氷の節句

2010年5月31日

六月一日は「氷の節句」。あまり親しみのないこの節句は、京都は北の郊外の奥山に
氷室(ひむろ)と云う地名があります。昔、この深山山中奥深くの洞穴室に冬中に貯
えておいた氷を六月一日になれば、宮中に献上したと申します。宮中人の役得でしょ
うか!?この日少しでもこの氷を口にすると夏痩せせぬとか、夏を無病息災に過ごせる
と伝わっておりますが、所が昔の事ですので一般庶民は貴重な氷は口にすることも出
来なく、せめて氷室神社の紋を象った外郎を食べて夏を健康に過ごせますように祈り
食した風習がございます。その紋たるや氷の結晶を意図した三角形の形をしており、
その形に小豆を散らした外郎を「水無月」と云い、現在でも六月の和菓子屋さんでは
代表的なお菓子のようです。
 
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「氷の節句」をテーマとして
 氷室にこごり、酒魚と若布の緑酢和え、独活と京揚げの干辛煮
 揚げ出し加茂茄子、地鶏と蓬麩の笹巻き蒸し、水無月豆腐汁
 お口すすぎは、氷茶でございます。

広島では6月第1金曜・土曜・日曜の3日間通称「稲荷(とうか)さん」の夏祭りが始まり

ますが、丁度この頃は衣替えの時節でもあり、浴衣の着始めの習いでもありました。

この夏祭りや、夏越の祓えなど本格的な夏を前にして、「氷の節句」同様に この夏を

無事健康に越せますようにとの祈りからの行事でございます。

2010-05-31 14:25 | トラックバック(0) | コメント(0)

麦秋

2010年5月24日

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立夏の後15日目、大体5月21日頃を二十四節気の一つで「小満」と云い、
この頃が麦刈りの時期とされています。陽気が盛んになって万物成長し時鳥が
鳴き、麦が熟れる頃を「麦秋 ばくしゅう」麦の秋と申します。その景色が、
稲が秋に実るに通わせて、麦にとっては収穫の秋。すなわち麦が熟れるのを
秋になぞらえたものでございましょう。ようやく強さ増した太陽の下、山里では

青葉若葉の新緑に取り囲まれ、かたや黄熟しきった麦畑は鮮やかな対象を

見せてくれます。 何んと のどかな景色ではありませんか!?

今週の初の膳 酒の肴膳は、「麦秋」をテーマとして
  麦秋切り麦、かます竹皮風味焼き、鱸かんらん博多押し、
  柿茶豆腐の薬膳胡桃和え、小蕪と蒸し鶏の麦酢味噌、  
  はったい粉団子汁、お口すすぎは 麦茶 でございます。

はったい粉は「麦こがし」とも呼ばれ、大麦(裸麦)を焙煎し粉砕したもので、

私が子供の頃には、お湯と砂糖を混ぜ 練って食べたりいたしたものですが、

田舎のお婆ちゃんを思い起こさせるその味は、子供達に伝えたい昔なつかしい

ふるさとの味でもございます。今週は「麦」に因んだ山里料理をお楽しみ下さい。

2010-05-24 15:14 | トラックバック(0) | コメント(0)

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夏に「生牡蠣」なんて広島では考えられないことですが、養殖の広島牡蠣とは種類が
異なり夏に食するので「夏牡蠣」とも呼ばれる「天然の岩がき」なのです。日本海側
の山陰は隠岐辺りから秋田にかけて分布しておりますが、最近では養殖物も多く

出回っており、当亭ではこの夏8月上旬まで「新潟は山北産」&「秋田は象潟産」の

あくまでも天然物を取り寄せ、お楽しみ頂きます。

この岩がきは水深約10メートル辺りの岩肌に生息し、猶に4~6年物で、聞くところに

よれば一人の潜り手が一日100個以上捕獲してはいけないそうで、その訳は絶えて

しまいますからね。お味としては腸(わた)の辺りは、まったりとした「まるで海のレア

ーチーズ」 貝柱辺りは、シコ!シコ!とした「磯の風味が満載」の、これぞ知る人ぞ

知る珍味中の珍味と申せましょう。 因に今日は「能登は輪島産」が入荷しました。
どうぞお試しあれ。 但し、日によっては海が荒れ入荷無き場合もございます。

また、風邪気味&体調不良の方は、お召し上がり頂けませんので御容赦下さい。

2010-05-22 17:28 | トラックバック(0) | コメント(0)

田植えどき

2010年5月17日

暦の上では「立夏 5月5日」も過ぎ、春色はあせ爽快な夏の気配が立ち初める季節、
いわゆる晩春初夏と云うくらい良き時節でございます。色々の花が次々に開き新茶は
香り、草木は驚く程に伸びてゆく頃、「田植」が始まります。稲は苗代を作り八十八夜

