、

ひと筆いかがでございましょうか...

2008-07-07 22:31 | トラックバック(0) | コメント(1)

涼舟

2008年7月01日

そろそろ梅雨が去り初蝉が聞える頃ともなれば、暑さを避けて夜気に涼味を
求めたくなる時節ともなります。夏の夜の涼味といえば鵜飼や納涼船そして
屋形船の海や川の舟遊びも そのひとつでございましょう。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「涼舟」をテーマとして
  鮎の笹焼き、鬼灯琥珀玉子、川風豆腐
  うるか葛きり和え、あなご胡瓜なます
  冬瓜冷や汁、お口すすぎは 青柚子茶 でございます。

水の上を渡ってくる風は涼しく、ボート遊びや、水遊びに、にぎわう昼間の騒々しさ
にくらべて、赤いほうずき提灯をつるした屋形船の時々船縁を打つ竿の音が辺りの

静けさをいっそう感じさせます。  しのぎにくい夏の夜を舟遊びに出掛けてみては

いかがでしょうか? 思い出に残る夏の夜の涼味となるのではと思います。

今週は、舟遊びの山郷料理でございます。

2008-07-01 16:37 | トラックバック(0) | コメント(2)

夏越

2008年6月25日

古くは六月と十二月のみそかに、罪、汚れを祓い清めた神事を「大はらい」といい、
十二月の年越と、六月のはらいを 夏越(なごし)の祓(はらえ)と申します。
夏越は、神意をやわらげる意味の和し(なごし)であるといわれ、この夏を無事健康
に越せるようにと六月三十日に行われるもので、古くは農家にとって田植え終了後の
いましめ又つつしむべき忌みの日でもあったようでございます。

この夏越では、茅の輪(ちのわ)という茅(かや)で作った輪形を拝殿や鳥居の所な
どに設け、神官がくぐった後に続いて参拝者もくぐって災厄をはらう「茅の輪くぐり」
や、また人形(ひとがた)の紙切れに身の災いを移し、川に流したりも致します。

 
 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「夏越」をテーマとして

  人形木の芽やっこ、茶魚そうめん、鱧ちくわ酢

  水前寺海苔にしきぎ、笹身みょうが焼き

  うなぎ肝汁、 お口すすぎは 桃茶 でございます。

私達も月日の流れにながされて今年も早や半年も過ぎ去さろうとしております。
この夏、皆様のご健勝を祈念申し上げます。
2008-06-25 00:07 | トラックバック(0) | コメント(3)

蛍狩り

2008年6月20日

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花名 螢袋(ほたるぶくろ) 捕まえた螢をこの花の中に入れ花弁の先端を結び、幻想的な螢光を楽しむと云う。古人は、何んと風流な遊び心をお持ちのようでしたね。

私の子供時代には、初夏の夜には幻想的な螢狩で癒しの体験をしたものでございます。時は農薬の為、螢の餌となる川蜷(かわにな)が姿を消し、螢も次第に見られなくり、わずかに残された自然環境の中で健気に生きておりましたが、最近では農薬規制、また保護活動などにより生息環境も整い始め、蛍狩りの声を耳にするようになりました。

 今週の初の膳 / 酒の肴膳は、「螢狩り」をテーマとして
  
  ほたるいか黄身酢、若鮎揚せんべい
  
  家猪梅煮、淡雪豆腐、紫じゃこめし
  
  粟麩と瓜の味噌汁、 お口すすぎは、しそ茶でございます。

螢は、源氏蛍と平家蛍に代表されます。無数の蛍が入り乱れて飛ぶ情景を蛍合戦といい、宇治の蛍合戦は源の頼政の怨霊の現われとの伝説もございます。水辺の闇に神秘的な光を明滅して乱れ飛ぶ 夏の優しの虫「蛍」のさまは、まさに初夏の風物詩と申せましょう。

2008-06-20 15:23 | トラックバック(0) | コメント(1)

入梅

2008年6月10日


nyubai01.jpg暦の上では十日が入梅。関東地方はでは既に梅雨期に入ったとか。梅の実が熟する頃の雨なので梅雨と申すそうですが、古くは陰暦五月にあたるので五月雨(さみだれ)とも云いこの時季に雨が降らない事を、空梅雨(からつゆ)とも申します。
いずれにせよ じめじめとした肌寒さを覚える日もあって、誠にしのぎにくい月ではあります。しかし見様、考え様では風雅なもので「五月雨や色紙へぎたる壁の跡」な
どと侘びに興じた芭蕉をしのび  いっそ「雨を楽しむ」と開き直り、五月雨の音を酒
の肴にと洒落込むのも結構なものかとも存じます。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「入梅」をテーマとして
  海老の紫陽花揚げ、蜆と瓜雷干しの辛子酢味噌
  青煮梅、新牛蒡香り炒り煮、空豆夏鴨真薯、
  鰯つみれ汁、お口すすぎは、香煎茶です。

巡るめく花の移ろいに誘われて、今週は梅雨の花「紫陽花」を亭内いっぱいに配し
酒の肴にお楽しみ頂ければと思うちょります。


2008-06-10 00:28 | トラックバック(0) | コメント(1)

夏祭り

2008年6月06日

夏祭りは、五月の東京「三社祭」、京都は「葵祭」に始まり、広島では円隆寺の
稲荷大明神の祭礼通称「稲荷(とうか)さん」で本格的な夏を迎えます。

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「夏祭り」をテーマとして
  柿の葉祭り寿司、お稲荷なます、落花生豆腐、
  うなぎの蓼味噌焼き、ぶんどう煮こごり
  はも魚そうめん汁、 お口すすぎは、すだち茶でございます。

この円隆寺は修法師(しゅうほっし)によって護られ、旧暦五月五日(新暦6月初め)
を明神の祭日とし、祈祷会を行い災厄を祓うときなので、この日をとって厄払いの
祭りを行うことになりましたようです。この時節にすれば真夏への切り替え時なので
大正初年から この日を真夏への「衣替え」とし、浴衣の着初めの習いとなったもの
で夏を健康に過ごせますようにと祈ります。この夏、皆様の御健勝をお祈り申し上げ
ます。
2008-06-06 04:22 | トラックバック(0) | コメント(3)
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