六月一日は「氷の節句」。あまり親しみのないこの節句は、京都は北の郊外の奥山に
氷室(ひむろ)と云う地名があります。昔、この深山山中奥深くの洞穴室に冬中に貯
えておいた氷を六月一日になれば、宮中に献上したと申します。宮中人の役得でしょ
うか!?この日少しでもこの氷を口にすると夏痩せせぬとか、夏を無病息災に過ごせる
と伝わっておりますが、所が昔の事ですので一般庶民は貴重な氷は口にすることも出
来なく、せめて氷室神社の紋を象った外郎を食べて夏を健康に過ごせますように祈り
食した風習がございます。その紋たるや氷の結晶を意図した三角形の形をしており、
その形に小豆を散らした外郎を「水無月」と云い、現在でも六月の和菓子屋さんでは
代表的なお菓子のようです。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「氷の節句」をテーマとして
 氷室にこごり、酒魚と若布の緑酢和え、独活と京揚げの干辛煮
 揚げ出し加茂茄子、地鶏と蓬麩の笹巻き蒸し、水無月豆腐汁
 お口すすぎは、氷茶でございます。

 

広島では6月第1金曜・土曜・日曜の3日間通称「稲荷(とうか)さん」の夏祭りが始まり
ますが、丁度この頃は衣替えの時節でもあり、浴衣の着始めの習いでもありました。
この夏祭りや、夏越の祓えなど本格的な夏を前にして、「氷の節句」同様に この夏を
無事健康に越せますようにとの祈りからの行事でございます。

 

2012-05-26 15:33 | トラックバック(0) | コメント(0)

立夏の後15日目、大体5月21日頃を二十四節気の一つで「小満」と云い、
この頃が麦刈りの時期とされています。陽気が盛んになって万物成長し時鳥が
鳴き、麦が熟れる頃を「麦秋(ばくしゅう)」麦の秋と申します。 その景色が、
稲が秋に実るに通わせて、麦にとっては収穫の秋。すなわち麦が熟れるのを
秋になぞらえたものでございましょう。 ようやく強さ増した初夏の太陽の下、
山里では青葉若葉の新緑に取り囲まれ、かたや黄熟しきった麦畑は鮮やかな
対象を見せてくれます。 何んと のどかな景色ではありませんか。

 

麦秋.jpg

  今週の初の膳・酒の肴膳は、「麦秋」をテーマとして
   麦秋切り麦、かます竹皮風味焼き、鱸かんらん博多押し
   柿茶豆腐の薬膳胡桃和え、空豆と蒸し鶏の麦酢味噌  
   はったい粉団子汁、お口すすぎは 麦茶 でございます。

 

はったい粉は「麦こがし」とも呼ばれ、大麦(裸麦)を焙煎し粉砕したもので、
私が子供の頃には、お湯と砂糖を混ぜ 練って食べたりいたしたものですが、
田舎のお婆ちゃんを思い起こさせるその味は、子供達に伝えたい昔なつかしい
ふるさとの味でもございます。今週は、麦に因んだ山里料理をお楽しみ下さい。

 

2012-05-21 11:01 | トラックバック(0) | コメント(0)

岩.jpg夏に「生牡蠣」なんて広島では考えられないことですが、養殖の広島牡蠣とは
種類が異なり夏に食するので夏牡蠣とも呼ばれる「天然の岩がき」なのです。

 

夏岩がきは日本海側の山陰は隠岐辺りから秋田にかけて分布しておりますが、
広島市場では養殖物も多く出回っており、当亭ではこの夏7月下旬頃まで
「新潟は山北産」&「秋田は象潟産」の あくまでも天然物に拘り 取り寄せまして

お楽しみ頂きます。

 