前後に本田に移し、そして田植えを致します。

この頃、田んぼに水を入れますが、雨が少ないと困りますので、雨乞いと豊作を

祈願し笛や太鼓を打ち鳴らして「花田植」を唄い舞ったと申します。

昔の県北一帯は 魚の乏しい所であったようで、中国山地を越えて 「わに(鮫)」や

「塩鯖」が送られて来ました。今週は県北は山郷の郷土料理でございます。

 

 今週の初の膳 酒の肴膳は、「田植えどき」をテーマとして
  さんばい、田植え鯖のちしゃもみ、家猪梅焼酎煮、
  わにと瓜の木の芽辛子酢味噌、山里切干し大根炊き、
  早乙女汁、お口すすぎは 焼米茶 でございます。

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昔の県北では、田植えの頃になれば、田んぼの畦道に何故かしら栗の枝を

2・3本挿し、山から「さんばいさん」と称される「田の神さん(太陽と土と水の神)」を

お迎えし、田植えが無事に終わり秋には沢山の米が実りますようにと「さんばい」と

云う料理を供え、豊作を祈願したそうでございます。この「さんばい」とは、黒豆入りの

素朴なおこわを青い朴葉に包んだもので、その謂われは定かではありませんが、

素朴で味わい深い「言い伝え料理」です。ともあれ、その習わしも現在では見かける

ことも少なくなったようですが、田植が済んだ見渡す限りの青い毛せんを敷きつめた

ような静かな田園風景を目に致しますと何となく心が豊かに安まるもでございますね。

2010-05-17 15:17 | トラックバック(0) | コメント(0)

鵜飼開き

2010年5月10日

およそ1300年ほど前、万葉の頃から行われていた漁師が鵜を遣い魚を捕える漁法

「鵜飼」は、岐阜県・長良川が最も有名で、鮎解禁より全国を先駆け五月十一日に

鵜飼開きが行われます。鮎は月明かりを嫌うと云われ満月の前後数日は行われない

そうで、闇夜の川を鵜篝(うかがり)の火の粉を暗い川面に撒き散らしながら、

目の前を矢のように通り過ぎて行く鵜舟を眺めておりますと、清らかにも静かな川の

趣きを感じさせる「初夏の風物詩」と申せましょう。
    
 今週の初の膳 酒の肴膳は、「鵜飼開き」をテーマとして
  鮎の風干し焼き、川海老の川風揚げ、鴨の冶部煮、
  茗荷と瓜の葛きりなます、かぼちゃ篝火ほのお寄せ、
  芽順才とろろ汁、お口すすぎは、木の芽茶でございます。

因みに広島では六月一日より鮎解禁となり、当亭では入り口の大瓶に

日々限定数で活かした地物「天然若鮎」を楽しんでもろうちょります。

鮎は、4月中旬頃から川底の石に付いている硅藻類や藍藻類のコケを盛んに食べ

始め、6月頃には20?ぐらいまでに成長した若鮎は、焼く前は爽やかな西瓜の

香りが漂い、塩焼きは骨抜きなどしないで頭から丸かじりすれば、独特の苦みと

苔の香り 若草のような香りが口にひろがります。6月を楽しみにしてつかあさいね。

2010-05-10 15:24 | トラックバック(0) | コメント(0)

端午の節句

2010年5月07日

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今週花歳時記「端午の節句」の週では、亭内中央の欅板の間に菖蒲畑を配し

花菖蒲の香りと、「菖蒲酒」をお楽しみ頂きます。

 

軽やかな南風にそよぐ青葉若葉が陽光にきらきらと映じて青い嵐のように感じられる
という五月に早苗を植える季節であることから早苗月、それが転じて皐月(さつき)
と申します。三月の桃、四月の桜に続いて五月は花菖蒲。端午の節句を、菖蒲の

節句ともいい、強壮解毒作用を持つ菖蒲や蓬を軒下に差して邪気を払い、火難除け

とし、菖蒲湯は健康増進。そして菖蒲酒を飲めば、蛇にかまれないという風習が

ございます。

今週の初の膳 酒の肴膳は、「端午の節句」をテーマとして
 皐月鯉の薫風焼き、竹の子木の芽和え
 笹身菖蒲蒸し、卯の花柏葉巻き、木耳山里煮
 よもぎ団子汁、 お口すすぎは、菖蒲酒でございます。

五月五日は男の子の節句。矢車を付けた竹竿に鯉幟、吹流しを付けて薫風に

なびかせ男の子よ勇壮に活発に育てよと願うものでございますが、

菖蒲&蓬の「邪気を払い&火難除け」そして「菖蒲湯に菖蒲酒」と共に、

ビルが建ち並ぶ風情なき都会生活では 廃れつつある習わしでございます。

2010-05-07 23:14 | トラックバック(0) | コメント(0)
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