この岩がきとは、水深約10メートル辺りの岩肌に生息し、猶に4~6年物で
聞くところによれば一人の潜り手が一日100個以上捕獲してはいけないそうで
その訳は絶えてしまいますからね。 お味としては腸(わた)の辺りは
まったりとした「まるで海のレアーチーズ」 貝柱辺りはシコ!シコ!とした
「磯の風味が満載」の、これぞ知る人ぞ「知る珍味中の珍味」と申せましょう。
因に今日は今期初物「秋田は象潟産」が入荷しました。是非ともお試しあれ。

 

また海が荒れた場合など 日によっての天候により入荷無きこともございます。
但し、風邪気味&体調不良の方はお召し上がり頂けませんので御容赦下さい。

 

2012-05-14 12:44 | トラックバック(0) | コメント(0)

暦の上では立夏も過ぎ、春色はあせ爽快な夏の気配が立ち初める季節、
いわゆる晩春初夏と云うくらい良き時節でございます。色々の花が次々に
開き新茶は香り、草木は驚く程に伸びてゆく頃には「田植」が始まります。

 

稲は苗代を作り八十八夜前後に本田に移し、そして田植えを致します。
この頃、田んぼに水を入れますが、雨が少ないと困りますので、雨乞いと
豊作を祈願し笛や太鼓を打ち鳴らして「花田植」を唄い舞ったと申します。

 

昔の県北一帯は魚の乏しい所であったようで、中国山地を越えて「鮫(わに)」や
「塩鯖」が送られて来ました。今週は県北山郷の伝統郷土料理でございます。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「田植えどき」をテーマとして
  さんばい、田植え鯖のちしゃもみ、家猪梅焼酎煮、
  わにと瓜の木の芽辛子酢味噌、山里切干し大根炊き、
    早乙女汁、 お口すすぎは 焼米茶 でございます。

 

昔の県北では田植えの頃になれば、田んぼの畦道に何故かしら栗の枝を
2・3本挿し、山から「さんばいさん」と称される「田の神さん(太陽と土と水の

神)」をお迎えし、田植えが無事に終わり秋には沢山の米が実りますようにと

「さんばい」と云う料理を供え、豊作を祈願したそうでございます。

 

さんばい.jpgこの「さんばい」とは、黒豆入りの素朴なおこわを青い朴葉に包んだもので、

その謂われは定かではありませんが、素朴で味わい深い「言い伝え料理」です。

2012-05-13 14:00 | トラックバック(0) | コメント(0)

およそ1300年ほど前、万葉の頃から行われていた漁師が鵜を遣い
魚を捕える漁法「鵜飼」は、岐阜県・長良川が最も有名で、鮎解禁より
全国を先駆け五月十一日に鵜飼開きが行われます。

 

鮎は月明かりを嫌うと云われ満月の前後数日は行われないそうで、
闇夜の川を鵜篝(うかがり)の火の粉を暗い川面に撒き散らしながら、
目の前を矢のように通り過ぎて行く鵜舟を眺めておりますと、
清らかにも静かな川の趣きを感じさせる初夏の風物詩と申せましょう。
    
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「鵜飼開き」をテーマとして
  鮎の風干し焼き、川海老の川風揚げ、鴨の冶部煮、
  茗荷と瓜の葛きりなます、かぼちゃ篝火ほのお寄せ、
  芽順才とろろ汁、お口すすぎは、木の芽茶でございます。

 

因みに広島では六月一日より鮎解禁となり、当亭では入り口の大瓶に
日々限定数で活かした地物「天然若鮎」を楽しんでもろうちょります。
鮎は、4月中旬頃から川底の石に付いている硅藻類や藍藻類のコケを
盛んに食べ始め、6月頃には15センチぐらいまでに成長した若鮎は、
焼く前は爽やかな西瓜の香りが漂い、塩焼きは骨抜きなどしないで
頭から丸かじりすれば、独特の苦み&苔の香り、若草のような香りが
口中に広がります。6月を楽しみにしてつかあさいね。

2012-05-06 23:41 | トラックバック(0) | コメント(0)
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